霊使いと冠位の10人》父の帰還

その人を何かに例えるなら暴風雨と表現するのが適當だろう。

そう言われるのに差し障りがないほど、康太の父、一は荒れ狂っている人であった。

何をするにも極端であり、何をするにしても唐突なのだ。

康太はそんな父親のことがし苦手ではあった。

「お?おせえじゃねえかバカ息子」

「お、親父?」

突然いなくなったかと思ったらいつもすぐ現れる。

彼はそんな男だ。

流石に康太もそんな父親の行に、これまでの溜まりに溜まったストレスを発散するように一にあたる。

「一今までどこ行ってたんスか!?つかいつ帰ってきたんスか!?」

「いきなりギャーギャーうるさいっての!」

両耳を塞ぐ一は喚き散らす康太と距離を取るようにを仰け反る。

そんな康太の荒げる聲に反応したのか。

リーシャがハイネを抱えたまま飛び込んできた。

「康太様!...えっ!?」

「お?リーシャちゃんおひさ。可くなったねえ」

リーシャを見るや否やおちゃらけた聲でリーシャに挨拶する一。

「一いつお戻りに?」

「2時間くらい前。だーれもいないんだもん。びっくりだぜ」

手に持つ酒瓶をテーブルの上に置いて一は立ち上がる。

「今まで何してたんスか?」

「募る話はあるがとりあえず今日は寢るわ。疲れたんでな」

ヒックとを鳴らし、一は部屋を出ようとする。

「親父!」

それを引き止めるように康太は父親に聲をかける。

あん?と一は振り返り、康太からでる言葉を待つ。

「......おかえり」

「おう、ただいま」

二人とも素っ気ないやりとり。

形式的なものだとしても、やはり二人は親子なんだなとリーシャは心の底で思っていた。

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