《私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。》第三十八話~魔が蔓延る町7~

私たちは、この現象の原因を暴くべく、教會に向かおうと……した。

したんだ。したんだけど……ちょっとしたトラブルが起こった。

「お姉ちゃん……お腹痛い」

「ちょ、何言っているのかな、クラヌ?」

突然クラヌがお腹いたいと言い出した。それも、手に謎の骨を持ちながら、だ。

こいつ、霧の魔法陣作者の骨をなめやがったなっ! 犬か、お前はッ!

「クラヌ、我慢しなさい」

「でも、アンリ。お腹痛いの。で、出ちゃう……」

「我慢しなさい。大丈夫、らしても誰も気にしないから」

「誰も気にしなくても僕がきにするのー」

こいつ、馬鹿なのにそういうことは気にするのね。

ほんと、ウマシカの実って不思議だわー。

って、そんなことを考えている場合じゃなくて。

「とりあえず…………教會に行こう。そしてクラヌをトイレに行かせるよ」

「といっても、小雪お姉ちゃん。教會にトイレがあるかすらわかりませんけど……」

「大丈夫だって、きっと。トイレにいかないシスターなんていないでしょう?」

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あえてシスターをだしてしまったが、なんかダメな気がする。

トイレ云々の話とは別に、シスターがトイレにって、ちょっといかがわしい気が……。

あれか、私の頭の中がおかしいからいけないのか?

「あーーーーーーー、もう我慢できないぃぃぃぃ」

クラヌはお腹を押さえながら走っていく。

っておい、一どこに行くんだよ!

「アンリ、クラヌを追うよ」

「了解です。小雪お姉ちゃん!」

クラヌは私たちが降りてきた階段とは真逆の方向に走っていく。

そっちの方向には本棚がたくさんあるが、トイレなんてないぞ。

クラヌは一どこに行くつもりなんだ。

クラヌは、本棚を右左右右右左右ABってじに進んでって、なんかゲームのコマンドみたいだな、おい。

もしかしたら、私の知らない霧の魔法陣の効果を、クラヌが直でなにか見つけたのかもしれない。

とりあえず、クラヌを見失わないようにしないと。

クラヌはお腹を抑えて、になりながらも、進む進む、どんどん進む。

足速いな、あいつ。

クラヌの後を追いながら、あることに気が付く。

この地下室、思ったより広いな。

ジグザグに走っているじはあるが、いくら奧に進んで行っても、壁に辿りつかない。

というか、私たちが最初にった小屋よりも地下空間が広くじる。

てか、絶対に広いよねぇ!

止まらないクラヌを追いかけながらひとりでツッコミをれていると、なんと階段があらわれた。

しかも、私たちが降りてきた階段とは全く別のものという。

この空間、一どこと繋がっているのっ!

それが不思議でたまらない。

クラヌは階段を駆け上がり、そのままどこかに消えていった。あいつ、いったいどこに行ったっ!

クラヌを追いかけて階段を駆け上がる。

そして登りきった先で一番最初に目にったものは、綺麗なステンドグラス。

「……あれ? ここ教會の中じゃねぇ?」

ステンドグラスがある場所なんて教會ぐらいなものだ。

てか、なんで小屋と教會がつながっているんだよ。いったいどうなっているの? 訳分かんねぇ。

「そういえば、クラヌはどこに行ったのでしょう?」

「ん、アレじゃん。ここが教會ならトイレぐらいあるでしょうに」

「じゃあ、トイレで踏ん張っているのでしょうか」

「こらアンリ、の子がそんな事言わない」

「はーい。ところでクラヌはどこに行ったのでしょうか」

「え、その話に戻るのっ!」

アンリが無限ループにったので、同じ回答をずっと繰り返した。

長い、本當に長い時間がたった……気がする。

まあそんなのは気分の問題で、実際にはそんな時間はたっていないんだけどね。

ただ、アンリと同じ話を367回しただけさ。

その後、手をびちょびちょに濡らしたクラヌがあわられて、私に向かって走ってきて、そのまま抱きついた。

しかも、手を拭いてやがる。私は手拭きじゃねぇっつーの。

「クラヌ、スッキリした?」

「うん、スッキリー。で、ここどこー。なんかね、モヤモヤしてぶわぶわしたのがあそこから溢れ出ているんだー」

そう言ってクラヌが指さした方向には、最初にみたステンドグラス…………ではなくて、その下にある神の像。

あそこからモヤモヤしたのが出てるってなんか不気味。神様じゃなくて悪魔なんじゃねぇ。

この世界に神様はいないんだけど……。

それ知っているの私だけだし、この世界で崇められている神様の正が天使ってことは黙っておこう。誰にも言うつもりないけどね。

よし、ちょっくら天使……じゃなくて神像を調べますか。

私は神像をビンタした。

なぜビンタしたかって? そこに神像があるからさ。だって無駄にがでかくてムカつくじゃん。ぺったん族なめんなッ!

気持ち的にスッキリしたので、再度調べてみよう。

私はとりあえず神像の足元をじろじろ観察した。

ロールプレイングゲームだと、こう言うところに地下に進む階段があったりするんだよねー。上がってきてまた下がるのかー。めんどくせぇダンジョンの作りしてんなぁー。

あ、これ教會だわー。全然ちげぇ。

「わー、この神像、十円ハゲがあるー」

「え、クラヌ。そんな面白いものを見つけたのっ!」

「うん、ここだよっ!」

「うわぁ、マジで十円ハゲがある。この神像作ったやつ心が病んでるんじゃないか?」

もしくは神として祀られている天使とこの像がリンクしているかってところか。

そして、その天使ちゃんはストレスから十円ハゲが……。

あのクズホモ唯一神に仕えてりゃそうなるわな。

そんなことを考えながら神像の十円ハゲをなでていると、どこからかガリガリとした音が聞こえてきた。

まさか、ゾンビどもがやってきたかッ!

そう思ったんだけど、まさかの裏切り。

ヤンデレってこわいなーと思う瞬間を目撃してしまう。

「小雪おねえちゃんにじろじろ観察されて、十円ハゲで笑いをとって小雪おねえちゃんに笑顔を向けられて……うらやましい、うらやましい。ましてや小雪お姉ちゃんにビンタされるというご褒まで……許さな。この。絶対に……」

おっふ、ヤンデレーなアンリが包丁で神像をガリガリしているじゃん。怖っ! マジ怖っ!

でもさ、ビンタはご褒じゃないよ。なんでそういう方向に話が進んでいるのかな、かな?

ま、まさか……アンリはヤンデレの他に……。うん、今のは忘れよう。

私が頭を悩ませていても、アンリは神像をがりがりし続ける。ぽろぽろと削れていく神像。なんか哀れ。

削れていって、削れていってー。某ゲームの如く、真っ白だった神像はアンリの人斬り包丁で汚された。

白の下からあわられた、なんかこう、黃土っていうか茶っていうか……。

すごく汚いが現れる。というか、蟲が沸いている。マジできたねぇ!

え、何、蟲が沸いている神像ってなんなの。神様を冒涜しすぎじゃねぇ?

いや、あのクソうざってぇホモ神様だったら別にいいんだけどさ!

……どこからか「それは違うよっ!」という慌てたような聲が聞こえた。きっと気のせい。

アンリは蟲すら気にせず、ぷちぷちと……グロイな。

そして、最終的にあらわれたのは……赤いボタンだった。

「………………はぁ?」

思わず聲がれてしまう。だってそうだろう。なんで神像から赤いボタンが出てくんの、え、え? 意味分かんねぇ。

いやね、なんかね。わかる、わかるんだよ。

あれだろ。ゲームとかだと、ここでイベントをクリアすると神像が壊れてボタンが現れる。それを押すと、地下に向かう階段が現れる的な、あるあるイベントだろ。

私の無駄にかな想像力で容易に想像できたさ。

だけど、気悪い蟲とか、神像の汚らしい側だとか、そこらへんいらなくねぇ!

なんでそんなシーンが出てくるんだよ。いったいいつ使うんだよ、え?

あれか、私たちがフラグを立てずにここまできちゃったからいけないの? そういうこと?

ああもう、勝手にしやがれっ!

そう思いながら、私はボタンを押した。

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