霊使いと冠位の10人》決著

校舎の屋上は外から見る分にはなんら変哲のない風景に見える。

しかし、その中で4人と3霊が燃え上がる炎の真っ只中にそのを置いていた。

もっともそのを焦がしていたのは康太とヴォイドのただ2人だけだった。

(康太様!大丈夫ですか!?)

「半端ねえっスね。くそっ」

康太は炎の霊であるリーシャの加護のおで、炎屬の魔には耐がついているにも関わらず、ヴォイドの攻撃を完全に防ぐ事は出來なかった。

「全く、やるじゃねえか。年」

対して、ヴォイドも霊の加護と言ったものがないにも関わらず、軽くはないが康太と同じくらいのダメージを負っているようだった。

互いに片膝をつき、辛うじて意識を保っていると言った様子だ。

2人のにらみ合いが続く中、ヴォイドの背後から大きな聲が聞こえてきた。

「ちょっとヴォイド!大技やるならちゃんと教えなさいよ!」

「ああ?お前なら言わなくてもなんとかなると思ったし、なんとかなったろ」

「あっちの坊やが周りに聲かけなかったら私、消し炭だったんだけど!?」

「ははっ、まじか?」

カトレアがヴォイドに文句を言うが、ヴォイドに余裕がなさそうな事にすぐさま気がついた。

いつもの調子だったら何かしらの軽口を挾みそうなものだが、今に至っては質問にけ答えするぐらいの余裕しか持ち合わせていないのだろう。

ヴォイドは目を伏せながらなんとかと言った様子で立ち上がり、レーヴァテインを地面に突き刺した。

「いやあ、ほんと。年とはもっといい場所で闘いたかったんだけどなあ」

カトレアはヴォイドが何をするか気がついたらしく、咄嗟にヴォイドから距離を取る。

ヴォイドを除く、その場にいた全員の背筋が凍りつく。

パリン

するとはるか上空から何かガラスの割れるような音が空を切り裂いた。

それにいち早く反応したのはカトレアだ。

「なんで結界が!?」

「時間までもうちょいあると思ってたんだが、どうやら俺と年の炎でガタがきちまったようだな。仕方ねえここまでか」

「あの霊どうするのよ!」

「そりゃあお前の遊び癖のせいだっての」

そう言ってヴォイドは自分とカトレアの周りに炎を出現させる。

「くそ、後味悪いがこの続きはまた今度だ。年次は楽しみにしとけよ」

そう言い殘しヴォイドとカトレアは炎の中に姿を消し、それが鎮まった時には綺麗さっぱり姿が消えていた。

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