《異世界転生~神に気にられた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~》第二十三話 パララルカ王國殲滅戦~アルバ島からの逃亡~

No Side

「急げ!急いで逃げるのだ!」

宰相のメルヘムは怒聲を上げながら水兵を叱責する。彼らは今船の上におりしづつアルバ島から離れていた。水兵たちは口うるさいメルヘムに苛立ちつつも自分たちも死にたくないので特に反抗する事無く指示に従っていた。

とは言え彼らの表は暗い。祖國がまさに滅亡しようとしているのだから。王都は更地となり軍勢は全滅と言っていいほど壊滅した。東側の街や都市は日本帝國に降伏していた。西側の都市は國王が逃げ込んでいるため降伏する都市は無かったがそれも時間の問題であった。

故に、アルバ島の死守は不可能と判斷して國王以下宰相などの共についてきた貴族や政務はパララルカ王國がハンラット大陸に持つ領土に逃げていた。パララルカ王國が持つ大陸領土はアルバ島に最も近い位置にあるシアーリス半島のみであるが最盛期には半島を含んで大陸の4/1を支配するほどだったが今ではその面影すら殘っておらず文獻がひっそりと教える程度である。

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とは言えパララルカ王國はその半島に逃げる他に道はなかった。現在、ハンラット大陸は様々な國が存在するが大陸東部を勢力下におくガルムンド帝國の勢いがすさまじく周辺地域に侵略を繰り返していた。今のところパララルカ王國は不可侵條約を結んでいるが力を借りれるとは限らない上に場合によっては侵略される可能もあった。

「……我らは虎の尾どころか龍の逆鱗にれたのかもしれないな」

パルザ二世は遠ざかってゆくアルバ島を眺めながらそう呟く。王都から出していこうすっかり抜け殻のような狀態になった彼は宰相に全てを任してこうしてぼんやりとしている事が多くなった。

「陛下、やはり第一王子と第四王の姿はありません。アルバ島東部に逃げたか若しくは……」

「……そうか」

騎士の言葉に國王は一言だけ答える。國王の実子は五人いたが第二王子は國王の目の前で建の崩落に巻き込まれて死亡し、第三王子はアルバ島を出する別の船に乗船していた。パララルカ王國で力を持つ者全てを同じ船に乗せるのは危険という判斷からだ。

しかし、王太子でもある第一王子及び第四王は王都出の際にはぐれてから行方不明となっていた。國王は騎士に命じて探してはいたのだが時間の経過と共に諦めが強くなり今では死んでいると思っている程になっていた。故に、騎士の言葉に特に驚きも悲しみもわかずパルザ二世はただただアルバ島を眺めるのだった。

Ryouta Side

パララルカ王國を見事倒した博が戻ってきた。王都を更地にした件は海軍から聞いていたがその後の事は博から聞く事とした。

「閣下、我々は北上してきたパララルカ王國軍二萬をほぼ殲滅すると敵王都に到著しました。そのまま東西の分斷に功したわけですが東部は海軍の攻撃をけ王都に到著するとほぼ同時期に降伏の使者がやってきました。故に、我々は現在パララルカ王國の西部以外を全て手中に収めた形となっています」

程、これはすごい戦果だ」

確かに王都まで進行するように命令はしたがここまで早く完了するとは思ってもいなかったな。とは言えこれでアルバ島の統一ももうすぐ完了するだろう。西部の都市には使者を送り王族などを引き渡させる。そうすればパララルカ王國は滅亡し日本帝國がアルバ島の國家となる。

アルバ島という名前も変更した方が良いかもしれないな。”扶桑”とか”大和”とか良いかな?いや、丁度秋津洲って言うのもありかもしれない。秋津”洲しま”って言っているし丁度良いだろう。アルバ島を統一出來た際に名前を変更するか。

それよりも、今は……

「貴殿がパララルカ王國の將軍か」

「……」

俺の目の前にはゴテゴテとした軍服みたいなものを著た銀髪のが縛られた狀態で俺の前にいる。両手足はきつめに縛られている為立ち上がる事はできずうつ伏せに転がっている狀態だが彼の目には俺への反抗心が浮かんでおり瞳はぎらぎらと燃えるように熱く、俺をにらんでいる。もし、俺が転生前にあちらの世界で見たら恐怖で何も出來なくなっていたと思えるほどの視線だ。

「博、こいつの名前は?」

「生き殘りが彼しかいない為分かりません。投降した東部の都市に知っている者が居るか聞いてみますか?」

「彼がきちんと名乗ってくれればいいんだが、この様子だと無理そうだしな。寫真を撮って確認作業を行ってくれ」

「はっ!」

は途中、彼が率いていた二萬の軍勢を倒したそうだがその際に彼以外は全て皆殺しにしたらしい。そのせいで元が分からなくなってしまったが仕方ないだろう。

は適當に”瑞穂”とでも命名して牢に放り込んでおくか。ヤマトの郊外に簡易的な牢獄を作った。軽く百人は収容できる規模だが今のところ捕虜は彼しかいない為専用の牢獄になりそうだな。それはそれで居心地が悪そうだしもしかしたらこんなところにいたくないと報を吐き出すかもしれない。なんならこちらに寢返ってくれるのがいいな。人だし。

「だ・ん・な・さ・ま?」

「……何も考えてません」

いつの間にか俺の背後にいた輝夜に肩を摑まれる。萬力の如き握力で俺の肩に力を込めてくる輝夜に俺はそう返事する事しか出來なかった。一何で分かったんだ?俺ってそんなに分かりやすいのか?あ、輝夜さん?そろそろ手を放してくれませんかね?結構冗談抜きで痛いんですが。え?不埒な事を考えた罰だから甘んじてれろ?肩が壊れない程度に加減する?いや、でも凄く痛くて……あああああ!!!

俺はその日肩の激痛を耐えながら輝夜の気が済むまで彼の要を応える羽目になった。……二度と輝夜以外を人とか思ったりを盛ったりしないように気を付けようと誓った瞬間でもあった。

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