《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》大進行⑦

「おい! 大丈夫か!?」

蹴り飛ばされたアルトに馬車を守っていた騎士であろう男が聲をかける

「あぁ、問題ない」

手をカタカタと震わせながら言っているため、信用は出來ない言葉だろう。それ故騎士は黙り込んだ

自分達だけでは乗りきれない。この震えている子供に助けを求めるしかないのだ

その悔しさからだろう、剣を握る手は力を込め過ぎてプルプルと震え、歯をギシギシと鳴らしている

大丈夫……そんな痩せ我慢を言ったが、正直大丈夫ではないな

殺そうとするとどうしても母様と兄様、父様の俺を軽蔑したような顔、それと……とにかく々と頭に浮かんでくる

仕方が無い、魔法で気絶させるしかない

「だが……力は殆ど殘ってない。使えてEランク魔法ってとこか」

額に汗を浮かべながらぽつりと呟く

Eランク魔法ではこの人數を纏めて気絶させる威力の範囲魔法は無い。そして、この魔法を放てばアルトの力が底をつき、剣で戦ってもかなり危ないだろう

あまりやりたくなかったが……誰か呼ぼうか

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契約済みの使い魔を呼び出す時は、ほとんど魔力を使用しない。

「召喚 ネメス」

右手を地につけ、そう言うと紫の魔方陣が展開される。

その魔法陣から幾多のが出現し、闇の霧となりネメスのを型どって行く。

それは本の數秒で完了し、ネメスが召喚された。

「お呼びでしょうか、主様」

「あぁ、説明は後だ。盜賊達を一掃しろ」

「主様の仰せのままに」

そう言うと何処からか取り出した細剣を鞘から抜き放ち、盜賊達に斬り掛かる

數分で盜賊の息のを止めたネメスは、アルトに向かってかなり怒った様子で歩いてくる

「主様! あれ程、あれ程言ったではありませんか!」

「いや、まぁ何だ……悪かった」

あまりにもネメスが怒っていたので、アルトは素直に謝った

「はぁ、まぁ盜賊は予想外の事だったとして、今回は許します。貴方様はもっと自分のを大切にしてくださいね」

「分かった」

そう言うと、ホッと息を吐いたネメスが俺の事をおぶさり直ぐにその場から離れようとした。

騎士が馬車に報告に行ったのも、その中から恐らくその主が現れることを察知しているのであろう。

面倒事には関わりたくない。

そう考えて直ぐにその場から立ち去った

窟についたアルトは、スーリヤとネメスにとても心配したと言葉をかけられ、し反省した。

既に日は傾き、魔法を使って疲れていたアルトは事の詳細を話すことも無く、すぐに眠った

「んぅ……」

眠たい目をり目を開くと、焚き火にネメスが1人、本を読んで夜番をしていた

「おや、主様おはようございます」

「おはよう」

と言っても、窟の外は暗く、星々がり輝いている

「コーヒー、お飲みになりますか?」

「頼む」

俺はネメスの向かいにの切り株に腰掛け、ネメスが淹れてくれたコーヒーを飲む

し沈黙が続いたが、それはアルトによって破かれる

「なぁ、ネメス。し聞いてくれないか?」

「なんですか? 主様」

本をパタンととじ、ネメスが自のアイテムボックスに仕舞うとコーヒーを1口飲む

「今日盜賊と戦った時、殺せなかったんだ」

「と言うと? まさか盜賊より弱かった訳では無いでしょう」

「あぁ……剣が首に當たる直前、々と思い出したんだ」

アルトは右手を左手でさすり話を続ける

「怖かった……怖かったんだ! 俺が殺して、また化けのと蔑まれるのが……

大切な人が死んだ時のをことを鮮明に思い出すのが……

俺の力が原因で、大切な人が死んでいくのが」

アルトは大切な人を失いすぎた

母、兄、記憶、前世でも……

それは全てアルトの力が間接的にだか関わっている

今回で言えば魔族の報復

これはアルトが魔族を殺すほどの力を持っていたから

前世ではその才能から妬まれ、その矛先が大切な人へと向き、大切な人が自ら命をたった

その時の悲しみ等が今積み重なり、''死''への恐怖が一気におしよせてきたのだろう。

決してアルトは悪くない。だが、自分のせいだと思い込み、塞ぎ込んでしまっている

そして、それに追い打ちをかけるように々な人から責め立てられた

もう、アルトの神はボロボロだった

すぅ、と息を吐いたネメスが話し始める

「主様、私も自の持つ力で大切な人を失ったことがあります」

突然のネメスの告白にアルトはし驚く

「そう……なのか?」

「はい。

かつて未だった私は、自の''力''に慢心していました。

この力は勿論努力もしましたが、生まれ持って居たものだったのに、その事を忘れてしまっていたのです。

''冷徹悪魔''

これがかつての私の異名です

歯向かうものは問答無用で容赦なく処する

このせいで様々な恨みを買ったものです

ある時、1人の男を処刑したのです。革命軍と呼ばれる軍の総括でした

反逆罪として捕らえ、見せしめに処刑を……

それから月日が5年ほど経った日、突然と私の大切な、信頼していた部下が5名ほど死となって見つかりました

犯人は5年前処刑した革命軍の総括の息子

怨みの篭もった目で睨みつけられ、腹心の部下を目の前で殺されました

勿論その男は処刑、その男の弟は悪魔界追放としたのですが

とっても後悔したものです

それから私は民に謝罪し、もう一度チャンスをいただき、今のようになったのですが……

ある時、今は亡き私の師が仰って下さったのです

「今はその力を悔やめ、思う存分に。

だが、いつか守りたい、大切なが出來た時、次は心してその力を振るうが良い」

と……

その言葉で私は民を守る為、部下を守るために王として悪魔界をまとめているのです」

「そんなことが……」

「まぁ、主様は自分の力を悔やむ事はありませんが、その力を使われるのは

何か大切な、守りたいものが出來たときでいいと思いますよ。

貴方様が力を封印したとしても、我々は……私は貴方様の従者ですから」

ニコッと笑ってネメスは、そう言った

「………………」

アルトは無言でコーヒーを口にし、し照れくさそうに言う

「ありがと」

「いえ、お役に立てて良かったです」

力を使わない……

俺にそれは出來ない

力を使って、罪神を殺す為に力を付けなければならない

俺は今、潛在能力はどの十神をも凌駕しているが、実質的な戦闘能力ではどの十神の足元にも及ばない

経験が圧倒的にない。そもそもこのだ、力、力、速さ、全てに劣る

Zランク魔法を1発撃った程度で力が盡きるようではまだまだ駄目なのだ

''神から貰った力に頼らない力''

これこそが今の俺の目標だ

面を、鍛える。その過程で人を殺すことが必要ならば、俺はどんな方法を使ってでもそれをし遂げる

確かそんな魔法があったはずだ

「後でキウンに聞くか」

「何か言いました?」

ネメスが訪ねる。聞こえないほど小さな聲でアルトは呟いていた

「いや、なんでもない。おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

そう言って床についた

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