《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》領地運営と戦爭準備㉒
「アルト、し遅いよ」
 會場となっていた部屋からし離れた応接室にると、ガイアはし頬をふくらませながら言う。
「悪い、困っている姿が面白くてね」
 いたずらに笑ってみせると、さらに拗ねたようにそっぽを向く。まだい顔立ちの彼がそんな事をしても、怖いどころか尊いだけである。
「そんなに気を悪くしないでよ、ちょっとからかっただけでしょ」
「むーっ……。本當に大変なんだからね! 」
「ごめんごめん」
 俺は、ガイアの頭をでる。ガイアは俺の狀況を理解しており、俺の外見や境遇についても全て知っている。
 ガイアは頭がいい。と言うより、神年齢が高い。その理由は既に解明されており、高魔力質というものらしい。高い魔力と質を保持しているガイアは、その副作用か既に俺と同等の神年齢はあるとされている。
 この國の初代國王も同じ質だったとされており、この質はまだ王家の筋にしか現れていない。つまり、ガイアはこの國で2人目の高魔力質者だ。
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 そのため、俺の境遇も全て理解出來るし、こういったパーティーなども相応の対応ができる。
 この事は1部の高位貴族は知っており、そのせいか兄を飛ばして王位継承権が1番なのではないかと囁かれている。
 
「アルトは辺境の地にいるって聞いてたけど、こっち來れたんだ」
「うん、陛下に招集されてね。斷る事なんて出來ないから全て部下に任せてこっちに來たよ」
「なんか、ごめんね……」
「ガイアが謝ることじゃない。それに、陛下には恩があるから。あの方の言うことならば俺はなんでも聞くよ。そうそう、それでね」
 俺はアイテムボックスから1つの小さな小包を取り出す。
「ガイア、お誕生日おめでとう」
 その小包をガイアに手渡せば、嬉しそうに目を輝かせてそれをけ取った。
「アルト、開けていい? 」
「もちろん」
 リボンを解き、包裝を丁寧に開けると小さな箱が現れる。
 さらにその箱を開けると、中には細かく細工された腕がを見せた。
「これは、凄いね……。キレイ」
「まだ無名の細工師だよ。繊細な造形が素晴らしいんだ」
 もちろん、そこだけでは無い。中心に付けられた蒼の寶石。これは極希な魔石で、魔から取れるものではなく自然に生まれた王蒼魔石だ。蒼は現霊王――水の霊ポルセウス――の魔力を吸収して現れたであり、質でいえば龍の魔石に勝るとも劣らない一級品である。
 この魔石であれば、Zランクの魔法を刻んでも問題のない、勝ちで言えば白金貨數千枚はくだらない代だろう。
 そこに、俺が魔法を刻み込んだ為に価値はさらに跳ね上がるはずだ。
 刻んだ魔法は闇屬ASランク魔法''暗き浄化''、屬Zランク魔法''天使の護符''と屬Zランク魔法''生命の慈悲''を刻んである。暗き浄化は永続魔法であり、の毒を全て無効化するという効果を持ち、天使の護符と生命の慈悲は地名表となる攻撃をけた時に発し、絶対防の結界を周囲に展開し、その傷を癒す効果を持っている。
 ただし、それらは1度しか発しない。結界に関しては、1度の発で2時間は持つだろう。
 これは、大量の魔力を込めることが出來る魔石だからこそ実現した世界に一つだけとも言える國寶級の腕だ。
 それを寶石に見とれていたガイアに伝える。
 彼は目を丸くして驚き、恐る恐るその腕を箱に戻した。まるで平民が金貨1枚程する寶石を手に取った時のような反応が見られるとは思わず、腹がよじれるほど俺は笑った。
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