《俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。》第1章 2話 「異世界の諸事

ランダム選択をした瞬間景が段々と付き高校生ながらこれからの冒険にしワクワクしてしまった。

そして辿り著いたのは冒険者が集う始まりの地...ではなく薄暗い部屋の中だった。まるでどこかの古城。部屋の中を照らすは6本の蝋燭ろうそくしかなく、誰も居ない部屋は寂しい雰囲気を纏っている。

「なんだ...?ここ...」

どうやら華やかなキングサイズのベッドに寢転がっているらしい俺は上半を起こした。

ガタンッ正面の大きなドアが勢い良く開く。慌ててドアの方へ視線を向けるとそこには長が2mをも超えているであろう銀髪の大男や、その後ろにはメイド服を來た達が控えていた。

黒の紳士服を纏い如何にも執事らしい大男は俺に駆け寄り、メイド達もそれに続く。

「お目覚めでありますか。サタン様!」

「はっ?」

確かにステータスを開いてみると職業が【魔王】と示している。もしかしてサタンとは俺の事を指しているのだろうか。

というか【魔王】って何だよ。本來討伐すべき敵かたきの職業なんだが?まず【魔王】は職業なのかと頭を悩ませる。

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「お忘れになっているのも無理はありません。お務め苦労様でございます。おの方は問題ありませんでしょうか?」

「あ、ああ。大丈夫だよ。」

おおーっとメイド達は涙を浮かべ喜びの表を顔に示す。なんだこれ。

「治癒の副作用で記憶が曖昧で在りましょうから100年前の出來事から話させてもらいます。」

「100年前?」

「左様でございます。100年前、サタン様はある勇者との死闘で見事勝利を収めたのですが、その代償に負った傷は深く、とても生活するには厳しいおでした。そこでサタン様は100年間おをお休めになり今日お目覚めになられました。」

「何故100年なんですか?」

「それはこれから起きる第六次世界大戦に向けてでございます。そもそも人間と我々魔王軍は対立関係にあります。」

大男、もといルシフェルさんの話を要約するとこうだ。

生來、人間と魔王軍は爭う運命にあり、その戦いは今現在も続いているらしい。人間側は複數の國を點在させ均衡を保つ事をみ、魔側は自分達が世界を統治し、一つの國に纏めるという世界征服をむ。

その戦いは990年続いている。だが、魔は元々人間より屈強な力を生まれつき備えているので人間達の抵抗を押さえつけるのは最早時間の問題であった。

だが人間の中に極稀に能力を持ち、生を授かる者がいる。俗に言う勇者だ。歴代の勇者達が魔王を倒すまでとは行かなくとも、その効果は魔王軍に大ダメージを與え、惜しくも世界征服完遂に1歩屆かないという結果を産んだ。

勇者VS魔王軍の爭いに発展した場合に名付けられる『第〇次世界大戦』。問題はここからである。普通、冒険者が勇者になる覚醒率は極めて低くせいぜい10年間に1人か、もしくは多くても3人程度となっている。

これから起きると予測される、『第六次世界大戦』。しかし今回の覚醒した冒険者、つまり勇者の數は10000人を超える。魔王軍最大の危機に直面していた。

「現在も勇者は増え続けております。冒険者大量覚醒の原因は不明です。が、恐らく...百年前に姿を隠した【大司教】が何かしたのでしょう。」

ルシフェルは悔しいと言わんばかりに両手の握り拳を強く握り小刻みに震わせる。

レンジは冒険者大量覚醒の理由を知っている。勇者というのはきっと職業を【魔王】などとふざけた職業以外を選択したプレイヤー、通稱AESプレイヤー達である。

「幸い、勇者共はまだ練度が高くなくサタン様がご健存である今は脅威とはじませんが、何せ量が多く、共の數が數日前から大幅に減しているのです。」

とは、そこらへんにいるスライムやゴブリンなど、知や力の弱い魔のことらしい。とは、知を持ち、また數がないレアな魔。とは、現在はルシフェル以外は滅びているらしい。幹部レベルの魔で、中ボスの役割を果たす。

そしてその魔を束ねてるのが俺、【魔王】サタン様、らしい。まじか。

「なるほど、だいたい分かったよ。ありがとう。」

「ありがたき栄。サタン様に捧げたこの、生涯を貴殿の為に行使致します。」

そう言うとルシフェルとメイド達は跪き忠誠を誓った。

もう1度いう。なんだこれ。

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