《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》國士騎士③

「クソっ! なんでこんなに數が多いんだ」

山に登り始めて3時間がたった頃、麓に近い場所はせいぜいゴブリンが數匹出てくる程度だったはずだが、それが中間地點が近づいてきた時から、數が數倍ほど増えた。

ゴブリンは、単ならば苦戦を強いることもない、どころか容易く倒せてしまう程であるが、彼らの知能は龍種や神獣を除けば、かなり高い方にある。

人間の劣化版のようなものだ。

そのゴブリンが數十の集団になれば、討伐はかなり難しくなる。

それに、各々の実力はあるが先程集まったばかりの騎士隊だ。

連攜も全くながら、この狹い山道での戦闘に行を阻害され、かなり厳しい。

「おいお前! ボケっと突っ立ってんな。邪魔だろ! 」

「あぁ? うるせぇよ。こちとら詠唱がいるんだよ! 」

テンポの合わない魔法師と剣士。

ある魔法は剣士の方へと飛び、間一髪でそれをわす。

ある剣士が飛びのけば、その先に詠唱をしていた魔法師がいて、激突したり。

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全くと言っていいほどに連攜が取れていないこの騎士団に、空中から眺めていたアルトは大きなため息をついた。

「これほどまでにレベルが低いとは……」

彼らの思考能力の淺さに、アルトは怒りを通り越して呆れていた。

各々の強さがあっても、連攜が出來なければ冒険者ランクで言うところのBランク程度の実力差でさえ、たかが數十匹のゴブリンの群れに苦戦を強いられるのだ。

その景に呆れたアルトは、無詠唱で''氷針''を発すると、半數程度のゴブリンの頭に突き刺した。

「グギャァ……」

脳を破壊されたゴブリンは、抵抗出來ずに事切れていった。

「な、なんだ! 」

突如として死んだゴブリンに、何事かと騎士達は辺りを見回す。

果たして、敵なのか味方なのか。

苦戦で鈍った判斷能力は、この森にそれほど強い魔が居ないことも、誰かを襲うような実力者が來ない事すらも検討付けられない程までになっていた。

「ここだ。お前達、何をしている」

「た、隊長!? 」

「たかがゴブリン程度に、何故苦戦しているんだ! 」

仲間が大量に死んだ事により危機を覚えたゴブリンは、僅かに意識が外れた騎士達の隙を見て退散して行った。

それに気づいたアルトも、追う必要は無いと逃がした。

今の狀況に限れば、騎士隊達よりもゴブリンの方が適切な判斷が出來ているだろう。

「み、道が狹く……思うように戦闘をおこなえません……でした」

アルトの問いに、俯いている騎士が口を小さく開け小さな聲でそう言った。

「違うな」

「え……」

「お前達は、初対面の騎士隊なのにも関わらず、役割分擔や個々の能力の把握、リーダーを作らなかったこと。つまり、連攜が皆無だった事が問題だ」

的をた指摘に、誰もが口を開くことが出來ない。

拳を強く握り、悔しさに歯を食いしばる。

「ペナルティだ。お前達、今すぐ山を降りろ。今言ったことをしっかりと考え、もう一度登りなおせ。但し、期限は変更しない! 」

その無茶苦茶なペナルティに、騎士達は不安の聲を上げる。

だが、異論反論の聲は出なかった。

いや、正確には出せなかったであろう。

中間地點の辺りまで來るのに3時間。

恐らく、この先は魔の出現量が増えることから、休息の時間を考えれば10……12時間程度はかかるだろう。

合わせて15時間。

アルトの計畫では、余裕を持ってクリアさせ、ある程度の自信をつけさせる予定だったのだが……。

「全く……」

アルトは、小走りで來た道を引き返す騎士隊達を見て、大きなため息を吐いた。

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