《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第十話~不安定な旅人5~

まあでも、アンリエッタがなんで顔を赤くして、俯いてしまったのかは理解した。

稱號で『同棲をする乙』なんてものがあるんだし、私のこと好きなの?

私はそんな屬持ってないよ。百合じゃない、斷じて百合じゃない。

だけど、狀態まで『する乙』になっているこの子に、ごめんなんて言った日には……もっと酷いことになりそう。

その理由は、アンリエッタが持っている、とあるスキルにあった。

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と嫉妬の心』

パッシブスキル。

する心の揺らぎが一定のしきい値を超えたとき、その想いの方向、目的に合わせて就出來るだけの力を得る。ただし、狀態異常を引き起こす。

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これはあれですか、メンヘラとかヤンデレっていうじでしょうか。

下手なこと言ったら、すごい事件に発展する予。このことは、心の奧底にそっとしまっておこう。

れたら怖い、怖すぎる。

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という訳で、私は々と諦めることにした。

だってしょうがないでしょ! 下手すりゃ私が殺されるわ! 死なないけど!

でも、監エンドなんてなりたくないよ。しかも百合でしょ?

どっかのネット小説には、悪役令嬢ものが流行っていて、監エンドなんてものがあったような気がするけどっ!

私はぜ~ったいに嫌だ。何が嬉しくて監されなきゃいけないのよ。

私、こんなところに監されても、あなたをしているわ。あなたが私をしてくれなくても、ずっと思い続けています……って何さ!

え? 監されても喜ぶ悪役令嬢の考えが理解できないし、したくもないよ!

くっそ、嫌なこと思い出した……。そういえば、遙か昔、俺様と結婚するんだ、そこでじっくり考えなって、顔だけ野郎の王子様に監されたことあったっけ。あれは怖かったな。國滅ぼしたけど!

その世界は、グンマーっていう、全ての概念をグンマーに変える強力な奴らに侵略されていたけどさ。滅ぼしたあと、その跡地は全てグンマーになったな。

グンマー、グンマー!

ちなみに、日本の群馬県は関係ないよ。あれは似て非なるものだったから、これだけは言わせてしい。

そもそも、草津溫泉もないし、味しいこんにゃくだって、桐生うどんだってないんだよ。他にも、群馬には素晴らしい魅力がたくさんある。なのに、あいつとこたら、全てをグンマーに変えるだけ。

ふざけんな! 何がクンマーだ! ただのパクリじゃねぇか!

群馬ファンに喧嘩売ってんじゃねぇ!

ちなみに私は群馬県民ではありません。ただ、群馬に憧れている普通のの子ですっ!

うわぁ、思い出したくないことがたくさん出てきた。もう、考えるのをやめよう。この話題は気にしな~い!

「ふう、トラウマが出てきたわ……」

「ト、トラウマですか! ここは王都ですよ。なんで魔がっ!」

アンリエッタは私にしがみついて、あたりをキョロキョロとする。なんか周りを警戒しているような……あ、そういえば、この世界では虎馬トラウマって魔がいたんだっけ。

トラ模様の馬で、食。気が荒くて、目につくものなら同族でも襲う。たまに息するのを忘れて死んでしまう特殊な魔だ。

ほっとくと勝手に死ぬけど、その強さは災害級。下手すりゃ王都の一角にが流れるかもしれない。馬鹿だけど強い魔なのだ。馬鹿だけど、馬鹿だけど!

「あのね、アンリエッタ。トラウマっていうのは、私の世界では神的な傷のことを言うのよ。だから、その、あなたが考えているような魔ではないわ」

「はふぅ、そうだったのですね。怖かったです。すいません、小雪様」

「ところで、その、アンリエッタ。小雪様っていうのはやめてくれない。様づけってなんだかムズくて……」

「そ、そうでしたか……。すいません。では、なんて及びすればいいでしょうか」

「別に小雪でいいわよ」

「そ、それでは……お姉さまって呼んでもいいでしょうか?」

「えぇ! なんで!」

唐突に何を言い出すんだこの子は。え、マジで百合ルート確定ですかっ! まだ出會ってほんのちょっとのはずなのに!

このあと、アンリエッタの言うことがわかっちゃう自分が殘念で仕方がない。ふへ~。

「それでは、姉妹の契りをわしましょう。それとも……夜伽……でしょうか。でもまだ明るいですし……」

「ハイ、的中……って夜伽! それって、寢所で、が男の相手をするあれだよね!?

話ぶっ飛びすぎでしょう! 何言ってんのよ!

駄目、ぜ~ったいダメ、お姉様はダメ! 小雪お姉ちゃんにしなさい!」

「うう、そんなぁ~」

「これは絶対に譲らない」

「私、諦めませんから! 絶対に落としてみせますね、小雪お姉ちゃん!」

「お、おう」

すごく爽やかな笑顔。輝いて見えるぜぇ。

これが、妹屬の力かぁ! お姫様屬を持っているアンリエッタに、妹屬が付屬されたら、無敵じゃねぇ? これは、私が落とされるのも時間の問題か! だって神がチョロ子だもん、私。

ああ、この子と旅をして大丈夫なんだろうか? 大丈夫じゃないような気がするんだよな……。いつか襲われそう、的な意味で。ませてるだけじゃすまなそうな気配を漂わせてるから、この12歳のお姫様は。

「あの、小雪お姉ちゃん。それで、私のことはアンリってお呼びください」

「え、なんで?」

稱です。親しいものからは、正式の場以外はアンリって呼ばれているんです。駄姉と腐父には一度も呼ばれたことありませんが……。それに、名前で呼ばれることすら滅多にありません」

「まあ、稱って、あだ名やニックネームのことだから、そんなもんだろうけど……って名前まで!」

あれ、アンリの家族関係ってすごく悪いのかな。うわぁ、どうしよう。困ったなー。

家族関係を修復してって言われても、私にはどうすることもできないよ。そもそも、シルエット姫や悪臭王には嫌われているですし、今更會いに言っても殺されるだけじゃねぇ。死なないけど。

「わかったわよ、アンリ。これでいいかしら」

「ーーっ! あ、ありがとうございます、小雪お姉ちゃん! くふ、ふふふふふふふ」

「ちょ、ちょっと、大丈夫?」

「ハイ! 大丈夫です! くふふ」

的には嬉しそうに見えるんだけど、なんだか怪しい気配をじる。それに、くふふなんて笑い方をするやつ、復讐者とか快楽殺人鬼しかいねぇよ。私の経験上、斷言できる。

やっぱりこの子……狂気を持っている可能がある。

ここは、お姉ちゃんとして、しっかり導いて行かなければ!

でも、今すぐどうにかできることでもないだろうし、今後の課題にでもしておこう。そうしよう。

べ、別に後回しにしようとか、そんなこと思っていないんだからね!

「とりあえず、これから私はニートリッヒに向かうわ」

「ニートリッヒって、あの霧に閉ざされた町ですか?」

「うん、そのニートリッヒだね。なんか変な噂とか流れているみたいだしね。危険なことがあるかも知れないから、調査しておかないと」

「変な噂……もしかして、あれですか? 勇者関連者しか襲わないゾンビが霧の奧から現れるって」

「……え、なにそれ、私知らないんだけど」

シンのやつ。デタラメ教えやがったな!

ああ、分かっていたさ。半分冗談だって言ってたからな。

でも、もしかしたら、ワクワクドキドキの天空の城遊園地があるかもしれないって、ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけ期待していたんだぞ! それなのに、それなのに!

「こ、小雪お姉ちゃん! 目からが!」

「え、あ……」

アンリに言われて目元をこすってみると、べっとりとが付いた。

悔しさがこみ上げてきたせいか、つい、涙を流してしまったようだ。

これじゃあ、あのギャルゲーマーな憲兵に何も言えねぇな。っけ、私としたことが……やっちまったぜ。

「あの、治癒魔法を……」

「ああ、大丈夫だよ。ちょっと悔しい出來事を思い出しただけだから」

「そ、そうですか……ならいいですけど」

アンリはほっとしたようで、こちらに笑顔を向けて、さりげなく抱きついてきた。

こ、この子、なんて策士!

さりげなくボディータッチして、私との距離をめようとしているんだ。怖い、ガチ百合な怖いよ!

うわぁ、このこと旅して大丈夫かな?

いや、私はくじけないぞ。さっき決めたじゃないか。アンリが道を外さないように導いていこうって! やるぞ、やったるぞ~。

「とりあえず、先に目指すは、エクリプセかな」

「たしか、ニートリッヒに一番近い町でしたね。傭兵の町って呼ばれているほど、武蕓に優れた人が集まるところですね!」

「私たちは旅人になるわけだし、お金を稼ぐ手段を手にれておかないと」

「それでは、傭兵ギルドに加されるのですか?」

「ま、そういうことになるかな」

この世界に冒険者なんて職業はない。そもそも冒険が仕事っておかしくねぇ。専門は専門職の人に任せる、それが一番。

んで、私が加しようと考えている傭兵ギルドは、その名の通り、各傭兵団がうまいぐわいに仕事ができるよう取りまとめている所だ。主に護衛や魔討伐なんて仕事を擔當しているね。

戦うことしかできない奴らが行き著く最底辺の場所ってじかな。

お金はかなり持っているけど、消費するだけだとこの先不安だし、登録しておいて損はないよね。

「さあ、アンリ。準備は出來ているかしら?」

「ハイ、小雪お姉ちゃん!」

「じゃ、エクリプセ目指して、行くわよ!」

「えっ! 今すぐ行くんですか!」

「何言ってんのよ。アンリは準備できているんでしょ?」

「その……私は準備できていますけど……小雪お姉ちゃんは……本當にその格好で?」

自分の姿をよく見ると、寢巻きだった。

あっれ~いつ著替えたんだろう?

って、そういえば、シンが帰ったあと、ちゃんと著替えて寢たんだっけ? あれ、どうだったっけ。やば、この年でボケ? い~や~だ~って、私は既に兆超えのおばあちゃんでした……。

しかも、アンリに指摘されて……やだ、恥ずかしい。

「……ごめん、準備するから待ってて」

「ハイ、小雪お姉ちゃん!」

私は、急いで支度を整えて、首吊り亭をあとにした。著替え中、顔を赤くしながらも、じっと私を見つめるアンリの視線がやばかった。チビっちゃうところだったよ。怖いよ12歳。

でもまあとりあえず、目指すは、エクリプセ!

私はやったるぞ! 絶対に、死んでやる!

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