「こい、ネメス、スーリヤ、キウン」

アルトがそう言い放つと、3種の魔法陣が地に展開される。

そこに現れたのは、アルトの使い魔。

揃って亜神の規格外の化け立ちである。

ハヴェはその強すぎる気配を瞬時に察知したのか、それらを呼び出した自らの弟子に驚きの表を向けている。

「3人とも、自己紹介」

「「「意」」」

膝をついて頭を垂れる3人(2人と1匹)は、立ち上がるとハヴェの方に向く。

「では、私から。 私は主様の近衛を務める神級悪魔のネメスと申します。いこ、お見知り置きを」

「私はご主人の書、神級天使のスーリヤよ。よろしく」

「我は主の近衛兼騎獣のキウンだ」

3人が名乗りを終える。

だが、ハヴェは何も言わない。いや、言えない。

世界の均衡を保つ神の眷屬、それが神級に位置する天使と悪魔、霊の長である皇狼だ。

そんな彼らは亜神であり、ハヴェの使い魔である龍如きでは足元にも及ばない存在。

世界最強の種族と呼ばれる龍種が足元にも及ばない相手を3人も目の當たりにして、狼狽しているのだ。

足がすくんでけない。が震え、思うように聲が出せない。

ハヴェは、知っている。彼らの恐ろしさを。

それを知らぬものが見聞きしたとしても、''凄い'' ''異常だ''程度にしか思わなだろう。

いや、それすらも大層な反応なのだが、神級と謳われる、亜神である彼らの力を知るものは、そんな安っぽい反応では事足りないのだ。

そんなさなか、キウンはアルトのに顔を疼くめ、ネメスとスーリヤは談笑している。

そんな景がハヴェには恐ろしく思える。

自らの弟子との、格の違いをじていた。

そうこうしている時間にも、魔は王都を目指して進行を進める。

街門 から目視出來る程にまで近ずいた魔は、途端に荒れ狂っていた。

「これは、想定外だな」

アルトはそれを見ながら呟いた。

魔達は、ある一線を境に進行のスピードを上げ、さらには攻撃的になり、大人しくしていた竜は火を吹き、後方にいたゴーレムは自らのの石を投げている。

大きな石は整備された地に大きなを作り、火は草原を塵へと変える。

「先生、こりゃやばいぞ」

アルトはハヴェに言うが、返事は無い。

橫を見れば、今だなをネメスたちを見ている。

「先生！ しっかりしろ」

強く背中を叩かれたハヴェはなんだ？ とアルトに言う。

「なんだもクソもあるか！ あれ見ろ」

「あ、あれは！ 」

ようやく事態を察知したハヴェは、地面に剣先を付けるようにして持っていた剣を手にもつ。

「アルト！ 暴れるぞ」

ニヤリと悪戯っぽく笑うハヴェはアルトに目線を送る。

それを見たアルトはヤレヤレと笑いながら言う。

「暴れろ！ 」

アルトの言葉がハヴェの耳に屆く頃には、既にハヴェは駆け出していた。

そこそこ大きな剣を片手で振り回し、空いた手で魔法による魔法発を行い、あたりの敵を蹴散らしている。

魔法とは、その名の通り魔法の道だ。

魔法と言っても様々だが、今回彼が使用しているのは攻撃魔法が込められた魔法だろう。

盾のような形をした魔法には、魔法陣が刻まれており、中心にある真紅の大きな魔法石がると同時に、數メートル先に大きな発が引き起こる。

「あれは、無屬Sランク魔法''空破''……そうか、先生らしいな」

無屬魔法Sランク''空破''

この魔法は空気を破裂させることによる理的ダメージを與える魔法だ。

本來、魔法に攻撃魔法を込める場合は低ランクの様々な屬の、様々な用途の魔法を複數込める。

例を出すならば、水屬Dランク魔法水針、火屬Fランク魔法火球、風屬Eランク魔法風壁

のように、用途別の魔法(今回ならば、理攻撃、破攻撃、守護)を選ぶ。

だが、ハヴェは広範囲に攻撃できる空破、それも一つだけを刻むことによって、高難易度の魔法を魔法発出來るようにしてある。

魔力は、良質の魔石(今回は真紅に輝く石

)を用いることによって、數度分貯めておいた魔力で発できる。

本來とは一風変わった使い方をして見せたハヴェに、アルトはし驚いていた。

(これは、俺も負けてはいられないな)

アイテムボックスから刀を手に取ったアルトは、強化魔法を施して戦場に駆け出した。