《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》大進行22.5

「よし、敵の殲滅と行こうか」

「心得た」

ローブ姿でアルトに纏っていたキウンは、その形を翼のように変化させ大きく羽ばたいた。

みるみると視界が高くなる。本來、魔力を使って飛んでいたアルトは、幾分か力を消費し、なからずそちらへの気配りも必要であったが、それを全てキウンに任せることでよりな魔法を放てることが出來るようになった。

距離は凡そ1キロメートル先。発を起こしながら戦うハヴェとは真逆の方向。

アルトがその場を離れてから、また群れを為し著々と王都に近づいてくる魔の大群に、アルトは両手で銃を型どり、その指先を向けた。

「天より舞い降りし一筋の雷よ、我に仇なす彼の者共を、無慈悲に暴の限りを盡くして貫け」

''天雷の暴''

魔法ランクZランク魔法。

この戦において、2度目のZランク魔法である。

その指先から放たれた無數の雷は、の速さで敵を貫く。

まるで意思を持つそれは、1度貫こうが何であろうが、何度も何度も突き通る。

辺りには片が飛び散り、臓が撒き散らされている。

鉄の臭いがあたりを漂い、その臭いは風に流され1キロ先にいるアルトにも屆いた。

「お見事です、主よ」

「まだまだだよ……この程度なら」

アルトのその言葉からは、この程度の魔法じゃ駄目だという強い苛立ちがじられた。

彼の頭の中には、常にあいつが居るのだろう。

己の全てを奪い去った彼奴が……。

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