いつまでそうしていたのだろう。気がつけば天から寸分のすきまもなく、天地を閉じこめる様な雨はいつの間にか止まっていた。雲が晴れ、満月が湖に反し幻想的な空間をつくっている。

アルトの涙は雨と一緒に々なものを巻き込んで流れ落ち、空と自共に乾ききってしまった。

ガサガサと草がき、ぼんやりとしていたアルトは警戒心を高めすぐさま立ち上がり振り返る

「誰だ？」

アルトがそう問うと草むらの中からクリームの髪のにエメラルドのき通った目を持ったしい、人形の様なが出てきた。

アルトはそのに見とれ、警戒心何てものは全く無くなり、ただひたすらにそのの目を見ていた

「あの……なん、ですか？」

小首を傾げし困ったように言う彼にアルトのはさらに高鳴る。

「いや、何でもない」

目を逸らし湖の方に向き直し、反した月を眺める。高鳴った鼓は一瞬で落ち著く。

「 隣、座ってもいい？」

「ああ、良いよ」

2人は特に何か話すことも無く、數分の時が流れた。

「貴方は、何故こんな所に居るのですか？」

雨に濡れてびちょびちょの俺を見て尋ねる

「何でだろうな……気がついたらここに座ってた」

「ここ、いい場所でしょ？ 私もよく來るの。ここに居ると嫌な事とか全部忘れられる。

だから貴方も、ここに居るんでしょ？」

「そうかもな」

それ以降特に會話は無く、時が進んだ。

どれほど時間が経っただろうか。彼は唐突に立ち上がった

「じゃあ、私そろそろ行くね！」

バイバイと俺に手を振る

そして軽い足取りで走り去って行った彼を、俺は1人、眺めていた

彼が完全に見えなくなった時、また反した月を眺める

「月が綺麗だ」

天使のようなしい、名前も知らない彼に出會ったアルトは、ここに來た時とは比べにならないほどに、気分が晴れていた。

雨を止め、アルトの気分を晴れやかにした彼は、太なのだろうと、そんな事をあるとは思っていた。

ーーー

翌朝

アルト達は窟の中でアルトが用意した朝食をとり、街に向かう準備を整えていた

「ですから、私達も同行致します！」

「いや、俺一人で行く」

「主よ、この前の様に倒れたらどうするのだ？」

「ご主人様、ほんとよ！」

朝から繰り広げられているこの言い合いは、アルトが1人で街に行って記憶を消すか、3人もついて行くかとの容である

アルトは自の拭いを1人で完結させたいと思っている。だが、3人は前のように倒れたりする可能などを考え、自分たちも同行すると引けを取らない

「頼む」

アルトはその一言だけ言って深く頭を下げた

しばらくの沈黙が続く。口からってきた風が窟を駆け巡り焚き火の炎を消し去る

「我は、ここで待とう」

「私もここで待ってるわ、ご主人様」

自の主が深々と下げた頭に、その決意と意志をじ取り、2人は引き下がった

「ありがとう、キウン、スーリヤ」

アルトは頭を下げたまま言う

「私は、認めません。せめて私だけでも！」

「ネメス！ 貴様、それ以上主を愚弄するならば、我が息のを止めるぞ」

波紋狀に広がったキウンの殺気は、目視できるほどに強く、空気を切り裂いた。

だが、その殺気をけて尚ネメスは余裕を保ち、立っている。

常人ならば気を失って……いや、命を失っているだろう

「流石は霊王と言ったところか？ ですが私も神級悪魔。その程度の殺気、私でも出せるんですよ」

ネメスが殺気を放ち自の得となる細剣を鞘から抜こうとした時、アルトがく

「靜まれ」

その怒りに満ちた聲と、音が鳴るほど強く発せられた殺気に、ネメスとキウンは震いをする。

スーリヤには殺気が向けられていないものの、アルトから発せられたオーラをじ取り、何も言葉を発せられなかった

「ネメス、今回は引いてくれ。キウンも俺を思っての行だろう」

「分かりました、主様」

カチャンと音を立てて抜きかけていた細剣を鞘に戻す。そして片膝をつき、アルトに頭を下げる

キウンも逆立っていたを沈め、地面に伏せる。

それを見て、自分元慌ててネメスと同じ制になるスーリヤ。

窟にはアルトが立ち、3人が平伏している狀態となった

その後、アルトは3人を見ると口を開く

「もう倒れることも無いし、俺の中で整理ができた」

うっすらと笑うその顔は、整理ができたことへの安堵と、けれてしまったが故の悲しさを背負っている

「今回は、俺一人で行く。お前達は、ここで待機していろ」

改めてそう言いきったアルトの結論に、異論を唱える者はいない

自分の主が全てにケリを付ける決斷をし、決意をしたのだ。その主を見守り、今後一生仕え、支えていく事こそ、その従者の意志。

その決意を、3人は改めて心に刻んだ

ネメス、スーリヤ、キウンの3人は上げていた頭を深々と下げ、意を決した事をアルトに伝えるかの様に言う

「「「仰せのままに」」」