《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》領地運営と戦爭準備⑨

 夕刻、俺は陛下から聞かされていた貴族達に挨拶を済ませ、いよいよ始まるパーティーに向けて支度を始めていた。

 パーティーへの武の持ち込みは原則不可能とするのが常識であり、それは主でさえも例外ではない。勿論、持ち込んでもいいのだが、あまりいい顔はされない。

 そのため、俺はキウンを服の下に控えさせた。

 

 街の警備は基本的にネメスの部下である悪魔達に任せ、屋敷の警備にスーリヤの部下を配置した。

 街門には最上級悪魔、天使を配置させ、基本的には街への出りを一時止にしている。

 俺は主ということもあってか、赤い目立つ服を著ることを強制された。

 チャンが雇っていたメイド長に服を選ばせたのだが、このくらい目立たなければならないと言われた為、仕方なく著ている。

「主様、予定していた人數がお揃い致しました。陛下に置かれましては、現在こちらへ向かっていると護衛のものから連絡が」

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 傍に控えていたネメスが、かに陛下の護衛へと向かわせていたシャドウデーモンから連絡をけたようだ。

「分かった。陛下が到著次第、スーリヤを向かわせろ。くれぐれも相のないように出迎えてくれ」

 

 俺はネメスに指示を出し、髪と同じの銀のネクタイを締める。

 

「では、アルト様。そろそろ會場の方へ」

「うん、すぐ行こう」

 年を取ったメイド長はその場で別れ、若くしいメイドが先頭を歩く。後ろにはスーリヤとネメスが仕える。

 前のメイドがかなり見劣りする程に、後ろの2人の顔が整っている。

 これは、前のメイドが可哀想にじてくるな。決して整っていない訳では無いんだけどな。

 そんなことを考えながら、人が集まる會場へと足を進めた。

 會場へと著くと、大きな2枚扉の脇に控えた2人のメイドが、勢いよくその扉を開いた。

 この為にと態々呼び寄せた聖歌隊が、所謂國家を演奏する。 

 その迫力ある演奏と周りからの視線に包まれながら、俺は會場の中心へと向かった。

 國家が終わる頃に中心につくようにと、ペースを合わせながらゆっくりと歩き、丁度中心へと著いた頃、さほど長くない國家の演奏が終わった。

 聖歌隊へなのか到著した俺へなのか分からないが、盛大な拍手が場を包み込む。

 そっと右橫に差し出された盆の上には、ワイングラスが乗っており、俺はそれを手に取った。

 日本では、このような場には司會がいるのだろうが、如何せんここは異世界だ。

 司會の進行に従う貴族はおかしいなどと誰が言い出したのかは知らないが、どうやらそのような文化らしく、始まりの音頭は俺が俺のタイミングで取るらしい。

「今宵は、私の為にお集まり頂き謝申し上げる。どうか、楽しんで行ってください」

 俺がグラスを上へと上げると、それに続いて皆がグラスを掲げた。

 そうして、パーティーが始まった。

 今日のパーティーは陛下が來る事は基本的には伏せており、知っているのは俺が事前に部屋に出向いた者だけだ。

 特に隠すことに理由がある訳では無いのだが、皆も突然來た方が驚いてくれるだろう。

 正直言うと、このつまらないパーティーで俺が楽しみにしてるうちの一つである。

 そんなこともいざ知れず、形式的な挨拶が繰り広げられていた。

「アルト様、この度はお招き頂きありがとうございます。私は、デオポルド子爵に座います。以後、お見知りおきを」

 隣に妻を連れたデオポルド子爵は貴族派であり、あまり俺のことを良くは思っていないようだ。

 個人で軍隊にも勝る力を持ち、貴族派の3代頭であるチャン公爵をたった數日で滅ぼした相手が、國王に著くのが嫌なのだろう。

 ちなみに、隣の妻は後ろにいるネメスの顔を見て目をハートに変えているのが、骨に見て取れる。

 禿げていて型の子爵と比べれば、仕方が無いことだろう。

「子爵殿、これから宜しく頼む。貴殿の領地の絹はしいと聞く。いつか、そちらに出向いてもよいだろうか? 」

「えぇ、是非とも起こし下さい。その際は、街を上げて歓迎致します」

「そうか、それは嬉しいものだ」

「では、本日はこの辺りで」

 そう言って、頭を軽く下げ颯爽と立ち去っていった。

 このやり取りが何度も何度も続くのだ。挨拶をしてきた貴族の何かを話題にし、それをし褒める。そして、また行くねと伝える。

 陛下に覚えておけと渡されていた各貴族の領地の特産品一覧が、まさかこんな所で役に立つとは思わなかった。

 と言うより、陛下はこの為に覚えておけと言ったのだろうな。

 

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