《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第二十七話~異常な景2~

「いらっしゃいませ~。なんで來たんですか。ゴミクズは端の席で黙って座っていてください」

「あ、いつもの反応だ。ちょっと殘念。でも貓耳は可いよ」

「……え?」

「あ、こっちの話。端の席ね。いこ、アンリ」

「はいです、小雪お姉ちゃん」

私は、いきなりゴミクズ呼ばわりしてきた店員さんの言ったとおり、一番端の席に座る。

「なんか拍子抜けね。みんなが私に対する反応と同じだったわ」

「あの~ゴミクズ呼ばわりされることに慣れすぎてません? 普通、ゴミクズ呼ばわりされるのがいつもの反応っておかしいと思うんですけど」

「え、そうかな。私なんか、戦場でゴミクズ汚、ゴキブリその他諸々言われてきたけど? これって普通のことじゃないの。嫌われている人に取っては普通でしょう」

「それ、絶対に普通じゃないです。嫌われていてもそんなこと言われないと思います」

「ん~そうなのかな?」

私にはよくわからないかな。いつも嫌われていたし。地球では……友達一人もいなかった。

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悲しいかな。私は永遠のぼっちである。

あ、今はアンリがいた。やったね、ぼっち出してたよ!

にしても、この世界にこんな喫茶店があったんだ。知らなかった。

個人的には、こういうの好きなんだよね。今回が初めてだけど。

憧れの喫茶店に行けたみたいで、ちょっとだけ嬉しいな。

でも、なんでこんな場所にこんな喫茶店があるんだろう。

ん? なんか考えるべきことが違ってしまったような……。どうなんだろうね。

そんなことより、今はご飯。

テーブルの端に置いてあるメニューを取り出して広げると、味しそうなのがズラリと並んでいる。

ちょっとびっくりしたことと言えば、メニューが寫真付きだったことかな。

これは予想外だ。この世界、意外と文明が進んでいる様な気がしてきた。

「私はオムライスにしようかな。ケチャップで書いてもらうサービス付きのやつ」

「オムライスも味しそうなんですが、このマルチビタミン栄養ドリンクっていうのも捨てがたい」

「……ちょっと待て。それ食べじゃないよね。ドリンクって言ってんだから飲みだよね。てか、なんでそんなものがこの店に置いてあるんだよ」

「え、これってドリンクなんですか? どう見たって食べですよ」

アンリがメニューに載っている寫真を見せてくれた。グラタンだった。なんで?

って、いやいや。絶対に違うよね。きっと目が疲れてんだよ。

私は、目をギュッと瞑って、目元をマッサージしたあと、もう一度メニューを確認した。

でも、やっぱりグラタンだった。意味不明だよ。

ん? よく見ると、説明文的なのが書いてあるぞ。そういえば、ファミレスに行くとよくあったよね。特に旬のフェアー的なのだとしっかり書いてある。

んで、ここに書かれていた奴は……

『栄養ドリンクフェア開催。異世界から召喚した大量の栄養ドリンクを消費するために、試行錯誤して考えられたグラタンです。みなぎるパワーとしゃきっと目覚ましの一品。お晝休憩のあなたにぴったりのグラタンです!!』

異世界から召喚ってなんだよ!

いやね、いつも思っていたんだよ。ライトノベルとかで勇者召喚みたいなのって多いけど、モノを召喚する系は見ねぇなって。

んで、実際に見つけたら、これどうよ。

異世界の兵を召喚して無雙します! 的なものだったらわかるけど、栄養ドリンクよ? そんなので喜ぶのってひと握りの人たちだけじゃない!

もっといいもん召喚しようぜ、召喚者!

「……なんか、異世界から召喚したものらしいね」

「へ~そうなんですか」

「…………もっとびっくりすると思った。えぇ! 勇者じゃない異世界からの召喚ですってッ! 的な?」

「勇者召喚は、大変難しく、々と面倒な制約があるのですが、それ以外はいたって簡単ですよ」

「え、そうなの!」

ここに來て新たな事実を知った。異世界から何かを召喚するって簡単なんだ。

だったら勇者なんて召喚しなくても、戦爭に勝てるんじゃねぇ?

……ああ、そうか。異世界の武なんてチートを使ったら正々堂々じゃなくなるからか。

あれ、じゃあ勇者は?

「ねえ、勇者ってどういう扱いなの?」

「どうしたんですか、小雪お姉ちゃん。あ、その前に注文していいですか?」

「そりゃそうだね。先に注文しようか」

私は、さっきにドSさんを呼んで料理の注文をおこなった。え、そんなの頼むんですか、みたいな事を言われたけど、これって普通の反応だよねって言ったら、かわいそうな子を見る目で見られた。ちなみに、アンリは目元に涙を溜めていた。

そんなに可そうかな、私?

「そ、それで、小雪お姉ちゃん……ぐすん。なんてかわいそうなんでしょう。いらない王な私よりも……へっぐ、かわいそうじゃないかしら」

「いやいや、そんなことないから。人間なんて意見が違えば殺し合うものだしね。國は的に考えるなら群れで、戦爭は群れ同士の縄張り爭いだから。それより勇者のことを教えてよ」

「分かりました。私の國での勇者の扱いについてですよね。勇者は人ではありません。勇者は勇者という種で扱われます。なので扱い的に考えれば、他國から援軍を貰って助けてもらったのと同義になるんです。だから、不正をしたら罰せられますし、処刑だってありえますよ。他國の人間だからという理由で罪に問わないのはおかしいことですよね。それがどうかしましたか?」

私の考えていた勇者と違う件について。

勇者って言えば、勇気ある者の総稱で、単獨でも脅威となる敵に立ち向かえる覚悟と勇気を持つ人のことを指しているんだと思っていた。

ゲームでもそうだよね。主人公がいろんな冒険をして、最終的には世界の脅威となる魔王を討伐する。世界の脅威なんて、普通目の前にすればビビって逃げ出すところだけど、立ち向かう勇気を持って戦うから勇者って呼ぶんだ。

なのに、この世界では勇者って種族なんだ……。知らんかった。じゃあ私も人間じゃないのかな?

だからみんな、ゴミクズとかナメクジとかゴキブリとか汚って言うんだ。なんか納得した。普通、同じ人間だったら罪人とか偽とか悪黨とか、そんなじに言うよね?

あれ、違うかな……。

まあ、現実逃避はこれぐらいにして……。

罪犯しまくっている現勇者たちが裁かれないのってどういうことぉ!

レイプは當たり前だし、殺人だってしているやついるんじゃねぇ。現にいるよな。

仲間を犠牲にしてでも生き延びた奴がさぁ!

あれも立派な犯罪だろう。いや、犯罪じゃないのか?

でも、魔力暴走を起こさせるには瀕死の狀況に追いやる必要もあるわけで、それだけ痛めつけていれば、立派な犯罪だよ。

じゃあ、なんであいつらは裁かれねぇんだよ! おかしいだろう!

ああ、きっと戦爭が終わったら裁かれるんだろうな。そして、復讐系のストーリーが始まるわけだ。逆恨みの復讐だけどな!

いま勇者を失ったら人間滅ぶもん。仕方ないよね!

でも、あの好度は一……。魔王を討伐してもあの勇者たちなら裁かれない気がするんだけど……気のせいか?

「あの、それがどうかしましたか?」

「いやね。が召喚できるなら、勇者必要なくねぇかって思っただけ」

はダメです。卑怯じゃないですか」

……どうやらこの世界に資の補給をしてもらうということが援助という考えにらないらしい。なんか々とずれてるんだよなー。

「お待たせしまし、ぐぎゃぁああああああ」

らしかぬ聲が聞こえてきた。どうやらドSなウェイトレスが躓いてこけたようだ。

でも、絶対にこけた時の聲じゃない。なんか変なでも食べたか、大怪我した時の様な聲に聞こえる。

ウェイトレスは料理を宙に放り投げて、私たちが座っているテーブルに向かって倒れこむ。

うむ、これぐらいなら怪我もしなさそうだ。

じゃあいっか。

私は宙に放り投げられた料理を綺麗にキャッチする。ちなみにアンリの栄養ドリンクグラタンをキャッチした時にやけどしたけど、これはだ。

んで、倒れたウェイトレスはというと……。

ビシャーーーー。

機のシミになった。

…………なんだこれ。

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