《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》大進行⑮

アジュの森最深部――時刻はまだ晝であり、雲ひとつない快晴の空には暖かな太照っている。

だが、そのはアジュの森に聳え立つ大きな木々によって遮られ、森の中は時間覚が狂う程に暗い。

そんな森に、1軒の家がその場とは似つかない鮮やかな太に照らせれていた。

そんな家の中からは、迫した空気がれだし、極寒の地であるかのような冷たい空気が漂っていた。

「と、言うわけで……只今より速急に王都へと向かうよう陛下からお伝えが」

溫かみのある木の部屋に、見た目は質素ではあるものの、その素材は一級品であることが一目で分かるほど高価な革で出來たソファ座るシルウェが、その異様な空気に冷や汗を流しながらも対面に座る2人に陛下の言葉を伝える。

彼は、陛下に指示をけてから転移魔法が使える執事と共に一度だけ來たことのある2人の修行の場まで赴いていた。

「先生」

「あぁ」

アルトは隣にいたハヴェの名前を呼ぶと、何かを察したようにハヴェは返事を返す。

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「えっと……シルウェ様」

「私に敬稱は不要ですよ。 立場的には貴方方と同等なのですから」

「そうなのか?」

「えぇ、権力は高くしておいた方がきやすいだろうと私と同じ位置になされたようです。私はほかの貴族からの反の事を考えて反対したのですが……陛下はそれほどに貴方を買っているという事ですよ」

何も聞かされていなかったのであろうハヴェはシルウェに尋ねた。

それに対してシルウェは、穏やかな表で返した。

なくとも彼は、國士騎士という立場と、その者達が持つ権力については全く不満を持っていないのだろう。

「先生、知らなかったのか? 」

「あぁ、二つ返事で了承したからな」

頭をポリポリと掻きながら言う彼に、思わずアルトは笑みをこぼす。

「先生らしいな」

「そうか? 」

そんなやり取りをしていると、シルウェが――ところで、と本題に話を戻す。

「そろそろ王都に向かいたいのですが……詳しい事は陛下直々にと仰っていましたし、時間もあまりありません」

「おぉ、すまんな、直ぐに行こう。アルト用意しろ」

ハヴェに用意しろと言われたアルトは部屋を出る。

數分して戻ってきたかと思えば、手には1本の大剣程ではないものの、そこそこ大きな剣を擔いでいた。

「先生、ほら」

そう言って剣を差し出すと、ハヴェは禮を言ってけ取る。

アルトは得をボックスに閉まっているため、持ち運びに困ることは無いのだが、ハヴェはボックスの魔法が使える程に、魔法の技は無い。

そもそも、仮に使えたとしても彼の持つ魔力の量―魔臓の変換効率―では、彼の剣は収まりきらないだろう。

「用意はできましたか? 」

「ああ」

「では、転移魔法を発させます。従者の彼の肩に手を置いてください」

そう言うと、後ろで控えていた執事はボックスから自の背丈の半分以上はある大きさの杖を取り出した。

杖は魔法の発として用いられる。

無論、杖が無くとも発は可能であるが、杖という発があれば、魔力の使用量の削減、発容の強化など々とメリットがある。

故に、ほとんどの魔法師は杖を攜えている。

「では、王都へ飛びます。 ヤン」

「承知致しました」

ヤンと呼ばれた執事はシルウェの指示道理に魔法を発させるべく詠唱を始める。

「此処に在世す彼の者よ 追憶の地へ旅立たん

ーー転移ーー」

無屬Aランク魔法転移

剎那ーー彼の使用した魔法により、視界が変わった。

暖かみのある木の壁から、豪華であると誰もが口を揃えて言うであろう裝飾の施された壁へと。

質素でありながらも上品な気質を殘したソファから、これまた如何に高価であるかを顕させるようなソファへと変わった。

國王の自室への直接転移。

転移防止結界が王都を取り囲むように張り巡らされている狀況で、本來であれば不可能なことだ。

だが、王家の紋章の刻まれた転移許可書を所有することにより、王都への直接転移を可能としている。

無論、アルトであれば、その防止結界の合間をすり抜けて転移することは容易いが……

トールスは、執務機で作業をしていたが、転移により現れたアルト達に直ぐに気が付き、手を止めこちらに向かってきた。

「アルト、ハヴェよ。待っていたぞ」

トールスは、ようやく來たかとし早足でアルトの前まで行き、右手を差し出した。

「陛下、お待たせしてしまい申し訳ありません。我らが國士騎士、陛下の下に……」

アルトはそう言って、差し出された右の手を握り返した。

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