《お姫様は自由気ままに過ごしたい ~理想的な異世界ライフを送るための能力活用法~》第十話『地下神殿の亡霊神父』

「ここが亡霊神父さまがいる地下神殿ですよ、お姉さま!」

二號が案した場所は薄暗い地下神殿。クモの巣が張っていたりして、いかにもなにか出そうな雰囲気があった。

ザブリェットはあたりを見回すと、フッと青い火の玉が通り過ぎて、パッと消える。

「……糸どこ?」

今ではなかなか見かけない、昔ながらの火の玉なアレだと思ったザブリェットは、気がついたら握らされていた二號の手を近くの壁に叩きつけ、火の玉を追う。

「いったぁ~い。お姉さま、待ってください、ぐへぇ」

「……ぶりっ子うぜぇ」

らしくを売る頭のおかしいが大っきらいなザブリェットは二號のもとに戻ってきて、顔に蹴りをれる。

前世の記憶。天が歩いている時によそ見をしていたぶりっ子と肩をぶつけたことがあった。今の二號と同じよに「いったぁ~い」とかなめくさったことを言っていたので「……ちょっとぶつかっただけじゃない。気持ち悪い」と言って、ぶつかった肩を手で払った。すると、ブロッコリー子……じゃなくって、ぶりっ子なの子は天の興味のないものに向ける冷めた目にビビリ、泣きながら逃げてしまう。

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次の日、ぶりっ子が子のグループから文句を言われた。「あなた、気持ち悪いのよ」、「あんたがこの子を泣かせたんでしょ。謝りなさいよ」などと誹謗中傷をたくさん言われる。

イラッときた天は、ぶりっ子子の襟首を摑みとり、その時ハマっていたスライム(食用)を口の中に流し込んだ。泣きながら「ごぼごぼ」言っていたぶりっ子なの子は、次第にきが弱くなり、ぐったりとしてしまう。

それを見たほかの子たちは「人殺し~」とんで出て行ってしまったけど、ぶっちゃけ、このぶりっ子は気絶もなんにもしていない。

口元をもごもごさせて、何やら輝いた目で天を見つめている。

もう一つの食用スライムを出してやると、ぶりっ子なの子はスライムに釘付け。相當味しかったようで、ペットに餌を與える覚で、プレゼントした。

そしたらなんと、ぶりっ子なの子は天のストーカーになってしまったのだ。蹴っても嬲っても、全でトイレに放置しても、炙っても、ミミズのツボに浸からせても、恥ずかしい寫真を曬しても、まるで気にしない。最終的には警察が出てくる始末。

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どうやら天が作った食用スライムは依存みたいなのがあったようで、大変な事件となった。

つまり、その記憶を持つザブリェットはぶりっ子が大っきらいなのだ。イケメンと次に嫌いなものといえば、絶対にぶりっ子と言うぐらいに嫌い。だから蹴りをれる。

それでもめげない二號は、痛みに軋むかして、なんとかザブリェットのそばに行こうとする。

「ねぇ、なんでこんなところにいるの? 案が終わったんだから、一號を手伝ったら?」

「え、なんでですか! 僕をそばに置いてくれるんじゃ……」

「嫌だ! お前気持ち悪い!」

「ガーン……、僕の……どこがいけないのでしょうか、お姉さま」

「うーん、存在?」

「うわ~ん、僕は善良になって、サキュバスを卒業してやるぅぅうぅぅうううぅぅぅ」

二號は涙を流し、逃げるようにして走っていった。それにしても、善良になってサキュバスを卒業とはなんなのか。悪魔ってそういうもなのかと、謎をたくさん殘してくれたので、二號の背中を見送っているザブリェットはしだけ機嫌を治す。

そんなことはつゆ知らず、腕で涙をぬぐいながら走る二號。この地下神殿には、広い地下空間を支えるための大きな柱がいくつもある。

「ぶへぇ!」

前を見ていなかった二號は、その一つに顔からぶつかった。あまりの勢いにぶつけた顔を抑えて転げまわる。

「ねぇ、二號……大丈夫?」

流石に見かねたザブリェット。雑には扱うものの、まだ利用価値があるために、優しい一面も見せないと思い、近くによって聲をかけた。

それに激した二號は目を輝かせながら「お姉さま……」などとつぶやいた。

(この子……本當に気持ち悪いな。あれかな、サキュバスだから?)

サキュバスに偏見を持ち始めたザブリェット。冷めた目だとまた逃げられるので、慈悲深い雰囲気を意識して優しく微笑んだ。

「私は亡霊神父に話を通しておくわ。だから貴方は一號のもとに行って頂戴。別にあなたが嫌いじゃないの。でも、一號だけに押し付けるのはかわいそうでしょう?」

優しげな聲に二號はする。そして、自分勝手だったことを悔やんで涙を流す。

「ごめんなさい、お姉さま。僕は本當に自分勝手でダメなサキュバスですね。

でも、お姉さまの言葉で目が覚めました。一號も僕と同じ、お姉様をする者。互いに協力して支えてこそなのですね」

「あ、うん……」

予想外にされてしまったザブリェットの額に汗が垂れる。

どうしてこんなにしているんだろうと、心の中で問い続けるが、答えがでない。

きっと二號には二號なりの考えがあるんだろうと、ザブリェットは納得する。

そして、微笑んで地下神殿の口を指さした。

「さぁ行ってらっしゃい。一號が待っているわ」

「あいあいさー」

二號は兎の如く言ってしまう。姿が見えなくなると、ザブリェットは再び火の玉をさがす。

正直、あれで遊びたい衝のせいか、右腕が若干疼いている。だけど、今日寢るためのベッドをどうにかするために、ザブリェットはかなければいけないのだ。そう……カビの生えたベッドで寢ないために!

だけどには抗えないザブリェット。亡霊神父に會うことを忘れて、火の玉探しに沒頭する。

キョロキョロと探し回っても、火の玉などどこにもない、寂しい空間が広がるだけ。

「もう! どこいったのよ。あのひ……のた…………ま?」

目の前をふよふよと浮かぶ火の玉が目の前を通り過ぎる。そして、ちょっと距離が離れたところで止まった。まるであとについて來いと言っているかのようで……。

「……捕まえる?」

やっぱりザブリェットは馬鹿だった。この地下神殿を維持するための柱に手を當てて、『創造クリエイト』を発する。ちなみに、余ってしまうほど大量のテディベアの皮の一枚も材料に使用する。

したのは蟲取り網。取っ手部分は柱を材料に石造り。テディベアのふわふわの皮から網を作した、鈍のような蟲取り網。

ザブリェットはそれを振り回しながら火の玉を追いかける。ちなみにいらないものは『時空庫ウムツァイト・ラーガー』にぶち込んであるので問題ない。

まるでおいしいお菓子でも見つけたかのような笑顔になりながら、火の玉を追いかける。

當然火の玉は逃げるわけだが、地下神殿の一番奧に到著したところで、スーっと消えてしまった。

「おもしろどこ!」

ザブリェットはキョロキョロとあたりを見渡す。だけど不気味な雰囲気を漂わせた地下神殿の中には誰もいない。ただ、よくわからない祭壇がポツンとるだけの靜かな場所。一人、取り殘されたようで、しばかし寂しくなる。

ザブリェトは蟲取り網を神の祝福で唯一使えるかもしれない能力『時空庫ウムツァイト・ラーガー』に放り込んで、その場で育座りをした。

「はぁ……一號と二號……まだかな……」

多分熊じゃなくて、テディベアに苦戦しているであろう二人。早く來てとザブリェットは心の中で願う。

〈ふふふ、可らしいお嬢さんですね〉

「……ん?」

突然、頭の中に直接聲が響いてくるじがした。びっくりしたザブリェットは立ち上がり、周りを見渡すが誰もいない。

気のせいかと思い、「はぁ」とため息を吐いて、再び座り込もうとした次の瞬間、突然祭壇がりだした。

まるで、祝福がそこに降り注いでいるようで、あたりを照らしが踴る。目を凝らしてみると、ほとんどが火の玉……ではなく、ゴースト系の魔だった。

その魔たちはまるで王様がきたかのように頭を下げる。ザブリェットはその中心となっている場所に視線を向けた。

すると、そこから一人の青年が現れる。姿はうっすらとけており、ゴーストっぽい雰囲気。しかし注目すべきはそこではない。とてつもないイケメンなのだ。イケてる面の方のイケメンだ。雰囲気だけなら、心も素晴らしいだろうと思わせる。

スラっとした背丈と格、髪はちょっと短めな黒髪だけど、某ゲームの神父がかぶっているような長い帽子をかぶっている。

ちょっとかわいい系の顔立ちだが、きっと普通のなら一目惚れするだろう。

そんなゴーストっぽい超イケメンは、ザブリェットに優しく聲をかけた。

「私はこの神殿のエリアボス、魔國領では魔王様直屬の幹部を努めております、亡霊神父と申します。お嬢さん、どうしましたか」

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