《すばらしき竜生!》第10話 一時の夢

「クロトさんって、不良の頭ヘッドってじ無いですよね」「なんだいきなり。そんな事言うんなら、下克上でも考えるか?」

その日、クロト達はコンビニの端っこで意味も無く時間を潰していた。ふとした時に舎弟の一人がクロトに向かって言ってきたのだ。

「いやいや、クロトさんには全てにおいて勝てませんよ。頭ヘッドらしく無いって言ったのは、舎弟を一番大事に考えてくれてるなぁって意味です」「は?」「それはお前、クロトさんは優しいからな。當たり前だろ」「あ?」「確かに、その點で言うと頭ヘッドらしくないなクロトさんは」「ん?」

その舎弟の一人が考えを言うと他の舎弟達も次々とクロトを褒めてきた。クロトとしては舎弟に囲まれて、更に次々と褒められるのだから恥心が限界だ。

し前に、クロトさんにおつかいを頼まれたんだよ。そこまでなら良いんだけど、多めに金をくれて「殘った金でお前の好きな買って良いぞ」って言ってくれたんだよ。 普通は舎弟の金で買わせるのに金を渡してくれた挙句、好きなの買って良いとか、格が違うなと思ったぜ」「ゲーセン行ったらさ、必ずクレーンゲームで好きな聞いて取ってくれるよな。しかも、必ず三回以で取ってくれるから、あの時は格も違うし、神業過ぎるだろって思ったな」「俺だってあの時は――――」

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クロトは耳を真っ赤にして三角座りで下を向いていた。いきなり、自分に対する褒め言葉が飛びってくるのだ、があったらりたい気持ちだった。実際にコンクリートって頑張れば空かねぇかなぁ、と思い始めている。

「お前ら、俺を褒め殺しにする計畫だろ! あ~、ちくしょう! 金やるからコンビニで何か買ってこい、だから褒めるの止めろ!」

クロトがそう言い全員分の菓子を買う兼ねを渡したら、舎弟達は笑いながらコンビニの中に消えて行った。 數分後、大量の菓子を買ってきた舎弟達が、クロトにプレゼントと言って菓子を渡してクロトの顔が更に赤くなる事件が発生した。

「ちょっと、ロード!」

突然、橫からの聲が聞こえてきた。 名前が違うのに何故か呼ばれた気がするクロトがそこに視線を向けると、白髪と八重歯が特徴のが立っていた。

「ほら、早く起きなさいよ!」

何を言っているんだお前は、と言いたかったクロトだがなぜか聲が出ない。

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「ぐぬぬぬ、起きないというのなら………大人のグーじゃい!」

が突然毆りかかってきたが、きは遅くクロトなら難なく避けられる程度だった。 だがが思う様にかず、クロトは拳を直に食らってしまう。

別に痛くは無かったのだが、クロトの視界が突然歪み始めた。楽しく話していた舎弟達もいつの間にか消えており、視界も暗くなり始める。

(あぁ、やっぱり夢だったか)

消えゆく意識の中で、ロードは戻ったらシエラに仕返しをしてやろうと思った。

◆◇◆

「……………」

前世の夢を見たのは久しぶりだ。最初に見たのは五歳くらいの時でそれ以降は一切見ていなかった。

(それにしても懐かしい思い出だ)

「あ、やっと起きたわね。約束の時間だから起こしてあげたわよ、謝しなさい」

ロードがベッドから起き上がるとそんな聲が聞こえてくる。橫を見ると褒めろと言わんばかりに、両手を広げているシエラが視界にったので華麗にスルーした。

「……朝飯は?」「……スルーですか。まぁいいわ、料理は今持ってくるからし待ってて。時間が掛かるから、その間にお風呂でも軽くって來なさい。あんた昨日らずに寢ちゃったでしょ?」

シエラはそう言い食堂に走っていった。 ご丁寧にタオルが風呂の前に置いてあってロードはしだけ心していた。

(あいつ意外と気配り出來るんだな)

その後、風呂を出たロードはシエラが持ってきた朝食を一緒に食べた。 今日は村長にオークについての説明を聞きに行く予定なので、宿のおばさんにお禮を言って宿を出て、村長の家に向かう。

「お2人共おはようございます。さ、どうぞおり下さい」

村長の家の前まで來て扉をノックすると、村長自が出てきてロード達は促されるまま椅子に座って説明を聞く。

「―――――と、この様になります。他に質問はありますか?」

説明で聞かされたのはオークが拠點としている場所とオークの弱點だ。 別に全部一撃で倒す予定なので弱點とか聞いても意味が無い。 オークの拠點しか興味が無かったロードは、後半部分は聞き流ししていたので何も頭にってこなかった。シエラは何かを考えている様子だった。真面目に変異種ユニークの対処法でも考えているのだろう。

「いや大丈夫だ。そうだな……今日の夜には帰ってこれるかな」「今夜ですか!? 先程も説明した通り、急いで向かっても著くのは夜になります。今夜に帰ってくるなんて不可能です!」「は? それはお前らが急いで向かった場合だろ? 俺達とお前らの移速度を一緒にするなよ」「う……わかりました。それではお待ちしております」

それを言われては村長は何も言う事ができなくなる。村長もロードが冗談で言っているわけでは無いと理解したのか、靜かになってそれ以上は何も言わなくなる。

「目標は子供たち6人の救出、既に死んでいたらの回収、オーク共の殲滅は狀況によって、これでいいんだな?」「……はい。よろしくお願いいたします」「じゃあ行ってくる。おい、行くぞ」「え? あ、ちょっと待って」

ロードは村長の家を出るがシエラに外で止められる。

「ちょっと待ちなさいよ。流石に私でも今夜に帰ってくるのは無理があると思うわ。最速でも明日になるわよ」「お前もそれ言うか? お前は俺の正分かってるじゃねぇか」「………あ、まさか」

シエラはようやく気がついたようだ。そして、嫌な予がしたようで顔を青ざめる。………まぁ、シエラの予は正解である。 そろ〜りと逃げようとするシエラの襟首を捕まえて、村からしだけ遠ざかる。

「まぁ逃げんなって。黒竜に乗れるなんて滅多に無いんだから」「イヤァアアア!? 放してくださいお願いしますぅうう!」

ロードは朝に毆って起こされた仕返しにと思い、未だに暴れているシエラの襟首を摑みながら"人化"を解く。すると、2人の周りに黒い霧が発生し、渦が出來始める。渦が消えた時には1の黒竜が姿を現した。

「―――えっ、あ………は?」『しっかり摑まってろよ』

ロードの背中にシエラを乗せ、腳に力をれて急加速する。今頃シエラには凄まじい重力の負擔が掛かっていることだろう。

「――ィイヤァアアアアアア!!」

シエラの絶が広い草原に鳴り響いた。

◆◇◆

「オークの拠點はあそこか。ちっ、見張りが邪魔だな」「…………ぜぇ……ぜぇ、おえっ」

走っている時にロードの"気配探知"に沢山の反応が出てきたので人型になり、拠點らしき辺りまで歩いて來ていた。 ロードは、早くオーク達を食べてみたいという気持ちからし張り切って走ったので、村から二分しか経ってない。

「探知にオークより弱い反応がある、あれが子供たちと考えていいな」

ロードは半徑二km先まで生きの気配を探れるようになっていた。今は更に"気配探知"を絞って細かく気配を探っている。その中でも、一際大きな反応の近くに小さな反応が6つ。 攫われた子供たちの數と一致している。

「………で、どうするか。正面突破でいいよな? 異論はあるか?」「……………うっぷ」「おい、しっかりしてくれよ。俺がリーダー格と雑魚を相手している間に、お前が子供たちを救出する作戦なんだからな」「………誰のせいよ」「いや、俺が張り切ったのは認めるが。お前なら大丈夫だと思ったんだよ」「あんたの想像と現実を一緒にするな! なんでたったの二分で來れるのよ、死ぬかと思ったわ!」「ちょ、聲デカイから! 靜かにしろ馬鹿!」

「ナンダ、誰ダ!? ………気ノセイカ?」

見張りのオークがロード達に気づきそうになるが、勘違いだと思ったらしく警戒をしだけ高めたようだ。

「あぶねぇだろ、バレたらどうする」「………さーせんした」「軽口叩けるってことはしは大丈夫みたいだな、そろそろ作戦開始するぞ」「分かった。子供たちは任せて」「ん、よろしい」

―――ロード達はようやくき出す。

「オイ、ソロソロ代ダ」「ワカッタ、今日ハ嫌ナ予ガスル。気ヲツケロ」「ワカッタ、オ前ハ、ユックリ休メ」

簡単な會話をして見張りのオークが代をしようとした時、その予は的中してしまう。

「へぇ~、嫌な予か……それは怖いな」

「誰ダ―――ガッ!」「オ前―――グァ!」

悪魔の聲が聞こえた瞬間、オークの頭はからおさらばしていた。 首からが綺麗な放線を描き、赤い雨を振らせる。

「えげつないわねぇ」「ほとんど痛みを與えずに殺してあげたんだ、優しいだろ?」「……ソウッスネ」

そう言いながら両手に持ったオークの頭を握力だけで潰す。オークの頭だった片が周囲に飛び散り悪臭を漂わせるが、ロードは何一つとして気にしていない。

「――躙の始まりだ」

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