《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》大進行⑲

「灼熱と業火の意思よ、敵を貫き我が手に還れ」

''揺れくもの''

アルトは魔の群れに向かう最中、火屬Zランク魔法の''揺れくもの''を発させる。

その大きな炎は、偽裝したアルトの2倍はあるであろう1本の槍となり、熱風を放ちながら魔の群れに突き刺さる。

ーーぐぎゃぁぁ! 

達がき聲をあげる。大きな槍は巨大な魔の心臓を一突きにすると、アルトの手のにまで戻ってきた。

この魔法は、一撃の威力が高い槍を魔力を使用し保っている間、的に命中しては自らの手のに戻るという技だ。

揺れくもの、北歐神話の1本の槍、グングニルから取られたもだと言われている。

この一撃で、魔がかなり死んだ。

の大群には一筋の道のように魔の死が転がっている。

「おい! アルト、俺まで巻き込むつもりか! 」

その迫した戦場からは浮いた、間抜けな聲が聞こえてくる。

「先生ならぶじだろ? 」

「勿論だ、舐めるな! 」

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「なら問題ないよな」

そう言うと、アルトはまた大きな槍を敵地へ放つ。

だが、その槍が魔達を貫くことは葉わなかった。

「ウォォン」

その槍の數倍はあるであろう漆黒に染まった狼は、天高らかに遠吠えをする。

「ちっ、せっかく作ったのに」

アルトは刀を抜き放ち、首をカッ切ろうとスピードをあげる。

アルトの刃は狼の首を切り、が吹きでる。

だが、刀に著いたを払ったアルトはどこか違和じていた。

「手応えがない」

そう言って後ろを振り返ると、すぐそこに狼の尾が迫っていた。

「うぉ! 」

を反らし、間一髪で躱したアルトは、転移魔法を無詠唱で発し、魔に突撃する前の辺りまで瞬時に退卻する。

「あれとあそこで戦えねぇ。 先生に被害が行っちまう」

アルトは、先程の攻撃が連発されること、それ以上の攻撃が使用されることを瞬時に察したのか、ハヴェへの被害を考慮して1度引いたのだ。

だが、ここまで下がると王都に影響が出そうだ。もうし前に……

「主よ! 」

アルトが近づこうとしたその時、後ろからキウンの聲が聞こえた。

「なんだ? キウン」

「そやつの相手、我にさせてはくれまいか? 」

「キウンが? 別にいいけど、どうかしたのか? 」

「そやつは、我の……我の弟子だ」

キウンは漆黒に染まった1匹の狼を見據えて言う。

「弟子か……なら尚更俺が代わりに」

「いや! それはならん」

アルトの言葉を遮ってキウンは言う。

普段、従魔であるキウンはあまりアルトに強く意見を発したりしない。

時に助言などを言うが、基本的には何もしない。

特に、今回のようにアルトの言葉を遮るなど、1度もなかった。

「弟子のケツ持ちは師がするものだ。故に我がかたをつける」

「そうか。任せた」

アルトは、キウンのその強い意志に特に何も言うことなく了承をした。

戦前だと言うこともあり、既に元のサイズに戻っている大きなキウンの頭をでると、俺は戦場へと戻って行った。

「久しいな、ロッツよ」

キウンはの前の弟子、ロッツに言うが彼から返事はない。

「そなたが旅立ってもう80年になるか。どうだ、変わらぬか? 」

キウンの問いに、ロッツの口がかすかに開いた。

「……わけあるか」

「なんだ? 」

「変わらないわけあるか! 貴様が、貴様があの時! 」

般若のように怒り狂うロッツは、そのめる膨大な魔力の制により疎かになり、辺りの溫度が急激に下がる。

「まだその事を言っておるのか……あれは、違うと言ったろう」

「何が違うんだ……俺の、俺の弟を見殺しにして!  」

「見殺しになどしておらぬ。 あれは、仕方がなかったのだ」

「噓を吐くな! 貴様なら助けられただろう、俺を助けた後、何故……なぜ泣きぶ俺の弟を見捨てた! 」

ロッツはそうぶと深く唸る。

研ぎ澄まされた爪が地面に食い込み、その力で地割れが起きる。

「貴様だけは、貴様だけは許さない。 今ここで、全てを悔いて死ね! 」

そう言うと、ロッツの口に異様な濃の魔力が集中する。

された魔力は、深い紫に染まり一線のレーザーとなってキウンに襲いかかる。

耳を劈く大きな発音が響き渡ると、砂煙を上げてキウンのいた場所を覆い隠す。

「この程度の挨拶だ、くたばっている訳が無いだろう。さあ、姿を見せろ」

ロッツはさらに追い打ちをかけようと、先程とおなじもの''死黒の寶玉''と呼ばれる闇屬ASランク魔法を放とうとする。

だが、それは葉わない。

「どこを見ておる、我はここにおるぞ? 」

ロッツはその聲のする後ろに振り返る。

だが、既にそこにキウンはいない。

「だからどこを見ておる。我はここだ」

その聲が聞こえた直後、ロッツは腹部に強烈な痛みと衝撃をじる。

それと共にロッツは數メートル吹き飛ばされた。

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