《霊使いと冠位の10人》魔演習公開日
「ただいまー!」
奏の家に置いてきたリーシャとハイネを迎えに行こうと思っていたら、奏でさんが家まで二人を連れてきてくれた攜帯にメールがっていたため、學校が終わると康太はすぐ家まで帰ってきた。
「お帰りなさいませ、康太様」
ひょこっと奧の部屋から顔を出すなり、康太の方まで出向き、リーシャが出迎えに來てくれた。
「ただいまリーシャ。ハイネは?」
「ハイネだったら今2階の部屋にいるのですが....」
何か言いづらそうにリーシャは口ごもる。
何か嫌な予がして二階に上がってみると、そこにはハイネの服やらおもちゃやらの私が散していた。
足の踏み場もなく、ハイネはそれらの山に埋もれて、今にも寢そうにウトウトと船を漕いでいた。
しかし、ハイネは康太の存在に気がつきハッと意識を覚醒させ、手を振り始めた。
「久方ぶりじゃな康太よ!」
ハイネは自分の荷の山から抜け出し、両手を腰にあて堂々とを張った。
見た目は小學生くらいの長に容姿。
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緑の髪にウェーブがかかっており、ぱっと見は可らしいだ。
「久方ぶりじゃないっスよ!なんスか、この荒れ方は!?」
「半年ぶりの帰省じゃからな。奏の所から荷を持って來たのはいいのじゃが、この部屋が狹すぎて妾の荷がらんのじゃ」
「片付けようとした結果がこれっスか......」
どうしたらこんなに散らかすことが出來るのだろうか。
しかも片付けをしていた結果としてこうなるとは考えもつかない。
「康太様、お夕飯ができたのですが」
「おっご飯か!」
2階に上がって來たリーシャの言葉にハイネが即座に反応した。
康太の橫を通り抜けようとするが、康太はハイネの首っこを摑み、それを食い止める。
「まてハイネ!飯はコレを片してからっス!」
「やだ!腹が減ったのじゃ!」
「あ、ちょっ!」
康太を振り切ってハイネはリビングに向かっていってしまった。
ドタバタとハイネが階段を降りて行く。
「あの、私がかたつけておきましょうか?」
「いや、俺がやっておくっスよ。リーシャはハイネとご飯を食べてて。それと悪いんだけど、明日から學校に行く時は俺に憑いてて」
「はい、分かりました。けど珍しいですね。ハイネも憑かせるんですか?」
「ああ、あんな事があった後だし、用心しといたほうがいいかなって。家に帰ったら家事は俺も手伝うっスから」
「大丈夫ですよ。家事は私の仕事ですから」
ふふふとリーシャが笑い、ほんわかとした空気が流れる。
しかし、振り返ればゴミのごとく積み上げられたハイネの私が目にり、そんな空気もどこかへ行った。
そうして結局、康太が夕飯を食べれたのはそれから2時間後であった。
翌日の朝の教室だ。
教室にはすでに半分くらい生徒がいて、康太とトモノリは教室の端で話をしていた。
「はあなんか疲れたっス」
「どうした康太?おっさんみたいなことを言って」
「いや昨日々あったんスよ。てか今日って何かあるんスか?」
何やら教室がざわついていると康太はじていた。
「何言ってるんだよ、今日は魔科の生徒の演習公開日だぜ。神草さんにお近づきになるチャンスだろ!」
年に2回ほどある魔科生徒の演習公開日。
それが今日だ。
正直言って最近の騒でそんな行事があったことも康太は忘れていた。
というのもメインは魔科の生徒だけで、普通科である康太達は見學くらいしか當日やる事がないのだ。
「あー、忙しすぎて忘れてたっス」
「そういえば、お前は留年のかかった課題と戦っていたな」
もちろんそれだけではない。
セントラルタワーでの一件以來霊、特にリーシャが狙われている事を康太は知った。
その為にリーシャとハイネを憑かせたのだが...
(康太ー!暇じゃー!構ってくれー!)
(こらハイネ、靜かにしていなさい)
今2の霊が今現在康太に憑いている。
霊が憑いている狀態で霊が喋ると憑いている人間頭で聲が響くように聞こえる。
「頼むから靜かにしてほしいんスけど」
「なんか言ったか」
「いや、なんでもないっスよ」
「それで神草さんを見に行くんスか」
「もちろん、お前も行くだろ?」
「そうっスね。ついでに智香にも會いに行こうか」
康太がそういうとトモノリは苦蟲をすり潰したような顔をした。
決して、仲が悪いわけではないのだが、お互いに引かないタイプの人間のため、一度喧嘩すると長いこと仲がこじれてしまう。
いつも康太が仲を取り持つのだが、今回もそうなるのだなあと康太は心思っていた。
「え、マジで?」
「いい加減仲直りしろっての。ほら行こうぜ」
「あ、ああ」
あまり気の乗らなさそうなトモノリを連れて、二人は教室を出た。
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