《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》國士騎士⑥

「我求むは強靭なる

''強化''

第2小隊の魔法師が、第1小隊含めた剣士全員に補助魔法を付與した。

「次は私たちの番ですね」

第2小隊の魔法師が後ろに下がると、控えていた第1小隊の魔法師が杖を構える。

「燃え盛る炎よ、彼のに宿いて敵をもやし盡くせ」

''火屬付與''

先程の剣士たちに、火の屬が付與される。

彼らが構える剣には、渦巻く炎が燃え盛っている。

「第1小隊、第2小隊の剣士の皆さん、オーガを囲ってください」

強化をけ、炎を纏った剣士達はオーガの降り注ぐ大きな拳を巧みに躱しながらオーガを取り囲んだ。

「では、足を集中して狙ってください。くれぐれも、上半には近づかないように! 」

「了解! 」

太さ太さ30センチはある太いふくらはぎ、まるで鋼のような質な皮に、騎士達の剣は弾かれる一方である。

「魔法氏の皆さん、上半目掛けて高火力の魔法を! 」

ランドの合図で、魔法師達は攻撃魔法の詠唱を始めた。

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その魔法は、殆どが火屬の魔法だ。

魔法氏が放った數々の火屬魔法は、オーガの顔やに直撃する。

「うがぁぁぁあ」

大きなうめき聲を上げ、その巨漢をよろめかせながらも大きな棒を振り回す。

だが、そんな適當な攻撃が今の騎士達に當たるわけがない。

よろけた足を、今だと言わんばかりに一斉に刺しかかる。

――ガギィイン! 

と剣とがぶつかったとは思えない音が響き渡る。

「押し付けるだけでいいので、続けてください!  」

ランドの指示を得て、騎士達は意図を汲み取り「突き刺す」から「押し付ける」剣にかわった。

四方八方から足を刺されるオーガ。だが、今だ狙われ続ける火屬の魔法のせいで足元を庇う余裕はない。

1度顔に直撃した恐怖は、上半の攻撃への警戒を発している。

「がぁぁぁぁぁ! 」

ついに、片膝をついた。

押し當てていた炎の剣が、オーガの皮を焼いて居るのだ。

力の高い鋼のような皮であったが、持続する熱には耐がなかったようである。

きが止まりました! 剣士の皆さんは1度下がってください! 」

剣士達は直ぐにその場から離れ、魔法師達の後ろの辺りまで下がる。

オーガは、焼け爛れた足の痛みに聲を上げ、剣士達を追うことも、攻撃を行うことも葉わない。

「魔法師の皆さん、お願いします! 」

杖を構え、オーガを取り囲んでいる魔法師は詠唱を行う。

「業火の炎よ、深淵の地獄より湧き上がり、我らを仇なす敵を焼き付くせ」

''地獄の貢ぎ''

10名以上の魔法師で構築されたその魔法は、大きな魔法陣を浮かべ灼熱の炎をオーガに浴びせた。

「がぁ……がぁぁ! 」

鋼の如くい皮は瞬時に焼け爛れ、顔の筋が目を支えることが出來なくなり鼻の位置まで目玉が垂れ落ちる。

その様子が、とうに燃え盡きた仮面のない顔に顕となっている。

「倒し……たのか? 」

「あ、あぁ。倒したんだ」

「た、倒したァァァァァ! 」

騎士達の歓喜の聲で溢れる。

剣を納め、肩を組合うもの、抱きしめ合うもの、手を合わせるもの。

各々、遠い場所にある扉をくぐり抜けた喜びをいっぱいにじていた。

「リーダー、ありがとな。あんたのおかげだ」

「い、いえ……僕は何も」

「あんたの指揮がなけりゃ、今頃俺達は全滅だ」

今回、この大掛かりな戦闘において負傷者は居たものの、大きくて打ち程度の傷で済んでいる。

これは、快挙である。今現在存在するどの國の騎士団よりも、これはせないだろう。

「………………」

顔を赤くして黙り込むランドに、騎士団のメンバーは笑い聲を上げる。

「皆さん、早く頂上に向かいましょう。隊長がお待ちですから! 」

恥ずかしくなったランドは、強引に話を逸らし、アルトの待つ山の頂上に向かって進み出した。

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