《霊使いと冠位の10人》突如の出現
康太達が校庭に著くとそこには多くの魔科の學生が実技演習を行う姿があった。
校庭の周りにはそれを見學しようと多くの學生や保護者達で埋め盡くされている。
「うわあ、人多すぎっスね」
「やっばいな。出遅れたか」
人が多すぎて康太達のいる場所からは校庭の様子がまるで見えない。
それもそうだろう。
この高校の魔科には冠位の位を持つ神草埜々がいるからだ。
冠位の魔など滅多に見ることができないため、その注目度もかなり高い。
「諦めて校舎の中から見るっスか?」
「いや、せっかく神草さんが生で見れる機會だぞ!なんとしてでも近くで見る!」
「生って...」
康太は引きつったような顔をしていた。
「よし俺が先陣を切る。ついてこいよ康太!」
そういうとトモノリは人混みをかき分け、校庭の見える場所まで突っ切って行く。
「もう見えなくなったっスねー」
康太はそんなトモノリの後には続かず、校舎の中から見える場所を探しに行こうと歩き出した。
歩き出してすぐ康太の名前を呼ぶ聲がして振り返る。
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するとそこには智香がいて、走りながら康太の方へ向かって來た。
「智香。演習中じゃないんスか。」
「いやあ、擔任の愚癡に付き合ってたら遅れちゃって校庭の中にれなくってさ。どうしようかなーて思ってたら康太の姿が...ってあれトモノリといないなんて珍しいね?」
「友達があいつしかいないみたいな言い方やめてくんないっスか。トモノリは神草さんを見に行くって飛び出していったっスよ」
「うわー、あいつらしいわ」
智香がドン引きした顔をしている。
「康太は行かなくていいの?」
「そりゃ冠位の10人(グランドマスター)の魔は気になるっスけど、まあこの人混みの中に混ざる程ではないっスかね」
「ふうん。そうなんだ。じゃあちょっと付き合ってよ」
「はい?」
「暇なんでしょ?」
その鋭い眼には逆らえない康太であった。
「いいんスか。演習サボって」
「良いのよ。こんなのお祭りみたいなものだし、遅れたのも擔任の先生のせいだし」
誰もいない教室で二人きり。
ドラマのワンシーンで言えば今はきっと青春クライマックスの重要なワンシーンなのだろう。
しかし、この二人に限って言えばそれはないだろう。
なくとも康太はそう思っている。
「それにしてもこうして二人っきりで話すのも久しぶりなきがするっスね」
「ふ、二人っきりっていうのやめてくれない。意識しちゃうじゃない!」
「え、ご、ごめん」
ないだろう。
多分。
先ほどの鋭い眼はどこへいったのかと思わせるくらい智香はあたふたしている。
何かを言いたそうにする智香の様子に気がついた康太は、彼が何を言いたいのかがわかった気がした。
「別に俺たちは気にしてないっスよ」
「えっ、な、何を?」
「魔の事。むしろ俺は応援してるし、トモノリだってそうだと思うっスよ」
康太とトモノリが智香と疎遠になりつつあったのは、智香に魔の才能があったからだと彼自は思っていた。
「けどトモノリは...」
「そりゃまあ嫉妬くらいはしてるだろうけどは良いやつじゃないっスか」
「そうだとは思うけど」
「てかとっとと仲直りしてしいっスよ俺は。昔みたいに3人で過ごしたいっスよ」
「.....うん」
そんな二人の空間を打ち砕くかのようになんの前れもなく、突如として地面が揺れる。
揺れは大きく立っていることさえ困難であった。
「きゃあ!」
「智香!」
勢を崩して倒れそうになった智香を康太がギリギリでけ止めた。
康太は智香に覆い被さるよう上になり揺れが収まるのを待ち、しばらくすると揺れが収まった。
教室にあるが散して、整頓されていた機なども、大きく元の場所から移していて、それが揺れの大きさが語っていた。
「智香、大丈夫っスか!?」
「え、あ、うん、ありがとう...」
智香はどこか頬を赤らめている様子であったが、康太はそんな智香の様子に気がつかず、智香のの安全を第一に考えていた。
康太は智香から離れて辺りを見渡し、狀況を把握するために教室のドアを開けようとする。
し開けずらくなっていたが、力を込めたらなんとか一人分通れるくらいの分はギリギリ開けれた。
すると校庭の方が騒がしくことに気がついた。
(康太様!魔獣の気配です!)
リーシャの聲が頭の中で響く。
「本當っスか!?」
「何!?どうしたの!?」
「校庭の様子を見に行ってくるっス!智香は待ってて!」
「待って!私も行く!」
慌てふためく二人。
智香からすれば康太が獨り言をつぶやいているようにしか聞こえない。
しかし、智香はそれを気に留めないようにして康太の近くに向かう。
「危ないっスから気をつけて!」
「えっ、ちょ!」
智香の手を引き、校庭まで駆け走る。
校舎から外へ出るとそこは演習を見學していた生徒や保護者がりれ、校庭から離れるように逃げていた。
校庭には10メートルを超えるであろう巨大な魔獣がいた。
二足で立つそれはトロールと呼べば良いのだろうか。
人のようではあるが人の姿をしていない。
「なんでこんなところに魔獣が......」
前回の夜の事件から立て続けにありえない場所での魔獣の出現。
校での戦いが今始まる。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
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