「戻ったぜリーダー」

ヴォイドとカトレアがいつかの廃墟に足を踏みれる。

一室には彼らがリーダーと稱している白髪の男が座っていた。

「遅い、何をしていた」

咎めるように二人を睨みつける。

カトレアは肩をビクつかし、ヴォイドは首を橫に振る仕草をする。

沈黙を破るようにカトレアは口を開いた。

「そ、それは」

「聞いてくれよ、こいつ、任務失敗した上にあの実験だった雷の霊奪われてんの」

「なに？」

カトレアが喋ろうとするのを遮るように、ヴォイドは口を挾む。

それに対して、カトレアはヴォイドを睨むが、ドスの効いた聲を出す白髪の男の視線をじ、すぐに目線を下に下げた。

「本當かカトレア」

「......ごめんなさい、しくじったわ」

白髪の男はゆっくりとカトレアに手のひらを向けようとする。

その様子をみてカトレアと男の間にヴォイドが割ってった。

「まあまあ落ち著けよリーダー。次は俺にやらせてくれんだろ？俺が失敗してからでいいじゃんか？」

「どけ、ヴォイド」

「だっからー分かんないかな。今カトレア消しちゃったらこの地區、俺とリーダーだけになっちゃうじゃん。流石に二人でやるのはむさ苦しいって」

白髪の男は今まさにカトレアに向かい魔を放とうとした。

それも殺すつもりでだ。

ヴォイドはそれを察して割ってった。

しかし、それはカトレアを助ける為でも擁護する為でもない。

その真意を分かっていたかどうかわからないが白髪の男はヴォイドの要求を飲むように手を下ろした。

「どーも」

そう禮を言った後、カトレアに向けてウインクをするが、カトレアはそれを無視するように顔を背けた。

ヴォイドは肩を落とし、白髪の男に向き直る。

「それから報告がもう一つ、びっくりすることに炎だけじゃなく風の霊も年に憑いてた」

「二の霊だと？」

白髪の男は考えるように手を顎に當てて思考に耽る。

しかし、すぐにその姿勢を崩す。

「そうか、しかし、その霊達は置いておけ」

「なんだって？俺にやらせてくれるって約束は？」

ここに來てヴォイドは苛立ちを表に出した。

元々はカトレアが失敗したら康太の持つ霊はヴォイドが回収してもいいという約束をしていたからだ。

「計畫が早まった、もう霊は十分だ」

その言葉にヴォイドとカトレアは両目を見開く。

自分の思っていた通りの展開にならず、ヴォイドは悪態をつき、舌打ちをする。

「一週間後、魔法省は壊滅する」

「何で？まだ霊足りないって話じゃ？」

カトレアの質問に白髪の男は口元を歪ませ笑いをこらえるようにそれに答えた。

「なに、偶然の産だ。數を埋めるに値するものが生まれてな」