《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》45.5話 番外編 クリスマス

12月25日クリスマス。外は一層寒くなってるのに、そんな寒さを賑やかさが忘れてくれる。

わけもなく

「あーさみ〜。一応言うべきかなぁ。リア充発しろ」

 そんな日なのに特に彼と過ごすわけでもなく(というかいない)、家族と過ごす為、晩飯の買い出しに出ていた。

 佐野祐、中學三年。験シーズンにも差し掛かり、本人からすればクリスマス所でもない。ってかそもそも友達とか全然いない。中一中二の時にいろんな意味で暴れたのが原因で......あー死にたい。

「──おいおい、それじゃお前の妹は発するんじゃねぇか?」

 寒い街中を、死んだ目で歩いていると、突然後ろから聲が掛かってきた。

「ん? なんだ蓮か、お前もクリスマスの犠牲者だったか....」

「うるせっ   買い出しか?」

「そうだよ。まぁ別に晝から行かなくてもよかったんだけどな。家にいると悲しさで....ってそんなことはいいんだよ。それよりも、さっき言ってた俺の妹が発するんじゃないかとかなんとか説明しろやこら」

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 まるで妹に彼氏ができたような発言だ。もし出來てたら、今夜はその彼氏とやらのあれを切り落としに行かなければならないことになる。

「やめとけシスコン。お前じゃそいつを殺れない」

「なっ!?そんな強いのか!」

「いや?弱いんじゃね?」

蓮の意味不な発言にチンプンカンプンになりながら、まぁいいやと適當に流す。

「そこでもうし追求しろよお前は....」

「まぁいいじゃんか。あいつに彼氏が出來たんなら、兄離れも....でき........グハァッ!」

「大ダメージけてんじゃねぇか。取り敢えずお前が妹離れしろよな....」

そんなことがありながらも、俺と蓮は無駄に人の多いゲーセンで時間を潰した。

***

「おっと、こんな時間か。そろそろ帰らないも姉貴に殺されるな」

「蓮、お前の家には殺人鬼が住んでるのか....?」

 時刻は17時。外は相変わらず賑やかだ。

「前には蓮の姉さんに會ったことあるけど、優しそうな人だったぞ?」

「んなの貓かぶってるからに決まってんだろ。年も25で焦ってんだよあい──」

 蓮の愚癡は最後まで紡がれることは無かった。

「誰が貓かぶってるって?」

「ぁ....」

 蓮が「あ、死んだ」みたいな顔になっている。こんな蓮久しぶりに見たな。

 後ろにたっていたのは、以前、蓮の家に言った時に會ったお姉さん。坂上 梨恵さかじょうりえさん。蓮のイケメンに追従してだ。

「あれ?祐くんじゃない。久しぶり〜」

「あ、お久しぶりです。1年ぶりくらいですかね?」

「そうね〜 。ん?なんか祐くん変わったかしら? 前は「俺にれるな!」とか言ってたのにねぇ?」

「うぐっ....忘れてください」

 この人も蓮に似て勘が鋭いらしい。+勘が鋭いとか無敵じゃないか....

 そして、梨恵さんは蓮になにか耳打ちをした。すると蓮は全くいてないのに1センチくらい跳んだと思うと。早口でこういった。

「す、すまん祐。今日はそろそろ帰るわ!また暇な時遊ぼうなー!」

そう捲し立てると、姉から逃げるように去っていった。

「....あいつ....なってないわねぇ〜」

 梨恵さんはぼそっと何か言った。

「え?」

「なんでもないのよ〜。ごめんね〜?ウチの弟にいつも付き合ってもらっちゃってぇ〜」

「あぁ、いえいえ、そんなこちらこそですよ。あいつは本當に良い奴です」

「そう? あ、ところでこれから何か用事あるかしら?」

 蓮の話を切り上げると、梨恵さんはそんなことを言い出した。

「え、えっと〜、時間も時間だから、そろそろ買い出しに行こうかなと思ってたんですが」

「あ、そうなの!実は私も今から買い出しだったのよ〜。ついて行ってもいいかしら?」

 突然の申し出だったが、クリスマスに誰かと居れるのは大歓迎だったので快く承諾する。

「勿論いいですよ。一緒に行きましょう!」

「そ、そうね!じゃあ早速行きましょうか!.....一緒..いっしょ......クリスマスに、誰かと....ふへへ」

なんか最後の方は聞き取れなかったが、特に返事を求めてこなかったので、獨り言かなと聞き流した。

***

 

 梨恵さんと一緒に買い出しに行った後、特に何事もなく別れ、家に著く。

「ただいま〜」

 流石に、ずっと外にいた為、中冷え冷えだ。

「おにぃ遅いよ〜!何してたの!?」

「え? いやまぁ、蓮と會ったからちょっと二人でぶらぶらして、その後買いに行ったんだよ」

 この時間じゃあ、いつも買い出しから帰ってくる時間と同じなので決して遅くは無いはずだけど....

「....おにぃはクリスマスでもっ気が無いんだねぇ」

「妹よ、家族だからって言っていい事と悪いことがあるんだぞ?」

「今のはダメだったの?」

 いつもなら擽くすぐりの刑だが、生憎今回に限っては、事実とは々差異があるため、許してやるか。

「いいや、今回は許してやろう。まぁっ気がないのは事実だからな〜あっはっは」

 だが、ここで調子に乗って、親友の人なお姉さんと買いに行ったなどと心踴らせながら、ドヤ顔で言ったりはしない。こういうのは、見せびらかすのではなく、あえてその場では事実を言わずに、あたかも俺はっ気など無い風を裝うことが大事。そしていざって時に、自分の顔の広さを打ち明けるのがベストだ。

 「........ふ〜ん、まぁいいけどね。んじゃほら、早く上がって晩飯の準備しようよ。あ、片方の袋持つ」

「ん、センキュ」

 自然と出てきた手に、軽い方の袋を預ける。それをけ取った結は、その袋を反対の手に持ち替えて、また手を出してくる。

 祐は靴をいで上がると、結が差し出してきた手を、自然と空いている方の手で摑み、二人とも特に反応もなくそのままリビングに向かう。そしてキッチンに著くと結が突然──

「あぁ、なんだ梨恵さんと買い出しに行っただけか」

 そんな妹の確信犯的な行に絶句する祐。

「妹......お前は超えては行けない一線を超えてしまった」

「おにぃの癖に無駄に隠そうとするからいけないんだよ。別に私悪くないもーん」

 こ、この..小娘.......!

「い、いいんだな?今なら謝れば許してやるぞ?」

「? なにが?」

 祐は何も分かっていない無知なる妹に、弾(だと勝手に思っている)を投下する。

「お前に彼氏が出來たことを父さんに言ってやるからな!」

「....は?」

 く....!やはり事実だったのか。結のあんな鳩が豆鉄砲をくらったような顔、初めて見た。

「おにぃ....それどこ報?」

 やっと口を開いたかと思うと、思ったよりドスの効いた聲が屆いて來た。あれ?なんか思ってた反応と違うぞ?

「え....?蓮から......結がリア充。みたいな流れの會話になったから....だけど....」

 結は、目を一瞬でクワッ!と開ける。そしてしの間考え込むような仕草をした後....

「......あ〜。」

え? なんか勝手に納得してない..?

「あ、私言っとくけど彼氏とかいないから。というかもしも、仮にだよ?本當に仮定の話として、私に彼氏がいたら、クリスマスとか2人で過ごすし」

........? つまりどういうことだ? 

「え、えっとぉ? じゃあ彼氏はいないと....?」

「うん、いないね」

「....で、でもリア充ってのは........」

 一瞬、蓮が適當なことを言ったのかと思ったが瞬時に、あいつが噓をつく時は悪い笑みを浮かべるから違うな。と斷言する。

「別にリア充=付き合ってるって訳じゃないでしょ? 私はまぁ、充実してるのは間違いじゃないからね〜」

(そりゃ、一年中數々の行事を、おにぃと過ごせるんならリアルは充実してるもんね)

 ただ、あのライバル的な存在に、分かったような口を言われたのが気にらず、素直に喜べない結。

「....なるほど?」

 上手く誤魔化された自覚はある祐だが、彼氏がいないということが判明したことにより、追求する気も失せたようだ。妹離れはまだまだ先のようである。

***

 「あれ? 雪降ってないか?外」

「え?ほんと? うわ、マジじゃん。何気にホワイトクリスマスって初めてじゃない?」

 見れば外はパラパラと雪がふりはじめていた。その量もしずつ増え、地面は雨などで濡れていなかった為、この調子だと結構積もりそうだ。

「明日は雪かきかなぁ....」

「その前に雪だるま作ろうよ〜」

「コタツから無事出てくることが出來たらな」

 毎年、結は雪だるまを作ろうとか言い出すのだが、だいたいいつも寒くてコタツから出てこれず、作ることが出來ていない。

「まぁ、それは置いといて、母さん達が帰ってくる前に料理作っちゃうか」

「はーい」

 いつもの日常。いつもの景。こんな普通という日々で、いつしか俺は、謎の焦りをじていた。でもこの時は、もうし.....もうし......という言葉に甘え、謎の焦りを無視して、家族と、數ない友人達との日々を送っていたんだ。

 きっと、俺はこの退屈なようで、かけがえのないこの時間を、一生忘れることは無いと心から思う。

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