《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》領地運営と戦爭準備㉑
「ガイア殿下、お誕生日おめでとうございます」
 パーティー會場に向かうと、まだ式典は始まっていないというのに早くに著いた貴族たちがガイアに群がっていた。
 その面々の殆どが國王反対派閥であることに、あからさまな世継ぎへのり寄りに思わず笑みを浮かべる。
 確かに、現狀8歳のガイアに付け込む隙があると見込むのも自然なことだし、良くしておいて悪い事じゃないと思うのも當然の事なんだけど、周りが思っている以上にガイアは頭が良い。
 普通8歳といえば、まだ字の読み書きが出來ないと言う子もなからずいるような年齢だ。國家の勢なんて知る余地もないと、そう考えるのが普通。でも、ガイアはよく知っている。生まれてからずっと陛下の傍に居て、良くも悪くも他人の顔を見てきた彼は、骨ななどけて見えるだろう。
 それにしても、ガイアの作り笑いと度々送ってくる助けを求める視線が何とも面白い。
 仕方が無い、助けに行ってやろう。
 俺はガイアの方へと足を進めた。
「ガイア殿下」
 貴族たちの列を通り過ぎ、ガイアの橫に付く。
「ああ、アルト殿。お久しぶりですね」
「ええ、お久しぶりです。殿下、陛下がお呼びです」
 俺がそう言うと、ようやく來たかと言わんばかりに椅子から立ち上がる。
「お父上が? なにか急用でしょうか……。すぐに向かいます」
 殿下――と、呼び止めるような聲がチラホラと聞こえる。
 ガイアは貴族たちに振り向いて笑顔で一言う。
「申し訳ございません。お父上に呼ばれましたので、し席を外します」
「あ、ええ。分かり、ました……」
 あからさまに殘念そうな顔をした1人の貴族がそう言うと、ガイアはすぐにその場から立ち去った。
 俺も、ガイアの後を追うようにその場をいた。
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