《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第三十二話~魔が蔓延る町1~

翌日、目が覚めたら、アンリからいきなり「クラヌがペットになりました」という謎の報告をけた。

いや、まあね。クラヌが死ぬことなく、また神的にも正常なのは喜ばしいことなのよ。

でもさ、よりにもよってさ。

どうして、ペットなんだよ! 意味分かんねぇよ。え、何? ペット要素あったか?

いや、確かに、クラヌは犬っぽかったよ。あの馬鹿なじがさ。でもペットじゃないでしょう。どう見たって人間じゃない!

「一どうしてそうなった……」

私はアンリにそれしか言えなかった。とはいえ、あんだけ殺気を撒き散らしていたアンリが大人しくなったのは喜ばしいことだ。

近くにヤバげなヤンデレ彼がいたら怖いよね。後ろから刺されそう。

あ、アンリは彼じゃなかった。じゃあ大丈夫なのかな?

まあいい。過ぎたことは気にしないでおこう。それよりも、これからどうするか考えることが大事かな。

ニートリッヒに到著してから、おかしな現象がいくつかあった。

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いきなり発狂して消え去った謎の

何回も転んでは機のシミになる、ドSっ子ウェイトレス。

そして、クラヌを追いかけていたゾンビ達。

おそらくあれは、この町の人たちだろう。何かしらのキッカケから、町の人に化けているゾンビが姿を現したんだろう。

そのきっかけを起こしたであろう人に、話を詳しく聞きたいのだが……。

「クラヌ、よく出來ました。ご褒よ」

「わっふぅ! おいしいぃ!」

當人がバカになった上に、うちのアンリに蕓を仕込まれている。

ちなみに、今やっていた蕓は積み上げられた積み木の上に片手逆立ちという、かなりすごいやつだった。

てか、その積み木、どこから持ってきたんだよ。

つい、チラ見してツッコミをれてやりたい気持ちをグッと抑える。

じゃないと、またグダってしまいそうで怖いんだよ。ただでさえ、アンリのせいで、元勇者からツッコミの人にジョブチェンジしそうなのに、クラヌという新たなボケ要員が増えたなら、私はどうなってしまうのだろう。

死ぬのだろうか。なら大歓迎だ!

ホント、私の明日はどっちだよ。

「はあ、一どうすればいいんだか」

「ん? どうしたの、お姉ちゃん」

「こらクラヌ! 勝手に小雪お姉ちゃんに近づかないの! もう、服がヨレヨレじゃない」

「いーやー、たーすーけーてー」

「小雪お姉ちゃんに近づくならそれらしい格好をしなさい」

「えー、アンリがやれーって言ったんじゃん!」

「それはそれ、これはこれよ」

あ、アンリがちゃんとお姉ちゃんしている気がする。こう、暴君的な姉の様な気がするけど……。

「二人共、そろそろ出かけるよ」

「どこに行くんですか? 小雪お姉ちゃん」

「うーん、まだわからないことがあるから、適當にブラブラとしながら、ニートリッヒを探索してみようかなって」

「あ、だったら教會に行きたい!」

クラヌがヌルッと現れて、私にしがみついて來た。でもこう、犬というより猿に捕まった気分になる。やっぱコイツペットだ。ペットに違いない。違いないんだけど……どうして教會? 嫌な思い出しかないんだけど。

地球ではそうでもなかったけど、異世界の教會関係者って、上に行けば行くほど、脂ぎっていき、どんどん金の亡者になっていく。

いや、地球でもそうなのか?

そこらへんの事はわからないから何も言えねぇ。とりあえず言えることは、この世界の教會はろくでもないってことだけだね。

「なんで教會に行きたいの? こういう町だと…………ロリコンやショタコンの巣窟だよ? 孤児院という名目で子供達を集めて、危ないいたずらをするキチガイ共がたくさん集まっている場所なんだけど……なんで?」

「うーん、なんでだろう? なんかね。もやっとするの。黒くてどろどろしてて、もわもわしていてね。ぶわぁってしてるの!」

全く意味がわからない。何言ってんの。

あれか、馬鹿かの影響か。やべぇな。説明能力がなくなると、混しか産まねぇ。

「ま、いっか。今は何も報がないからね。とりあえず、教會に行こっか」

「えー」

「いや、クラヌ。行こうって言ったの君だからね。そんな骨に嫌がらなくてもいいじゃない」

「なんで?」

「いや、なんでって言われても……」

この子と話していると疲れる! とっても疲れるよ!

でも子供だから? ペットだから? 仕方ないのかもしれない。

「まあいい、教會行くよ! 反論は認めない!」

「了解です! 小雪お姉ちゃん。というわけで、クラヌはこれをつけましょうね」

「え、ええ!」

アンリが取り出したのは、首だった。そう、犬につけるあの首だ! そして、どこからともなく取り出した、リード。こりゃどう見たって犬の散歩だよ、こんちくしょう。

「ううーん、くるし……くない! なにこれ!」

「首よ。ペットの首につけるものなの。そしてこのリードをつけてはぐれないようにするのよ」

「わぁ! すごい! つける!」

喜々として首とリードをつける辺、クラヌの頭はおかしいんだろう。

アンリも自分で首をはめてリードをセットするクラヌの姿を微笑ましく見ている。

あれが本の犬ならば、ペットを大事にしている人なんだなーってもうけど、今見えている狀況だけで考えると危ない人にしか見えないから不思議だ。

無事に首とリードをセットが終わったクラヌとアンリを連れて宿を……出ることができなかった。

部屋の扉を開けようとしたとき、くぅ~と可らしい音がなったのだ。

誰のだって? アンリかな? クラヌかな?

いやいや、違うんだな……。音の主は……私だよ!

二人共すまぬ、朝食を食べ忘れていた。

◇ ◆ ◇ ◆

朝食を食べ終わった私たちは、教會を目指してブラブラと歩いていた。

クラヌは、きになるものがたくさんあるようで、あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。

あれ、あいつ、私たちより先にニートリッヒにいたよね?

全部忘れてるのだろうか? まあいいや。

「今日の朝食は味しかったですね」

「ん? そうだね。見た目が最悪だったけどさ」

そう、今日の朝食は実に最悪だったけど、かなり味しかった。

地球でも、國ごとに食文化が違ったりする。

現地の人から見れば當たり前の食べも、ほかの國から見ればありえない食材に見えるものだ。

例えば、日本にあった踴り食いとか活け造りなんかがそうなるのかな?

新鮮な魚をより味しく食べるために生まれた技だが、別の國の人から見れば、生きを殺さずに食べるための技など外道の技にほかならない。

ま、そういう奴らほど、頭が固くて妄想に囚われるじの奴らばっかりなんだけどね。

護団とか特にそうだ。

殺すなとかいじめるなとか……、おめぇら何食ってんだよ。食ってんだろ。じゃなきゃ人は死ぬんだよ。のタンパク源が補給できなくて。それがなかなか摂取できない場所ではな! 蟲食ってんだよ。生きるために殺す、これ常識。なのに殺すなとか頭おかしすぎで笑える、プークスクス。

ま、護団なんて組織について全然知らないから、私の思い込みだろうけどね。

食ってる奴がそんなこというわけないか。多分のことだけを言ってるんだと思う。うわぁ、差別反対!

護団なんて言うなら、だけじゃなくて全てのに対してどうにかしてやれよ。

ま、最終的に死ぬけどな。私は死なないけど。

「小雪お姉ちゃん。何か変なこと考えてません?」

「え、何も考えて……ないっす」

やべぇ、途中から話がそれて変なこと考えてたけど、顔に出てたっぽい。ただでさえ鋭いアンリだ。下手に考えると心を読み取られる気がする。

「こらクラヌ! そっちには行かないの!」

「えー、こっちからいい匂いが!」

「あんだけ食べたのに、まだ食べるの!」

うわ、朝食のことを忘れようとしたのに、また思い出しちまった。

味しかった。確かに味しかったんだけど、目玉……グロかったなー。でもコラーゲンが富だったりするから、栄養面だけで考えると結構いいらしんだよね。なんか納得いかない。

ふとそんなことを考えていると、クラヌが何かを口の中でコロコロところがしている姿が目に映った。

なんだろう。アンリからアメでももらったのかな?

いや、そんなスキはなかった…………はずだ。

じゃあ何を。まさか、拾い食い!!

「ちょっとクラヌ! こっち來なさい!」

「むー、なに? お姉ちゃん」

「今何食べてるの。拾い食いは良くないのよ!」

「違う、あそこでもらったの!」

そう言ってクラヌが指さした方を見ると、教會の関係者だろう人が、子供たちにとんでもないものを配っていた。

…………炊き出しとかならわかるけどさ。目玉はねぇだろ! いい加減にしろ!

なんでの目玉なんだよ! こんちくしょう!

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