《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》50話 絶の洗禮 V

「〝────神権発:神威カムイ〟」

 ミスラがそう口にした途端。何か、途轍もない重圧をじた。目に見えて変わった訳では無い。

 だが、その何か分からない不思議な圧は、この場を目に見えて変えて見せた。

 塞き止める風の壁が無くなり、部屋に充満し始めていた紫煙は、再度見えない壁にぶつかり、侵攻を止める。これがミスラの影響だとしたら、圧だけで紫煙を止めていることになる。

 それは正直言って凄い事だ...凄いことなんだが、止めているだけでは解決にはなっていない。結局、未だに紫煙がこの部屋に殘っている現狀が打開できていないのだ。

「この後はどうするんだ?」

「は?どるするもなにも、もう後は殺すだけっしょ」

「..........」

いや、誰ですかあなた。

「えっと〜..ミスラさん?」

「んだよ、うっせぇな。グチグチ言ってねぇで早くあのゴキブリの首斬り落としてこいや!」

 

 

え、えぇ〜...

「い、いやでもまだ紫煙が....ってあれ?」

 ミスラの急な豹変っぷりはさておき、問題が解決してないことを伝えようとして、指差したが、先程まであったはずの紫煙が何故かスッキリと消えていて、そこには2の龍が姿を現している。

「え...?どういう......」

 考えている時間などないとわかっていても、數瞬の間、戸いを隠せずきが止まってしまう。そんな隙だらけの祐を見て、ミスラは───

「いーから、とっとと行きやがれ!この糞蟲がぁ!!!」

 に思いっきり蹴りをれるのだった。

「うぇぇぇ!?ちょ、まっ!うわぁ!!」

 勢い良く前に出て危うく転びそうになった所をギリギリのところで回避して、剣だけは離さずに全力疾走。

 遠くから見ていたシュナもそれに続いて走ってくるのが見えたので、まずは目の前の標的を確認する。

 黒龍、白龍共に怯んだようにかず、弱々しく威嚇している。

 ミスラの、神威って言ったか?あれがそんなに効いているんだろうか。俺にはそこまでの圧はじれないんだけど。

 一瞬だけ、チラリとミスラを見る。

 あ、なんか圧が強くなってきた。これヤバいやつだ。なんか心臓鷲摑みにされてる気分。

 すぐさま視線を目の前に戻し、先程の言葉を思い出す。なんかゴキブリの首を落とせとか言ってたな。そして似ても似つかないが、どちらがゴキブリに近いと言われればそれは明白。

「シュナ、黒いのから片付けるぞ!」

 いつの間にか隣に來ていたシュナは、小さく頷くと、先手必勝とばかりに蒼い炎を吹き出し始める。それをシュナは大して圧もせずに、むしろその規模を數倍に膨らませて放出した。

 その狙いは直ぐに理解出來た。放出された炎が真っ先に向かったのは黒龍───ではなく、その隣の白龍のほうだった。

 その攻撃に白龍は対した抵抗も出來ないまま、まともに食らう。

 圧してない分、1點の攻撃力は低い。だが、今回シュナが放った目的はそれじゃない。

 結果的に白龍のい鱗を剝がすところまでは行かなかったが、白龍と同じくらいに大した蒼い炎は、重々しい白龍の巨を軽々と持ち上げ、吹き飛ばしてみせた。

「いいぞシュナ!ナイスだ!」

 シュナと軽くハイタッチをする。そして後ろからの圧が増した。なんで!?

「は、早くあのゴゴゴゴキブリを片付けよう!じゃないとなんか俺が殺される気がする!仲間に!」

「....? ユウ、落ち著いて?」

 シュナはあの圧をじてないんだろうか....まぁ今はいいか、とにかく、あの黒龍を殺さないと、生きてても俺は死ぬって事だけは分かってる。

「シュナ、取り敢えずあいつの首、持って帰るから力を貸してくれ」

「分かった」

 

 そして、シュナに作戦を伝える。

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