《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》國士騎士⑤

辺りには、を流した大量のゴブリンの死が転がっている。

騎士達は肩で息をし、無事生き延びたことに安堵していた。

「皆さん、お疲れ様でした。當初の予定では突破口から逃げる手筈でしたが、優秀な皆さんのおかげで殲滅に至りました」

「いや、あんたの指揮のおかげだ。それがなきゃ俺たち全滅してただろうよ」

ランドは、し顔を赤くし、俯いている。だが、その顔にはしっかりと笑顔が浮かんでいた。

「よし、あと半分ほどで頂上だ。気合いれていくぞ! 」

「「「「うぉぉぉぉぉぉお! 」」」」

の士気が上がっている。大敗と大勝の相乗効果で、騎士達にも自信がついたようだ。

それに、當初と比べてそれぞれがそれぞれの役割をしっかりと把握し、無駄のない連攜が行われている。

「思っていたよりずっと化けたな。1度降ろしたのが吉とでたか」

山を降りた時、戦意を喪失して駄目になってしまう可能も考えたがそんな事は無かった。

「これならば、當初の予定より早めて奴を使っても大丈夫かもしれないな」

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上空から見ていたアルトは、登山を再開した騎士達をみてしばかり笑みを浮かべていた。

數時間後……。

騎士団一行は、順調に山を登り頂上を目前に控えていた。

「あとしです。皆さん、頑張りましょう! 」

ランドの聲に、騎士団の者達が聲を上げる。

「リーダー、あれ……あれを見ろ!  」

「なんですか? 」

突如駆け寄ってきた剣士が指を指す方向を見ると、そこには長は優に3メートルを超える巨人が、大きな棒を擔ぎ立っていた。

膨れ上がる筋には青い管が浮かび、逆三角形のを作り上げている。

顔は鉄の仮面で隠され、大きな牙がそれを突き破り、見している。

「な、なんですかあれ! 」

その巨漢を見るなり、ランドは1歩後ずさりながら言った。

「君達、よくここまで來てくれた。途中の戦闘も見事だったぞ」

山頂に居るアルトが、騎士団たちに聲をかける。

「た、隊長! 」

「君がそんな才能を持っているとは、よくやったな。皆も、見違える程チームになったと思う。そこでだ」

アルトは山頂から、その巨漢の前へと降り立った。

「最終試練として、このキングオーガと戦ってもらう」

キングオーガとはオーガ種の最上位に値する魔であり、レート70を誇る強敵だ。

本來、冒険者ランクA以上で構されたパーティーが複數、念な準備を行い、何度も策を練り決死の覚悟で挑み、半數ほどの犠牲者を出してやっとの事で討伐する魔だ。

それが、ついさっきまで別の魔と戦い、準備も作戦も何も行っていない騎士団が葉うはずもないと、ランドは、分かっている。

「む、無理ですよ! 皆さん、今までの戦闘で「待ちな! 」……」

無理だと言うランドの言葉を遮り、ランドをリーダーに任命した剣士が言った。

「俺達は、國士騎士だ。この程度の魔、狩って當然。俺はまだまだやれるが、テメェらはどうだ? 」

男は、振り向きざまに剣を抜き騎士達に剣先を突きつけた。

その目には、力強い意思と、覚悟が宿っているのが目に見えるようにじられる。

「はぁ……當たり前だ。我ら國士騎士が、この程度の狀況を打破できないでどうする! そうだろ? 」

「そうだな、リーダー……いっちょやってくれんか! 」

ランドは、覚悟を決めた騎士達の目をじっくりと見る。

生唾を飲み込む音が、森の草木がれる音とともに鮮明に耳にった。

「分かりました……我らが國士騎士隊、キングオーガの討伐をしてみせます! 」

「「「「うぉぉぉぉぉぉお! 」」」」

騎士達が件を抜き、杖を構え、陣を組む。

高まった彼らの士気は、とどまることを知らない。

「よく言った。お前ら、死にさえしなければなんでも俺が治してやる。だから、死なない程度に死んでこい! 」

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