《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第三十五話~魔が蔓延る町4~

地下に転がり落ちた私が最初に見たものは、書庫だった。

沢山の本棚と、そこに詰まった多種多様の本達。料理、魔、ゲームの攻略本、百合、ボーイズラブ、様々なジャンルで埋め盡くされていた。

お、イケメンお兄さん×ショタ本があるかもしれない。そう思うと、ちょっとだけ興する。

大丈夫、まだ平気。ワタシハクサッテイナイ。

と思いつつ、危なそうな本に手を掛けようとした。

「小雪お姉ちゃん、大丈夫ですか!」

「お姉ちゃん! 見事な落ちっぷり!」

おっといけない。アンリとクラヌがやってきてしまった。これじゃあ本が見れねぇじゃねぇか、こんちくしょうっ!

ふう、怒ったところで仕方がない。

ここの調査でもしますかねぇ。てか、魔力濃度濃すぎ。チョーくせぇ。

「私は大丈夫よ。それよりもここの魔力濃度が高いね」

「高杉だね!」

「クラヌ、それは誰?」

「さぁ? 誰だろう」

いや、マジで誰だよ、高杉って。まぁ、クラヌが訳のわからないことを言うのは今に始まった事じゃないし、気にしない、気にしない。

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さて、さっきは本棚にばっか目が言っていたけど、割と広いな、ここ。

あたりを見渡すと、沢山の本棚がある。んでもって、奧の方には小さな機。

上には一冊の本? が置いてある。日記だろうか。

機の上に置いてある本が気になって、一歩先に進むと、床が紫に輝きだした。

「っち、やっぱりあったか」

「こ、小雪お姉ちゃんっ! コレは一

「わーん、お姉ちゃん怖いよー」

アンリとクラヌがビクビクしながら私の腰周りに抱きついてくる。

そんなにまとわりつかれるときにくいんですけど。いや、今はかないほうがいいか?

私が一歩進んだら、突然魔法陣が現れた。この地下室の異様な魔力濃度はこれが原因だろう。

だだけど、紫に輝くだけで、特に何も起こらない。あれ、魔法が失敗してるの。

なら、別に問題なくねぇ。

「よし、私は行くぞ!」

「ちょ、待ってください、小雪おねえちゃん。こんなに、こんなに紫なんですよ。危ないですって」

「そうだよ、お姉ちゃん。すっごーいことになっちゃうよ」

「大丈夫、気にしない、気にしなーい」

クラヌとアンリを安心させるように適當なことを言って、私は魔法陣の上を走した。

そしてすべてが真っ暗になる。

◇ ◆ ◇ ◆

「……は! ここはどこ、私は誰っ!」

目を覚ますと、紫に輝いた不気味な空間にいた。というか、さっきの地下室だ。

なんで私はこんなところで寢ているんだろう。ん? あれ?

うーん、紫に輝く魔法陣の中を走したところまでは覚えているんだけど……突然真っ暗になったな。何があった。

を起こして、起き上がろうとしたが、うまくかせなかった。

というのも、アンリとクラヌが私のにしがみつきながら寢ていたのだ。

「ほら、アンリ、クラヌ。そんな寢方をしたらが痛くなっちゃうよ」

「ん、ん~ん、ん? 小雪お姉ちゃん…………。はっ! 小雪お姉ちゃんっ! 大丈夫でしゅか!」

噛んでる、噛んでる。もうし落ち著け。

「ん、どうしたのアンリ? あ、あーーーーーーーっ! お姉ちゃんが、目を覚ましたーーっ!」

二人はパーっと顔を笑顔にさせて、しがみついて來る。うっすらと目元が腫れて、今も瞳に涙を浮かべている。

うーん、泣いてたのか。私、なにかしたかな?

思い當たることが何もない。

「もう、心配したんですからね。どうしてあんな、あんなことしたんですか……」

「え、紫の魔法陣の上を走っただけだよね。え、えぇ、私に一何があったの!」

「そ、それは……その…………うぅ」

アンリの瞳からホロリ……って、えぇ! 泣くほどひどいことになったの、私!

ちょ、ま、何が起こったのか知りたいんですけど。知らないままだとマジで怖いんですけど!

っく、アンリじゃ教えて貰えなさそうだ。

こうなったら……。

「クラヌ、私に一何がーー」

「さぁ、わかんない」

「ちょ、ま、おい!」

なんでわかんないのかな! さっきまで泣きそうな顔してたじゃない。なのにわからないって、お前は何を見ていたんだよ!

ほんと……私に一何があった! だれか教えてくれ!

【対象、西條小雪が魔法陣を走したらからだが弾け飛びました】

わー世界樹さん。教えてくれてありがとう。知りたくなかったよ!

何、弾け飛ぶって。私のがバラバラになったってことだよね。怖い、怖すぎるよ!

え、それでも私が無事なのは、狀態異常【時の牢獄】のおかげだ。バラバラになって死んでも元通りって、この狀態異常マジですげぇ。

死ねないことは苦しいけど、流石に死して死にたくない。今回は死ねないことに謝しよう。

「ほんと、心配かけてごめんね」

「うう……ぐす……ほんとですよ…………。バラバラになった時は、私も死のうと思いました」

ちょ、アンリさん? それは良くないんじゃないかな。好きな人が死んじゃったから私も死にますって、さすがの私もドン引きだよ!

「でも…………片がうにょうにょとき出して集まり始めたので…………」

「私は何のモンスターだ! それって人としてどうなんだよ。おかしいだろ、私の!」

味しそうだったよ!」

「おい、クラヌ。お前は何を考えてやがる」

「ハンバーグっ!」

「いーやー、私がハンバーグにされる! ミンチ! 私って死したあとミンチな片になってたの! そんな姿になっても生き返るって、私ってゾンビよりすげぇやべぇやつじゃん。あ、もしかして私って……人間じゃない?」

嫌だ、それだけは嫌だ! 人間でありたい。例え、前に自分を鑑定した時に、人間という名のなにかという結果が出ていたとしても、私は人間でありたいんだ!

というわけで、鑑定さん。今の私は何者ですか。

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【西條小雪】

種族

clear sky。

明だからこそ何にでもなれる。

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おい、種族。clear skyってなんだボケ。明だからこそなんにでもなれるって、それ人間じゃねぇって言ってるもんじゃねぇか!

いやぁ! 人間にして!

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【西條小雪】

種族:人間(笑)

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(笑)とかれてんじゃねぇよ。相変わらず使えねぇ鑑定さんだな、おい。

私は鑑定さんに人間と認めてもらえず、考えるのをやめた。

「二人共、心配かけてごめんね。今度は慎重に走するから」

「まず、走しないでください! あと、未知の魔法があるっぽいので、死なないように気をつけてください。勝手に死なれると……生き返ると分かっていても辛いんです」

「ぶーぶー」

「アンリ、ほんとにごめん。ちゃんと気をつけるから。ところでクラヌ、なにか文句があるなら言ってごらん」

「ステーキ!」

「ハンバーグといい、ステーキといい、仲間が片になっているのに食いてぇって大概だな! そんなに腹が減ったか!」

「うん、腕、頂戴!」

「いや、あげないよ。あげないんだからね!」

私がいやいや言ってると、アンリがなにかをクラヌに渡す。

それは……腕だった。どっからどう見ても人間の……腕だった。

アンリ! どっから出したの! そしてその腕は誰のだよ!

「小雪お姉ちゃんも食べます。そこで生えていたんです」

「生えていたって何が?」

「これです!」

そう言って、私に差し出したのは、やっぱり人の腕だった。

「一つ聞いていい」

「どうしましたか、小雪お姉ちゃん」

「人の腕って、生えてくるものなの?」

「えっと、これのことですか? なら生えてきますよ。コレは人の腕っていうキノコで、牛の味がします」

……人の腕なんて牛味のキノコがあるんだ。知らなかった。てかいろいろおかしいよね。もしかして、おかしいって思ってんの、私だけ?

アンリとクラヌの絵面が、どう見ても共食いにしか見えねぇ。怖いよ、この世界!

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