《お姫様は自由気ままに過ごしたい ~理想的な異世界ライフを送るための能力活用法~》第二十六話『セクハラ犬にはキツイ罰を』
「この変態犬。さっさと荷を運びなさい」
「っく……なんて理不盡な」
あのあと、ザブリェットの『瞬間移テレポート』によって魔王城の外まで戻ってきた。
そこからザブリェットの部屋となる汚い牢屋に木材を運ばなければいけないのだが、ザブリェットはもちろん、一號も二號も手ぶらだ。
大きな荷馬車のようなもの(ザブリェット作)に大量の木材を積み、それをポチがひとりで運んでいた。
エリアボスであるポチでもなんとか運べるほどの重量。それをひーこら言いながら、運んでいる。
まぁ當然と言えば當然かも知れない。魔と化した人形たちにセクハラした駄犬にはちょうどいい罰になっているのだろう。
ところで人形たちはどうなったこと言うと、あのウラウスの森においてきたようだ。
なんでも、『この森は我々に任せて』と目で語っていたので、「しかたないな~」ぐらいなじでザブリェットが置いてきたようだ。
當然ポチは文句を言うが、変態のいうことなど聞く耳持たない。平手打ちをされて、ポチの意見は一蹴される。
Advertisement
「ほら、駄犬。ちゃっちゃと運びなさい。早くしないと日が落ちちゃう」
「くっ……殺せ」
「犬のくっ殺はどうでもいいから、びしばし働きなさい」
夕方、日が傾いて空が夕焼けに染まる。これから部屋を改裝するのに、日が落ちてからだと余計な魔力を使ってしまう。別にザブリェット的にはどうでもいいのだが、寢る時間が遅くなってしまうのはちょっと嫌だ。
だっておが……。
そんなわけで急いでいるザブリェットたち。ポチの歩くスピードに合わせながら、ゆっくりと魔王城の中にっていく。
「お、姫さん。おかえり……って、ポチは何をやっているんだぁ?」
ちょっと泥だらけな畑仕事大好きヘルトさんとばったりあった。
奴隷のように働いているポチを見て、ちょっと驚いたような顔をする。
「ポチには罰を與えているの。犯罪者なんだから當然でしょう」
「はぁ、一ポチがなにしたんだべさ」
「セクハラ」
「……オラはなんも言えねぇ」
ジト目でポチを睨むヘルト。その顔が心に刺さったのか、ポチの神に大ダメージ。今にも泣きそうな顔になる。
そのせいか、きがゆったりし始めたので、一號と二號がムチを打った。
「ほら、ポチ様。ご主人様が與えた罰なのです。しっかりこなしなさい!」
「そうですよ、お姉さまにセクハラなんて……なんてうらやま……じゃなくてけしからんことを!」
「オメェら……あとで覚えておけよ」
「ポチ、ふたりにセクハラしたら土の下に送ってあげる」
「姫はいちいち言うことが怖いんだよ。なに、土の下って、俺殺されるの?」
「いや、生き埋めだけど。だってこの世界は死者が簡単に復活できるし」
「あーうん、そう。なんとなくわかっていたよ。なんもしねぇよ。はなんて怖いんだ」
「えっと、姫さん?」
「なに、ヘルト」
「ほどほどで許してやってぐんねぇかな。その、ポチも悪気はなかったと…………思うんだぁ。そのへん考慮して、ほどほどで許してやってほしいっぺ」
「うん、そのつもりだけど。この大量の荷を運んでもらって、雑巾元いい、部屋の改裝を手伝ってもらう予定だから」
「ちょ、雑巾ってなんだよ!」
「ポチうっさい」
ポチは「一何だよぉぉぉぉ」とかんだけど、まぁ自業自得だよなとだれもが思ったので、それ以上何も言わなかった。
ただ、ポチの罰を見て、だれもが思ったことがある。ザブリェットは怒ったらかなり怖いというか、えげつないことを要求してくると。
それに合わせて、一號と二號の評価が上がった。
あんなおてんば鬼畜姫のそばにいて、何度も死んでいるにも関わらずをぶ二人に。
でもまぁ、このことについて、ザブリェットとお供のふたりが知ることもなかったが。
******
「さて、到著したけど、やっぱり臭いわね、ここ」
ザブリェットのお部屋に到著した頃、完全に日が落ちてしまった。あまりにもポチの歩くスピードが遅いためである。
そんなわけで、魔法で明かりを燈すザブリェット。ちゃんと完させたベッド意外、とっても汚いお部屋が目に映る。
「さて、ポチ。もうひとつ仕事をしてもらうわよ」
「一何をさせようとしているんだよ」
「え、地面に寢っ転がってもらうだけだけど」
「なんてえげつねぇことを言い出すんだよ。噓だよな、噓だと言ってくれ」
「いや、ほんとにやってもらうけど。じゃなきゃ罰にならないじゃない」
「ち、ちくしょおおおおおおおお」
ポチは泣きながら、りの多い、汚い部屋を転げまわる。
ふわふわな並みは雑巾のように汚れを拭き取って、多なりと床が綺麗になっていく。
「あ、そこの壁あたりもかなり汚いからよろ」
「う、ううう」
なんか汚された乙のような虛ろな目をしながら、自分ので汚れを拭き取っていくポチ。
かなり可哀想だけど、これぐらいで許してあげるのだから、優しい方じゃないとザブリェットは思っていた。
前世では、男が癡漢してもセクハラしても、社會的地位がどん底に落ちてしまい、生きてはいけない。
差別いけないとか、もっと平等にとか言っているがいたりいなかったりするが、もうすでに尊男卑では? と言えるほど、が優遇されているような気がする日本という國で生きていたことがあるのだ。
男からへのセクハラはかなり大きな事件になっているにも関わらず、から男へのセクハラはあまり大きな事件にならない。実際に側からのセクハラが実在しているにも関わらずに、だ。
優先や専用車両など、が優遇されているあれやこれやがあったりするのに対し、男は特にない。
男はにお金を握られて、馬車馬の如く働いているのに、ちょっと家族に対してサービスが足りないんじゃない? とか言われる始末。家族のために働いて、家族のために遊んであげて、ひーこらいいながら頑張っているのに、稼ぎがない、もっと働け、おこずかいはこれだけね、とか言われる悲しい男の運命。
男は結婚したらの奴隷になるのと変わらない。だからこそ『結婚は人生の墓場』なんて言われているのだが。実際は、安定した幸せな場所にたどり著いたとかそんな意味合いがあるかもしれないのだが、家族ごとにじ方が違うため、人によっては本當の墓場かもしれない。
來棲天として生きていた時はすでに、共働きしないと生活出來ないし、大手にでも就職しないと、まともな生活ができない國と呼ばれていた時代で、文句を言う余裕がないというか、養っていかなければいけないので我慢しなきゃと、ストレスを抱えながら生活する人が多かったのだが。
そんな世界の記憶を持つザブリェットだからこそ、この程度の罰は生易しいと思うのだが……。
いい年した大人が、泣き喚きながら、汚い床にをこすりつけて掃除をさせるのは、この世界にとってかなりの極刑だとじさせるものがある。
大、ポチはワーウルフだ。嗅覚がかなりいい。そんなポチに汚く、臭い部屋で、を使った掃除なんてものをさせたら、下手すれば死んでしまう。
まぁ、あまりにも酷いものだと、脳リミッターが発して、匂いをシャットダウンさせるのだが、それでもある程度苦しいのは変わらない。
「こ、これでいいだろうぅぅぅぅぅ」
「うん、もうちょっとやってもらいたかったんだけど」
「もう勘弁してくれぇぇぇぇ」
「しょうがないな。後は私が勝手に部屋を改裝するから。今回はこれで許してあげる」
「うう、ううううう」
「ほら、を洗ってきなさい。せっかくのふわふわが臺無しよ?」
「ちっくしょーーーーーー」
ポチは臭い匂いを漂わせながら、風呂場に一直線に走っていった。
ザブリェットはポチの背中を目で追っていき、見えなくなったところで一號と二號に指示を出す。
「さて、二人共、この部屋を改裝するわよ」
「「あいあいさーー」」
元気よく返事をする二人に、うんうんと頷き、ザブリェットは部屋を見渡す。
さて、この汚い部屋とおさらばする時が來たようだ。
【8/10書籍2巻発売】淑女の鑑やめました。時を逆行した公爵令嬢は、わがままな妹に振り回されないよう性格悪く生き延びます!
公爵令嬢クリスティナ・リアナック・オフラハーティは、自分が死んだときのことをよく覚えている。 「お姉様のもの、全部欲しいの。だからここで死んでちょうだい?」 そう笑う異母妹のミュリエルに、身に覚えのない罪を著せられ、たったの十八で無念の死を遂げたのだ。 だが、目を覚ますと、そこは三年前の世界。 自分が逆行したことに気付いたクリスティナは、戸惑いと同時に熱い決意を抱く。 「今度こそミュリエルの思い通りにはさせないわ!」 わがままにはわがままで。 策略には策略で。 逆行後は、性格悪く生き延びてやる! ところが。 クリスティナが性格悪く立ち回れば立ち回るほど、婚約者は素直になったとクリスティナをさらに溺愛し、どこかぎこちなかった兄ともいい関係を築けるようになった。 不満を抱くのはミュリエルだけ。 そのミュリエルも、段々と変化が見られーー 公爵令嬢クリスティナの新しい人生は、結構快適な様子です! ※こちらはweb版です。 ※2022年8月10日 雙葉社さんMノベルスfより書籍第2巻発売&コミカライズ1巻同日発売! 書籍のイラストは引き続き月戸先生です! ※カクヨム様にも同時連載してます。 ※がうがうモンスターアプリにてコミカライズ先行掲載!林倉吉先生作畫です!
8 77【書籍化+コミカライズ】悪虐聖女ですが、愛する旦那さまのお役に立ちたいです。(とはいえ、嫌われているのですが)※完結済み
★書籍化&コミカライズします★ 目が覚めると、記憶がありませんでした。 どうやら私は『稀代の聖女』で、かなりの力があったものの、いまは封じられている様子。ですが、そんなことはどうでもよく……。 「……私の旦那さま、格好良すぎるのでは……!?」 一目惚れしてしまった旦那さまが素晴らしすぎて、他の全てが些事なのです!! とはいえ記憶を失くす前の私は、最強聖女の力を悪用し、殘虐なことをして來た悪人の様子。 天才魔術師オズヴァルトさまは、『私を唯一殺せる』お目付け役として、仕方なく結婚して下さったんだとか。 聖女としての神力は使えなくなり、周りは私を憎む人ばかり。何より、新婚の旦那さまには嫌われていますが……。 (悪妻上等。記憶を失くしてしまったことは、隠し通すといたしましょう) 悪逆聖女だった自分の悪行の償いとして、少しでも愛しの旦那さまのお役に立ちたいと思います。 「オズヴァルトさまのお役に立てたら、私とデートして下さいますか!?」 「ふん。本當に出來るものならば、手を繋いでデートでもなんでもしてやる。…………分かったから離れろ、抱きつくな!!」 ……でも、封じられたはずの神力が、なぜか使えてしまう気がするのですが……? ★『推し(夫)が生きてるだけで空気が美味しいワンコ系殘念聖女』と、『悪女の妻に塩対応だが、いつのまにか不可抗力で絆される天才魔術師な夫』の、想いが強すぎる新婚ラブコメです。
8 96優等生だった子爵令嬢は、戀を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~(書籍化&コミカライズ)
子爵令嬢のセレスティーヌは、勉強が大好きだった。クラスの令嬢達と戀やお灑落についておしゃべりするよりも、數學の難しい問題を解いている方が好きだった。クラスでは本ばかり読んでいて成績が良く、真面目で優等生。そんなセレスティーヌに、突然人生の転機が訪れる。家庭の事情で、社交界きってのプレイボーイであるブランシェット公爵家の嫡男と結婚する事になってしまったのだ。嫁いですぐに子育てが始まり、最初の十年は大変だった事しか覚えていない。十六歳で公爵家に嫁いで二十年、五人の子供達を育てブランシェット家の後継ぎも無事に決まる。これで育児に一區切りつき、これからは自分の時間を持てると思っていた矢先に事件が起こる――――。六人目の子供が出來たのだ……。セレスティーヌが育てた子供達は、夫の愛人が産んだ子供。これ以上の子育てなんて無理だと思い、セレスティーヌは離縁を決意する。離縁してから始まる、セレスティーヌの新しい人生。戀を知らない令嬢が、知らないうちに戀に落ち戸惑いながらも前に進んでいく····そんなお話。 ◆書籍化&コミカライズが決定しました。 ◆マッグガーデンノベルズ様にて書籍化 ◆イラストは、いちかわはる先生です。 ◆9人のキャラデザを、活動報告にて公開
8 130【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132覇王の息子 異世界を馳せる
官渡の戦いで曹操、討ち死に!? 袁紹軍に包囲された宮殿。曹操の後継者 曹丕は死を覚悟していた。 しかし、袁紹軍の包囲網を突破し曹丕を救った者がいた。 その者の名前は関羽。 夜通し逃げ走った2人がついた先は 魔法と呼ばれる幻術が存在し、モンスターと呼ばれる魑魅魍魎が存在する世界だった。 そんな世界で曹丕は、覇王として復権を目指して進んでいく。
8 100俺の妹が完璧すぎる件について。
顔がちょっと良くて、お金持ち以外はいたって平凡な男子高校生 神田 蒼士(かんだ そうし)と、 容姿端麗で、優れた才能を持つ 神田 紗羽(かんだ さわ)。 この兄妹がはっちゃけまくるストーリーです。
8 57