《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第十七話~彷徨う死者1~
「うぇ……よく眠れなかった」
私は今、強烈な睡魔に頭を悩ませている。
というのも、寢ようと思って橫になったあと、寢息が聞こえているアンリが私のをまさぐってきた。
いやね、自分でも日本語がおかしいなって分かっている。
だけど実際に聞こえたんだよ! 「すぅすぅ」って寢息がっ!
なのに、目が開いていて、意気揚々と私のの隅々をってくる! 怖っ!
今後、アンリとは普通の宿で泊まろう。
今回の事件はダブルベッドだったのがいけないだろうしね。
ベッドが分かれてしまえば、寢相と稱して、ヤン子ことアンリが私にいたずらしてこなくなるだろう。
……もしかしたら普通にベッドに潛り込んで來る可能があるかもしれないけどね!
やだどうしよう。私の貞は守りきれるのか!
いつか、抵抗むなしく、いやいや言ってる私を、ぐへへとか言いながら襲ってくるアンリの姿が、容易に思い浮かべられる。
だめだ、このままじゃダメなんだ。
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あともう一人か二人ほど、仲間を増やさないと……。
できれば、アンリのヤンにれず、私を守ってくれる人がいいな。いなそうだけど。
「アンリ、今日はまず、傭兵ギルドで仕事を……って、聞いてる?」
「すぅすぅ」
「いや、目を開けて、服を著替え終わっている子が何、まだねてますっ! みたいなこと言ってんの。ちょ、ま、だから私のをベタベタとらないでよ!」
アンリは目を開けて、手をわきわきさせながら近づいて來る。ヤンデレの次は変態オヤジですかっ!
この子、いくつ屬を追加すれば気が済むんだろう。
は盲目になるっていうけど、これは流石に……。
ほんと、どうにかならないのかな?
いやマジで。
「そ、そんなぁ……。いつですか! いつになったら、その小さなをらせてくれるんですか。ポチっとでいいんです。一回押させてください!」
「どこの龍帝だ! もう、朝からそんな冗談言わないでよ」
まさか、龍帝になりかけているよ。いやね、あの作品も大好きだよ?
アニメしか見たことないから、原作は知らないけど。
ガチでおっぱいばっか連呼する龍帝だけど、仲間を思う姿はガチでかっこよかったし、三期の覇龍化あたりは、ないにぐっときた。
買おうと思っても、流石に巻數が出過ぎてて……買うのためらっちゃって。
今思えば、しっかり読んでおけば良かったな~。
なんて思い出に浸っていると、アンリが隙を付いてをポチっとしてこようとする。
「だから、ダメだってば!」
「じゃあ、今度……今度いいですか?」
「……おとなしくしてくれたら考えてあげる」
「よっしゃあああああああああ」
この子、本當にお姫様なんだろうか。
もうよくわからない。はは、なんか泣けてきた。るーるーるー。
「とりあえず、いこっか?」
「ハイなのです! くふふふ」
元気がよろしいようで。
とりま、傭兵ギルドに行きますか!
◇ ◆ ◇ ◆
はい、やってきました傭兵ギルド。
今日は思ったより人がいるね。ワイワイ騒いでいるというよりかは、飢えた食獣のように、仕事を奪い合っているってじかな?
ところどころで、毆り合いの喧嘩をしている奴らがいる。うわぁ、近寄りたくねぇ。
だけど、こう、遠くから見ていると、ガチムチな男同士が、あんあん言いながらぶつかり合っているように見える。
これはあれか、私の目が腐っているじなのか?
「朝からホモってますね、小雪お姉ちゃん!」
「だからそんな笑顔で言わないでよ! なんか悲しくなってくるじゃない」
うう、アンリ、やっぱりそっちもいけちゃう系なの?
それにしても、率が本當に低いね。付などをする職員には、何人かいるけど、傭兵は一人もいない。
子供が登録する場所じゃないんだろうか。
まあいねぇわな。私たちぐらいだよ、こんな場所に登録しているの。
仕事の付は……ひげもじゃに言えばいいんだっけ?
私とアンリは赤の付に向かった。
「すいません! 仕事ください!」
「あぁ誰だ……って昨日の生ゴミの小雪じゃねぇか。どした、いい仕事見つけたか?」
「いや、仕事を紹介してしくて……」
「それなら、そこの依頼ボードにってっから、適當に選んでもってこい。ただし、自分の実力にあった仕事を選べよ。じゃねぇと死ぬからな」
「忠告ありがとう。でも、あそこに行きたくないんだよ」
ひげもじゃが教えてくれた依頼ボードなるものがある場所は、がちむちな男同士がひしめき合う悪夢の様な空間になっている。
どう考えても、あんあん言っているようにしか聞こえない、激ホモ空間に私が突っ込めと! 下手すりゃ死ぬわ! 神的に!
いくら死ねなくても、心は守れないのよっ!
「仕方ねぇな。どんな依頼がやりてぇ。いくつか見繕ってやる」
「わあ、ありがとう!」
ひげもじゃ、本當に助かるよ!
「っむ、小雪お姉ちゃんが好意の視線を向けている気が……。こいつは敵ですね。捌きましょう」
「アンリ! 親切にしている人には好意を向けるのは普通なの。だからやめなさい。じゃないと……嫌いになるわよ」
「あわわ、ごめんなさいっ! そんなこと思っていません。だから嫌いにならないでぇ~」
ほろほろと涙を流して、鼻水を垂らしながら、私の服を摑んで必死に懇願するアンリ。
なんだろう、売るために荷馬車に乗せた子牛に、捨てないでって懇願された気分になってくる。ああ、なんかドナドナ~って聞こえてきたよ。
「大丈夫、アンリがいい子にしていたらそんなことしないから」
「ホントですかぁ! ありがとうございます!」
パーっと明るい表に変わったアンリは、私の腕に抱きついて、をこすりつけてくる。
むむ、ちょっと大きくなってる?
もしかして、私より大きいのっ!
ああ、目から汗が垂れてくる……。
「お前ら……何やってんだ」
ひげもじゃの視線がすごく痛かった。そんな、変態同士のじゃれあいを見ているような視線をしないでぇ! 違うの、そうじゃないの! 私は百合じゃないのよ!
と、いったところで信じてくれないだろう。
だって、アンリがいるし? アンリがいるし!
「とりあえず、オメェらはどんな仕事をけたい」
「とりあえず、魔討伐でも護衛でもなんでもいいよ。個人的にニートリッヒを覆った霧について調べたいから、そっち方面の仕事があれば助かるかな?」
「お、お前ら! ニートリッヒ方面に行くのか! やめとけ、今のあそこはガチであぶねぇ。マジで死ぬぞ!」
「いやまあでも、私は生ゴミだし、元勇者ですからして……実力はありますよ」
「だが……あの霧は得がしれねぇ。何人か調査団が編されて行ったんだが、誰も帰ってきやしねぇ」
「だからだよ。生ゴミが死のうが朽ちてしまおうが、誰も気にしないからね。一部の人たちは泣いて喜ぶよ」
「お前の、そのネガティブ思考はやめろ。それに、そこのちびっこはどうするんだよ」
ひげもじゃがアンリを指差す。
アンリはアンリで、私の腕にしがみついたまま、ふるふる震えていた。
「うう、小雪お姉ちゃんはいらない子じゃないんです。私には必要なんです。だからそんなこと言わないでぇ」
これ、かなり依存されてねぇ!
私がいなくなった途端に、この子が壊れてしまうような気がしてきた。
まあでも、大丈夫でしょう。私は死ねないから、しっかり守ってやれば。
「私の実力を甘く見ないで。アンリぐらい守って生きて帰ってみせるさ」
「っち、そこまで言うならやって見せやがれ。ニートリッヒ方面の仕事は、彷徨う死者、つまりゾンビだな。誰もかも襲うわけじゃねぇんだけどな。勇者関連の奴らが襲われている。今の魔族との戦爭に影響がでるからってんで、國から常時依頼が來ている。とりあえずゾンビを倒せ」
「依頼完了の証明はどうすればいいの?」
「んなもの、ギルドカードに全て記載される。あったりめぇだろ!」
ギルドカードスゲェな、おい!
え、通信できて、依頼完了の証明ができる何か特別な機能があって……。
特殊機能盛り沢山のカードじゃない!
あのエセエルフ!
そんな機能があるなら、最初から全部教えてよっ!
文句を言ってやろうと思って、昨日のエセエルフについてひげもじゃに聞いたら、今日は休みだって言われた。
あいつ……次會ったら、ボッコボコにしてやんよっ!
ひねくれ領主の幸福譚 性格が悪くても辺境開拓できますうぅ!【書籍化】
【書籍第2巻が2022年8月25日にオーバーラップノベルス様より発売予定です!】 ノエイン・アールクヴィストは性格がひねくれている。 大貴族の妾の子として生まれ、成人するとともに辺境の領地と底辺爵位を押しつけられて実家との縁を切られた彼は考えた。 あの親のように卑劣で空虛な人間にはなりたくないと。 たくさんの愛に包まれた幸福な人生を送りたいと。 そのためにノエインは決意した。誰もが褒め稱える理想的な領主貴族になろうと。 領民から愛されるために、領民を愛し慈しもう。 隣人領主たちと友好を結び、共存共栄を目指し、自身の幸福のために利用しよう。 これは少し歪んだ気質を持つ青年が、自分なりに幸福になろうと人生を進む物語。 ※カクヨム様にも掲載させていただいています
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8 85ちょっと怒っただけなんですが、、、殺気だけで異世界蹂躙
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