《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》第三章 國士騎士

「君達の隊を、俺達は心より歓迎する」

國士騎士の特別訓練所を與えられたアルト達は、早々に送られてきた優秀であると思われる兵士達を全て採用し、今訓練所に集合させていた。

今その前で話をしているのは、國士騎士副長であるハヴェだ。

「先ずは、國士騎士隊長からの挨拶だ」

指揮臺から降りてきたハヴェから、拡聲け取った。

拡聲とは、転移魔法陣を組み込み魔力を流しながら話す事で、対となる魔法陣が組み込まれたから聲が聞こえるというものだ。

複數の転移魔法陣を組み込めば、より多くのと繋がり、広範囲に聲が聞こえるというとても高価なものである。

今手元にあるのは、8この魔法陣が組み込まれた最上級のものである。

現狀、存在する最多數の同時接続が12である。

段差が三段ほどある比較的大きな指揮臺を登り、皆の前に立つとフードを外した。

「私が、國士騎士隊の隊長アルト・シルバーだ」

クロードとは名乗れない。以前見た本の著者がシルバーだったので、それをそのまま使ってしまった。

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「ま、まだガキじゃないか……」

「あいつ、俺の息子くらいの年齢だぞ」

アルトを見て、その若さから揺の聲が上がる。

勿論、小聲ではあるがアルトは聞き逃さなかった。

「私の年齢がそんなに気になるのか? 」

聞こえていたとは思いもしなかったのか、しうろたえるが、そのうちの一人が聲を上げた。

「あぁ、気になるね。力だけしかない経験もろくにないガキの下に著くなんて真っ平免だ」

空気が凍る。

誰もがその男を見て、何を言っているのだと言う表をしている。

だがそんなことはお構い無しに、アルトはその沈黙を破った。

「そうか、ならば去るといい。折角のチャンスをその愚かな目と、クソみたいなプライドで投げ出せばいい。こちらとしても、そんな無能は必要ない」

目には見えなくとも誰もがじた。

空気に亀裂がり、それが々に砕け散る様を。

「な、ふざけんな! クソが……いい気になってんじゃねぇぞ! 」

男は、腰から短杖を取り出すと略詠唱でBランク魔法を発する。

「燃えろ、焼き盡くせ、火炎弾」

數発の火の玉は、高速でアルトを目がけて放たれる。

だが、それは直前で當たること無く靜かに消された。

アルトの意を汲み取り、ローブとして纏っていたキウンが瞬時にその炎を切り裂いたのだ。

「Bランク魔法を略詠唱……なかなか優秀なものなのに勿ないな。去れ、邪魔だ」

「ふ、ふざけるな……」

「しつこい奴だ、それに頭も悪い。ハヴェ、つまみだせ」

「了解」

橫に控えていたハヴェは、ゆっくりと男に近づく。

「ち、近寄るな! 殺すぞ! 」

男は、腰に攜えていた短剣を抜き放ち、迫り來るハヴェに剣先を向ける。

「魔法剣士か……悪くは無い。だが……」

瞬時に剣を抜いたハヴェは、目にも止まらぬ速さで男の短剣を真っ二つに折ってしまった。

この場にいるもので、ハヴェの剣筋を捕えられたのはアルト以外居ないだろう。

「これ以上居座るなら力技に出るけど? 」

「なんだよ、こんな所抜けてやる! 」

折れた短剣を投げ捨てると、ブツブツと何かを言いながらその場をあとにした。

「他に、文句があるやつは出ていけ」

ハヴェに集まっていた視線の全ては、一聲で全てアルトに向けられた。

それから數秒沈黙が続く。だが、誰一人としてその場からこうとするものはいなかった。

アルトの力を知ったからなのだろうか、魔法を切り裂くという常識破りな力の前で、自らの自は削がれ、力あるアルトに有の目を向けている。

騎士になるくらいだ、それぞれ守りたいものもあるのだろう。やりたいこともあるのだろう。だが、そのどちらにも自らの強さは必要だと。

もしかすれば、アルトのもとに居れば力が手にるかもしれない。

権力が手にるかもしれない。

大事なものを守れるのかもしれない。

やりたいことが出來るかもしれない。

そのような期待が、彼の若さ故の不安や不満を取り除いたのだろうか。

まぁ、一人を見せしめという形で容赦を見せず、追い出すことでこうはなりたくないと思うものが多いだけなのかもしれないが……。

「では、明日から強化合宿を始める。今日のうちに必要なものを揃えておけ。騎士の端くれならそれくらいは分かるだろう」

「「「はい! 」」

確かに、これは理想の形だが、もう1人くらい反抗するやつがいると思ったんだけどな。

この後、施設の紹介などがハヴェによって行われ、終わる頃には日が暮れていた。

そして、長々と話を聞いて疲れた彼らは、重い腰を上げながら明日の用意を始めた。

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