《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》36話 覚醒

 まず”それ”がじたのは、真っ暗だという覚。

 それはとても不思議な覚だった。先程までは自分ではない何かが、かしていたような覚と言えば正しいだろうか。

 ある使命を何者かに渡され、それだけを追い続けて、本気だった。本気で殺して。そして去る。死んだらもうどうでも良い。

 自分が何者かなど知らなくていい。死ぬまでこの使命を全う出來れば良かった。いや、それさえも、考えてはいなかったかもしれない。そこに自分の意思なんてなかった。

 だが、使命を追い続けるうちに、強くなるのをじた。じることが出來た。

 そしてある日、”それ”はいつものように本能の赴くままに、使命を全うしていたらあるものが目にった。でかいネズミだ。

 勿論、”それ”はネズミをネズミとはわかっちゃいなかったが、生としての多の學習能力からか、あることは知っていた。

──アイツを殺すと、なんか味しい。

Advertisement

と。

 だから”それ”は目の前の獲を捨て、ネズミに全力で突進した。これにネズミはと言うと、”それ”の速さに反応出來るはずもなく、走った獣の描寫を最後に、ネズミは絶命した。

 角で刺し殺した”それ”は、やはり味しい。とじ、それと同時に変化が生じた。

 いつもとは違う。が強靭になるわけでは無く、面の変化。

 ”それ”は、自分の変化に明確な答えを出すことは出來なかった。だが、”それ”は自分の中で、使命。という2文字が消えてることに気づいた。

 そして、それと引き換えに、驚きというが芽生えていることに気づく。

 

 ナンダ コレ。シラナイ....

 言葉が分かる訳では無い。だが覚的に”それ”は初めて芽生えたに驚き、理解が出來ていないという事を知った。

 戸っている”それ”に突如、後ろから鉄の剣が振りかかる。

 普段なら多の傷なんて気にせず、相手の命を刈り取るためだけにく”それ”だったが、今回は違った。

Advertisement

 背中が切られる寸前というところで、剣は”それ”の強靭なの手に捕まれ、力負けした獲は剣を奪われる。

 コイツ オカシイ。ヘンナモノ ツカッテキタ。

「ひぃ! 助けてくれ!誰かぁぁ!!」

 剣を取られた獲は、何故か怯え、逃げようとした。

 ワカラナイ デモ コロス 。 コイツハ  エモノ  イツモノヨウニ  テデ....テ?ナゼ 、テ?

 "それ"はびを上げず、ただ淡々と悩んだ風の顔をしながら、逃げようとする獲を奪った剣で毆った。

 獲は軽々と吹き飛ばされ、壁にぶつかって蔵をぶちまけながら潰れた。

コレ、スゴイ。 トオクマデナグレル  ソレニ  テヨリ  カタイ。

 "それ"は奪った剣を嘆したような目で眺める。それから倒れた獲を見てまた學習する。

アレハ、シッテル。シダ  ナグッタカラ  シンダ。   ........シハ  コワイ?  ワカラナイ

 "それ"は、またくる獲の集団の足音に気づき、答えを出す。

....ツヨイ、エモノ タタカエバ ワカル  カモ?

 曖昧な答えだ。たが、行理由としては単純な考えしか浮かばない"それ"には、十分のものだった。

 

 そうと決まれば、その集団に特攻を......しに行くのではなく、待ち伏せ、出てきた瞬間、2人いっぺんに剣を持った手で潰した。

「ミ、ミノタウロスだぁぁ!!」

 そんな絶の後、その場には直ぐに靜けさを取り戻し、それと同時にキンッ.....キンッ......という音がなり続けるのだった。

***

 裕とミスラは、危機とも言える場面に直面していた。

 ミノタウロス。そして1度戦った裕は気づいていた、この魔は知能を持っていると。

 裕はそれくらいの危機だが、ミスラは違った。段違いに驚いた顔を見せている。

「ミスラ、先に言うとアイツが俺をダンジョンの奧深くに突き落とした元兇だ。それとあのミノタウロス、しっかり考えていてる」

「そんなまさか....知能もあるなんて........」

 確かに驚く所ではあるが、ミスラの驚き方はなんか違った。知能も....?

「いいですか祐。今あれと戦っても私たちに勝率はないと言っていいでしょう。」

 確かに俺はもう魔力も力もないし、ミスラは戦えるが殺傷力のない魔法ではどうしようもない。たが、勝率は全くないと言われればそうでもないと思うのだが。

 どうやらミスラは、何か知ってるようだ。説明する時間はないって所か。

「ならどうする。この大広間で撤退は難しいぞ? 」

「....私が魔法で引き付けます。その間に祐は離。私もその後に行きます」

「よし、じゃあ先撤退してくれ、俺が引き付けとくから」

「頭がどうかしちゃったんですか? 合理的に考えて、私の方が貴方よりけるでしょう」

「何言ってんだ。測り間違えは良くないぜ? ミスラよりは10倍はけるさ」

「「....」」

 どちらも1歩も譲らない変な爭い。そこには焦りも、憤怒もなく、ただ信頼だけがあった。

 「はあ、んー  ならさ」

「えぇ..仕方ないですね。なら」

「一緒に引き付けるか」(ますか)

 赤の他人が聞けばコイツら何言ってんだ。となりそうな決斷。

 勿論、無謀で言ったんじゃない。分かってるのだ。お互いが、自分を犠牲にしようとしたら、絶対に相方が犠牲になってでも助けようとすることを。

「死ぬ気は無いからな」

「私だってそうですよ? まだ祐とデートしてませんから」

 お互い見つめ合い、不敵な笑みを浮かべて片方は黒曜剣を、片方は短剣を持ち詠唱の準備をする。

「先陣は俺が切るから、取り敢えずいつもの試してみよう」

「分かりました。相手の間合いをしっかり見極めてくださいね」

 了解 とだけ言うと祐は走り出す。ミノタウロスは先程からこちらを見て、何かを考えているような仕草をしていた。

 持っている武は見たじ大剣を2本。垂れ下がり気味に持っていた。祐が間合いを詰めても、あれならケンタウロスの時みたいに、目で追いきれないほどの速度で斬ってくることは無いだろう。

 だが、ここで正面から行くのはティファの時のように片方の大剣で止められ、もう片方で斬られることになるだろう。

 生憎、相手は覚でいてない、ならあれでいける..!

 『幻刀』

 すると2人ほどの祐の分が現れ、ミノタウロスを囲み込む。

 ミスラの言葉を信じてないわけじゃないけど、知能ある敵とはさっき戦った。そして、このミノタウロスは多分そんなに早くはない。

 なら、々いっても中ボスの下位互換。勝ち筋が全くないとは思えない。

 祐は確認するように、自分に言い聞かせるとそのまま一気に距離を詰める。

 

 そして祐の分でまずは牽制を仕掛ける。

 

 分の剣は結構な速度が出ていた。この速度でもし止められたのなら、このミノタウロスは中ボス以上の力を有してることになる。

 一抹の不安が過ぎる中振るわれた剣は....

───ミノタウロスを斬れなかった。

「なっ!?」

 當たらなかった訳では無い。寧ろ剣はミノタウロスの首筋を捉えた今現在當たっている。

 ここで祐は全く避けようともしなかった意味を知った。

 知能を持っているから、警戒してかないものと思っていた。いや、間違ってはいない。けどミノタウロスは警戒し、分析して、答えを出したようだ。

──コイツの剣は屆かない    と。

 ミノタウロスは、右手で持っている大剣を地面に刺し、自分の首に刺さっていない分の剣を摑み奪うとともに、分を左の大剣で斬る。

 奪った黒曜剣を眺めるミノタウロス。だが分が消えたことで剣も消える。これに驚くミノタウロス。

「剣がダメとなると魔法か....それにしても、あいつ全く殺気放たないな......っとこんな考察するより早くかないと」

 祐はもう一方の分に、ミノタウロスの目線が行くように導させ、自分はミスラの位置まで下がり作戦を説明する。

「もうわかってると思うけど、相手は剣が通じない。多分側から高威力の魔法でぶっぱなすしかないと思う」

「はい、見たじそうなのですが....まだあのミノタウロスの力量が分かりません。祐の分を斬った時も、まるで遊んでるようでした」

 確かに、正直何してくるか分からない怖さがある。けど相手も待ってはくれない。

 さっきから俺の分と戦ってるミノタウロスは、殺気こそ出さないものの、逃がさない。と言うように時々こちらを見てくる。戦闘意識はある事は確実。背を向ければ大剣が飛んでくるかもしれない。

「それでも、やれる事をやるしかないだろう。殺すことが出來なくても、気絶寸前まで追い込んで撤退することだって狙える」

「はい、そうですね。 ならばやりましょう。やるなら本気です」

「勿論」

 そして作戦を説明し、実行に移すところで、導していることに気づいたミノタウロスが、俺の分を摑み、思いっきりこちらに投げてきた。

 間髪れずに、自分の分を斬る。

 「....迷わずいきましたね」

「......なんか変な罪悪があるな。自分を斬るって..」

 斬ってしまった後に、渋い顔をする祐。だがそれも一瞬。直ぐに切り替え、ミノタウロスにまたもや速攻、と見せかけて跳躍。3mほどのジャンプは、悠々とミノタウロスを飛び越え、それと同時にミノタウロスが、真上にいる祐に目線を向けて、今にも大剣を振ろうとした瞬間、

「ッグォ!?」

 驚愕の表を浮かべるミノタウロスは、けない。

 何が起こったかと言うと、祐がジャンプした瞬間に、隙だらけのミノタウロスにミスラが『サンダー』を放った。これにより魔法がどれくらい効果があるのかが分かった祐は、著地してミノタウロスを背後から剣で突く。

 どんなに斬れることが出來ない剣でも、突きは力さえあれば、傷を負わせる事ができると考えてのものだった。

 どうやらその考えは當たりだったようだ。深くはらなかったが、刺すことには功した。

 「グォォッ!」

 ミノタウロスは苦痛に耐えられない、と言ったじで大剣をがむしゃらに振る。

 「うぉっ! あぶねぇ! 」

 大剣を間一髪のところで避けながら黒曜剣は刺したまま、ミノタウロスの間合いから出る。

『ウォーター!』

 標的は前方、攻撃には程遠く。ミノタウロスからすれば、なんの意味もない行に見えるだろう。だがそれでいい。

 「今だミスラ!頼む!」

「任せてください!」

 『エクステンドサンダー!』

 ミスラから魔力の奔流が迸り、いつもの『サンダー』の比にならないほどの威力の雷が、ミノタウロスを襲った。ミスラは魔法を放つとともに倒れた。恐らく魔力切れだろう。

「ナイスだミスラ。あとは任せろ」

 裕は未だピクリともくことができないミノタウロスの背後に回り、背中に刺した黒曜剣を摑む。

「くっ‥‥!」

 まだ電力が流れているのか、剣を摑んだ瞬間、一瞬で全に痺れをじる。

「けどこれで終わりだ」

 チャージも上々、魔力もギリギリ殘っている。

『付與エンチャント ファイアーブレス!!』

 ブォォォンッ!

 部からのマックスチャージの『ファイアーブレス』。常人であればチリさえも殘さず発するだろう。

 流石というべきか、部さえも強靭なを誇るミノタウロスは瀕死の狀態にはなったが、発することはなかった。

おいおい…これでも死なないのかよ....あ、やば.....魔力切れ....

「くそっ..!ミスラ....すまねぇ......」

 ここで確実に殺しておきたかった。相変わらず俺は詰めが甘い....

 頼む..神様........この際神王でもいいから、ミスラだけは....

 神頼み。それをした時、何故か嫌悪ばかりが募っていくばかりで........そこで祐の意識は途絶えた。

───────────

魔法名に変更を加えました。

    人が読んでいる<異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください