《俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。》第2章 14話 「謝と出発」
レンジくんと出會って2日目。朝7時。
私はVRの世界で目を覚ました。ログアウトする前に寢てしまった様だ。最も私は現実の世界よりこっちの世界の方が好きなので極力此処ここに居るようにしている。
AES取締役の上地さんとは正式に契約を結んでいて、お給料もきちんとっている。但しそのお金は生活費として消えているけど。両親にこれ以上の負擔はかけさせたくないから自ら進んで提案したことだった。
私は山吹やまぶき理莉りり、16歳だけど高校には通っていない。そもそもまともに學校に行った事がなくてし抵抗があった。足も目も不自由なので基本、病院生活を送っている。
特に原因不明の足の持病が酷く、痛みが継続的に私を襲う。逃れる方法は麻酔を打つか、気休めに痛み止めを飲むか、もしくは電脳世界に飛び込むことである。
麻酔も痛み止めも大量に摂取出來るためではないため、ダイブマシンの存在は私にとって大きいものだった。
それを一応、職業という形に出來たのだから現狀に対して今、文句は何一つ無い。
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「リリス、おはよう」
「あ!レンジくん!お早う!」
私がリリス役になったのは上地さんの采配なのでレンジ君とは偶然というカタチではあるけど、出會えて本當に良かった。
年齢は..同い年くらいなのかな?まあ私はAIっていう設定だし、そもそもリアルの事を尋ねるのはご法度だから聞けないけどね。
「今日から早速【大司教】を探して行こう」
「分かりました。まずは報収集ですよね!」
「そうだよ。じゃあ出発しようか」
ああ。今凄く楽しいよ、私。
ーーーーーーーーー
「相変わらず笑われてるな、俺」
「よっぽど【道化師クラウン】は不遇職なのでしょうか?」
「そうなんだろうな。前の戦闘でも散々だったし、未だに【道化師】は見たことがない」
普段より聲のトーンがし低い俺の頭をリリスはめるようにポンポンとでた。
「大丈夫です。何だか私にも視線をじるんですよね。もしかしたら【遊詩人バード】も不遇職なんでしょうか?」
「いいや、【遊詩人】はむしろ重寶されると思うぞ。ただ視線集めてるのはそれだけが問題じゃないんだよな...」
通りすがりの奴らが嫉妬心混じりの罵聲を小聲で囁くのを俺はもう何回も聞いてるんだよ。
「え??」
リリスは隣に歩く俺の顔を覗き込むように軽く首をかしげて髪を揺らした。クソ可い。
「何でもねーよ」 
「えー!何ですかぁ!!教えて下さいよ〜」
「いいから、早く行くぞ」
俺はし足早に歩くとリリスはぱたぱたと後ろを著いてきた。
現在トッププレイヤー達はを二日前に旅立ち、昨日の晝には最寄りであるに到著していたらしい。
の中に居るNPC達や、そこらに居るプレイヤーに聞いて回ったが、それ程有力な報は特に得られなかった。その為に行くことを一先ひとまずの目標と定めることにしたのだ。
最寄りの町と言っても割と距離があって、魔の數もそれなりに多いらしい。準備をきちんと整えてから大人數のパーティなどで向かうのが安全らしいが俺達は急を要する。
を出た草原を歩きながら俺はリリスに話を切り出した。
「急いでいるとはいってもさ、流石にしくらいメンバーを増やした方が効率は良いよな」
「えー...。んー。まあそうですけど」
「なんで乗り気じゃないんだよ」
「んー。二人だけがいいというか?」
えへへと笑う彼の笑みは正に殺戮兵である。俺はしニヤけそうな顔を引き締めて答える。
「ばーか、そんな話じゃねーよ」
「分かってますよ〜。でもメンバーって言ってもめぼしい人なんて居ますかね?」
「ま、居ないけどさ」
「ミツカレバイイデスヨネ」
リリスさん?棒読みなんですけど?
たまに出てくる雑魚を適當に倒し草原地帯を抜けた俺達は、魔を大量に放ったあの森に再び足を踏みれた。
「森の中は人が減りますね〜」
「魔のレベルもし上がるし、死角が多いから先制を食らうんだよな。朝とか晝間でもし暗いってのもあるかも」
「ここらはレンジくんが召喚した魔が多いから襲って來ない可能が高いですよね」
「俺たちにとっちゃ結構楽だな」
そんな他ない話をしながら森をぐんぐん歩き進め、森を抜けるまで殘り半分の地點に辿り著いた。
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