そよ風が朝獨特の冷たい空気を窟に送り込む。その風に當てられて、アルトは目を覚ました

窟で夜を過ごすのは今日で2日目、流石に巖場に布1枚敷いただけの場所で寢るのは、が痛くなる

首を橫にたおし、ポキポキと音を鳴らす

「あら、ご主人様。おはようございます」

骨を鳴らす音を聞いて、スーリヤ俺が起きてきたことに気がついたようだ

「あぁ、おはよう。2人は？」

「ネメスとキウンは狩りに出掛けてます」

「そうか」

なんとも準備がいい事だ。指示しなくても行してくれる……優秀な従者に恵まれたな。

「ご主人様、コーヒー、お飲みになりますか？」

「頼むよ」

俺は、被っていた布を肩にかけ、焚き火の方へ移する

「どうぞ」

「ありがと」

淹れたてのコーヒーをスーリヤからけ取り、1口飲む。

あったかいコーヒーはし甘く、ポカポカとを芯から溫めてくれる

さて、突然だがこれからどうするかを決めなければならない。流石にこのまま窟暮らしという訳には行かないだろう

あてが全く無いわけではない。2箇所ほど心當たりがある

まず1つは、フルム魔王國だ。

反魔王派閥を解させたのだ、こちらがお願いをすれば応じてくれるだろう

だが、正直魔王國にを寄せるのは本當の最終手段だ

2つ目は陛下を頼る

父様の親友であり、事の経緯も説明し易い。ガイアもいるし、しは力になってくれるだろう

って……

俺はいつからここまで人を當てにするようになったのか……

ほんの數ヶ月こっちで生活して、本の數週間で々と大変なことがあって

俺も変わったな

「ご主人様、何かありましたか？」

アルトの頬は自然と緩んでいたようだ

「いや、変わったなと思ってな」

「そうですね、変わりましたね……」

スーリヤはし悲しんでいるようだが、俺にとっては何も悪いことばっかりじゃ無いんだよな……

いや、悪いことばかりか

「とりあえず、今日は王都に行って陛下に直談判しに行くか」

「火鳥」

アルトが魔法を使うと小さな赤い魔方陣から火の鳥が姿を現した

これは火屬Eランク魔法の火鳥

主に伝書鳩として使用され、炎の鳥が伝書を持ち相手のところまで屆ける。

だが、この鳥の便利なところは、しでも襲撃を食らうと、伝書を燃やして消えてなくなるので、報がれる心配がない。勿論、その鳥が役目を果たさず消滅すれば者に伝わる。

アルトはアイテムボックスから萬年筆と紙を取り出し手紙を書く

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拝啓

風に揺れる紅葉に風をじる爽秋の候。

陛下におかれましては、ますますご健勝の事とお喜び申し上げます

この度は魔王國への書狀、誠にありがとうございます。

陛下より授かった書狀あって、何ら問題が生じませんでした。

そして、今回、その件につきまして陛下に直接ご報告をしたく存じますが、現狀一家で赴くことが出來かねます。それ故、このような形になってしまいました。何卒、容赦ください。

つきましては、この手紙に私、アルトの魔力を込めて起きますので、お手數をお掛けしますがお返事を頂けると幸いです。

末筆ながら、陛下のいっそうの活躍を心よりお祈り申しております。

季節の変わり目ゆえ、くれぐれもご自くださいませ。

敬

トールス王國國王陛下

            バーズ・メン・トールス 様

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數十分で手紙を書き終えたアルトは、先程の火鳥に手紙を持たせ、空へ羽ばたかせた

それにしても、前世で父の変わりに々な會社の人に手紙を書いて送っていた事がここに來て役に立つとは……

ほっと一息ついたアルトは、コーヒーを飲んだ

どうやろその間にネメス、キウンが帰ってきていたようで既にスーリヤがを捌き、串に刺して焼いていた。

まさかこのような事になるとは思ってもいなかったアルトは、アイテムボックスにパンなどの食料を保管している訳もなく、ココ最近は山や森から採取した果や、魔などを狩ってをべている

「主様、誰にお手紙を？」

俺が書き終えるのを待っていたのだろう、ネメスが問いかける

「あぁ、流石にこのまま窟生活はおくれない。だから陛下へな」

「そうで座いましたか。では、王都へ？」

「あぁ、飯を食ったらすぐに向かう」

「了解致しました。用意をしておきますね」

俺達はを食べ、直ぐに窟を後にした

辺境伯領から王都までは馬車で凡そ2週間程度。徒歩であれば1ヶ月はかかってしまうであろう。

火鳥が陛下の元へ著くのは大今日の日が沈む頃。最終的には転移で飛ぶのだが、昨日使用した魔法のせいで、まだ力が完全ではない。恐らく明日にならなければ転移も使えないだろう

それに、距離が離れればそれだけ魔力を使う。せめて今日までに半分とまでは行かずとも、それに近い距離は進んでおきたい

ということで、俺はキウンにり、ネメスとスーリヤは以前作った異空間にり、かなりのスピードで進んでいる

流石キウン、皇狼と言った所だろう。恐らく時速150キロは余裕で出ているだろう。

俺に負擔がかからないように、恐らくまだ出るであろうスピードを出していない。

それでもここまで早いのだ。時間については問題ないであろう

その後、特にトラブルが起きることも無く日が傾き始めた頃には、既に王都までの距離は半分を切っていたのであった

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手紙の書き方等については、ネットを使ってなるべくそれっぽく見えるように調べて書いたので、多、いや、かなり変でも暖かい目で見てください