《すばらしき竜生!》第4話 襲撃

――拝啓 前世のお父さん、お母さん。お元気ですか? 私は新しい世界で元気に過ごしています。 前世ではを庇って死にました。未練はしありますが、新しい人生……いや、竜生でやれなかった事をやっていきたいと思います。 新しい父さんや母さんも出來て二人(?)共面白くて優しいです。前世のお二人とは家出という最悪な終わりになってしまったので、次はそのような事にならないようにしたいです。 今は父さんと一緒に遊んでいます。今日は――滝行をして遊んでいます。

「アハハハハハッ、ざまぁないな父さん。真冬の滝行はいかがですかぁ? アハハハハハッ!」「あばばばばば、ろ、ロードざん……いや、ロード様ぁ!? ぞ、ぞぞぞぞそろそろ終わりにじでもよろしいでずが!?」「あと一分〜、ほれ頑張れ〜」

――このように毎日が楽しく充実しています。お二人も心配しないでください。

「あ~、楽しかった。勝者の気分ってやっぱり気持ちいいから最高だなぁ」「…………………………ソウデスネ」

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バルトが勝負の後、ずっと気絶したままで暇になったロードは滝が流れてる巖にバルトを放り投げて"拘束"を使い、強制目覚まし&強制滝行をやらせていた。 覚えたての"拘束"くらいならバルトも解除出來たのだが、水が冷たすぎて上手く力をれる事が出來なくなっていた。

「うぅ……ネイル、どうやら俺達の子供は悪魔だったらしい」

心とのダメージが大きかったバルトは川辺の端っこで三角座りをしてどんよりしている。……バルトの周囲に悲しみの黒いオーラが見えるのは気のせいだろう。

「ひっでぇ言われようだな、それが息子に対する親の言葉かよ」「うるせぇよ、ど畜生。思い切り地面と強制キスさせた挙句、気絶して無防備な俺を滝壺に叩き落した鬼畜を悪魔と言わず何と言う」「安心しろ父さん"記録"も撮ってあるから、後で母さんと一緒に観よう」「悪魔じゃ足りねぇのかお前はよぉ!?」

靜かな川辺にバルトの絶が響きわたった。

◆◇◆

バルトのダメージ(々な意味で)が回復してからロード達は人型狀態で走りながら家まで帰っている途中だ。 二人にとっては普通に走っているつもりだが、他の生きにとっては高速で黒い風が通り抜けたとしか思えない速度で走っている。 最初に走った時はロードも走る速度に驚いていたが今になっては既にこの速度が普通になってしまい、會話をする事も出來るようになっていた。

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「にしても人型とはいえ、息子に負ける日が來るとはなぁ。強くなったなロードは」「毎日森にって魔狩りしてたからな、次の目標は竜狀態で勝つことだな」「俺も呑気に余裕ぶってることが出來ないな……ん? 煙? あの方角は……」

バルトが遠くを見て何かに注目していたのでロードもつられて煙の方角を見る。

「って、俺達の家付近じゃねぇか! 父さん急ごう!」「――ッ!? ネイル! ロードはゆっくり走ってこい、先に行ってる!」「あ……ちょ、まっ!」

バルトはそう言い殘し、今までとは比べにならない速度で走って行ってしまう。 必死な表を見る限りバルトは相當焦っていたのだろう。"飛爪"で目の前の障害全てを細切れにして一本道を作っていった。

「………うわぁ。巖も切ったぞ」

ロードも結構急いでいたが、苦も無く獣道を作るバルトにロードも若干引いてしまう。

◆◇◆

ロードが自分達の集落に著いたのはそれから一分後の事だった。

「…………ひでぇ」

集落は焼け爛れていて、見るも無殘な景が広がっていた。 地面には人と思われる死が無數に転がっている。首が無い者や上半が引き千切られている者など生存者が居るのかと疑問に思う場面だった。 所々に他の黒竜種の死があり、ほとんどが真っ二つに斬られていた。

「綺麗な切り口だな、これをやった奴は相當腕があるみたいだ」

ロードは死んだ黒竜達に靜かに黙禱してから生存者を探す。"気配探知"で周囲に意識を張り巡らせていると、微力だが生の反応を見つけた。ロードは急いでその場に駆け寄る。

『………誰かそこに居るのか? 誰でもいい……ここから出してくれ』『そこに居るのか!? 待ってろ、すぐに助ける!』

ロードは微かに聞こえた聲を頼りに念話で呼びかけながら瓦礫を退かしていく。やがて襲撃をけた黒竜の生き殘りの後ろ足が見えたので全力で引っこ抜く。 だがロードは疑問に思う。今のロードは人型の狀態であり、いくら能力が高くても一人で黒竜をかすことは到底出來ない。 その疑問の答えはすぐに分かることになった。その黒竜は前足が綺麗に切斷されており、目も潰されていた。出も酷く、呼吸も淺かった。誰の目から見ても助からないと思う狀態だ。

『クソ、誰がこんな事を』『あぁ……ロードだったのか。……ロードよく聞け、ここで何があったのかを―――』

竜族の鱗、皮、爪などの全ての素材に濃い魔力が含まれており、昔から武や防の素材として重寶している。そのせいで各地で竜狩りが起きていた。

だが七天竜が住んでいる集落を襲う命知らずは、今まで一人もいなかった。もしいたとしても七天竜直屬の配下と言ってもいい竜達に返り討ちにされるだけだ。

しかし、今日の討伐隊の中に一際強力な人間がいたそうだ。"奴"は竜を次々と殺していき、絶だと思われた時にバルトが來たと言う。 バルトは大量の人間を即座に殺すと、すぐさま"奴"と対峙した。バルトはネイルと共に"奴"を導して去って行ったらしい。

『ロード、バルトからの伝言だ……『俺はしの間、ここには戻らない。お前は自分の道を行け』だとよ。 …………役目は果たしたぜ、バルト。……俺はもう妻の元へ逝っていいよな』

黒竜は後半の部分だけは空の彼方を見上げて酷く掠れた聲でそう言った。この黒竜はバルトの伝言を伝えるためにここまで意地で生きていたらしく、もう限界が近い。

『………あぁ、ありがとう』『………最後にロード、わがままを言うが、お前に頼みがある』「なんだ? 何でも言ってくれ」

ロードも命懸けで生きて自分に伝言を伝えてくれた黒竜に、最大限の謝を込めて最後の願いを葉えたいと思う。 そして黒竜はロードの言葉を聞くと、力無く微笑みながら最後の願いを口にした。

『――俺達を……食べろ・・・』

『……………ぇ?』

黒竜はロードの反応を予想していたのか『ハハッ』と小さな聲で笑う。 ロード自も頭が真っ白になり理解にしの時間が掛かった。それだけ予想外の願いを黒竜から言われたのだから。

『言っただろ? 竜のは濃い魔力が含まれている。そして、竜族は魔の魔力を食べて力を増す。 だから…せめて……ここで死んだ黒竜達を糧に、人間に負けないで強く……生きてくれ』……………あぁ分かった。お前達の分まで強くなって生きよう。それがお前の願いなんだからな』

ロードはこの時、この黒竜以外に生存者がいない事を有りがたく思った。誰にも今のロードの顔を見られたくなかった。

『………泣いてくれているのか?』『ちく……しょう、分かっちまうか』『そりぁ……分かるだろ。雨も……降ってねぇのに、水が垂れてくる』『……ダメだな。平和な生活のせいで涙脆くなっちまった』「……ありが…う。思って……くれるだけ…で、俺はまん……ぞ……」

満足そうに微笑んだまま目をゆっくり閉じて黒竜はかなくなる。ロードは一人寂しく涙が枯れるまで泣いていた。

◆◇◆

――ロードが泣き続けて二分後。

「……そうだな……お前との約束を果たそう」

ロードは"人化"を解いて竜形態に戻る。

『俺の事を思ってくれた、名も知らないお前と最後まで戦ってくれたみんなに謝を………そして、いただきます』

死んだ黒竜達に謝をしながら、數の黒竜をロードはゆっくりと食べる。食事が終わり、ロードの力は元の二倍に膨れ上がるのをじた。

『もっと強くならないと……せめて本気のバルトに勝てるくらいには』

――ドクンッ!

『――うっ!?』

ロードは突然の激しい心臓の鼓と激痛に制を崩した。

『力の増加にが追いついていないのか?』

元々あった力の二倍になったのだ。が追いつかないのも當然の事だろう。

『とりあえず、どこかで休むか』

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