《貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します》領地運営と戦爭準備㉓

 ガイアの生誕パーティーは無事に終わり、ほかの貴族たちが王宮を後にした頃、俺も辺境領へと転移で戻った。

 魔の掃討はほとんど完了しており、俺の用意した兵士達だけではなく地元の冒険者や辺境領の私兵も手を貸していたのが理由だろう。

 「アルト殿、今回は貴殿に助けられたな」

「いえ、お気になさらず。困った時はお互い様ですので」

 差し出された手をなんとも言えない複雑な気持ちで握り返す。でも、それは顔には出さない。

 「さあ、今日は打ち上げと行こうではないか。とびきりの料理を用意させてもらった。アルト殿の兵士達も遠慮なく楽しんでくれ」

「お気遣い、心ります」

 元々貴族とは程遠い立場にいた兵士たちは、本來ならばありつけるはずのない貴族の高価な料理に心を躍らせているのか、後ろで魔力が荒ぶっているのがじられた。

 まあ、今回彼らはよく頑張ってくれたししは目を外してもいいと大目に見ようか。最悪、ネメスに闇馬――悪魔族の馬――と馬車を用意させて皆には乗って帰ってもらえば良いだろう。

 こうして辺境領での打ち上げは盛大に行われた。

 翌朝、二日酔いで頭痛を訴えるものが大量に現れたのは予想通りだ。

 悪魔界、暗闇に包まれが差し込むことは無いとされている漆黒の世界。ネメスはその場に居ない。

 悪魔界と人間界を繋ぐ世界の狹間に、1つの不穏な影が浮き上がる。黒く汚れた薄汚いローブをまとい、手には大玉の魔石を持っている。その魔石からは、悪魔界とは縁もない真反対の魔力――天使の力が込められている。

 悪魔は屬魔法への高い耐がある。火、水、土、闇、風。どれも弱點とはなり得ないが、唯一弱點となり得る屬だ。そして天使の魔力はのひとつ上の上位屬、聖屬である。つまり、悪魔に取っては弱點もいい所、初級魔法でもれただけで大きなダメージを被る最悪の屬だ。

 天使にも似たようなものがあり、悪魔が使用する暗黒屬は弱點となるのだ。

 このように、互いが互いを牽制する形で世界の均等を守っているのだ。

 そんな聖屬の魔力が込められた大きな魔石は、悪魔界に持ち込まれれば全悪魔の驚異となる。この魔石の中の魔力が霧散されて悪魔界に充満すれば、ネメスでさえ無事ではいられない。

 つまり、これは悪魔全員を脅かす殺人兵と同じなのだ。

 更に、悪魔界に侵できるのは悪魔だけ。天使ではそのが持たない。つまるところ、その魔石を持った者は悪魔――裏切りだ。

ネメスの知らぬところで、悪魔が誰も気づかないところで、悪魔界を脅かす驚異は刻一刻と迫っていた。

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