《すばらしき竜生!》第15話 歓迎會

「ロード様、シエラ様。この度は子供達の救出、並びにオークの殲滅、ありがとうございます。 お禮と言ってはなんですか、明日の晩に歓迎會を致します。どうぞご參加ください」

子供たちを村人に引き渡してから、ロード達は1度宿に帰ってのんびりしている時に、村人がやって來てそう言い殘していった。 その村人は、ロードを見る時は見るからに恐れている顔で、シエラを見る時は神を見ている様な顔で話していた。 ロードは村長が何か言ったのだろうと思い、村人が去ってから深いため息をついた。

「ププッ、凄い恐れられてるじゃないの」「うるせぇ………ったく、村の救世主だって言うのに仕打ちが酷いぜ」

どっかりとソファ(帰ってきたら部屋に設置されてた)に座り込みながら悪態をついているロードの隣にシエラも座る。 ソファは三人は座れるくらいの大きいなので狹くはないのだが、二人の距離が何故か近かった。

「……………」「………え〜と……シエラ?」「…………………(プイッ)」

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名前を呼ぶと、頬を膨らましてそっぽを向いてしまう。

「……………俺が何かしたか?」「…………う……」「あ? なんだって?」「稱で呼んでくれなきゃ、やだ……」

シエラは顔を真っ赤にしてそんな事を言う。 當然ロードはパニックになる。

(は? まてまて、どうしてそうなった。いや、どうしてこうなった! 頬を膨らまして真っ赤になって可い………じゃなくて! というか誰だコイツは!? 俺の知ってるシエラはこんなに可くないぞ!)

目の前の本人が聞いたら激怒しそうな事をロードは心で呟きながら、ロードの驚異的な記憶力で過去を振り返る。……が、何も分からない。それほどにロードはパニックになっていた。

(よし、これはシエラのいたずらだな? オークの拠點に向かう時の事を怒って、からかっているのか、そうに違いない。それなら心を見てやる、どんな事を思っていやがるコイツは)

これはシエラの罠だと思い"竜眼"の新しく発覚した能力の"心読"で心を盜み見する。

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(…………………………………)(黙ってんじゃねぇー!! ………いや、よく考えろ……シエラをただ稱で呼ぶだけだ。これから仲間として行するんだから稱で呼んだほうが呼びやすい………そう、それだけだ。深い意味は無いよな………大丈夫だ。俺は間違っていない)

「―――シエル」「ん? なぁにロード?」

初めて稱で呼ぶと、萬編の笑みで返事を返してくれた。ロードはとても恥ずかしくなるが、赤面だけは堪える。

(よし、いつも通りだ! ん? いつも通りなのか? まぁいいか)

「距離が近いからし離れてくれ」「やだ」「即答かよ……」

こうなっては頑固なシエルがどくわけないので、ロードは再びため息を吐いてこのまま話を続ける。

「で、この後の予定なんだが」「ロードに付いて行くわ」「あ、そうですか」

そこで、シエルはふと思いついた様に顔をこちらに向けてきた。 そして、その顔はとても真剣だった。

「……私が稱で呼ばれてるんだから、私もロードを稱で呼びたい!」「何を言ってるんだお前は」「真剣と書いて真剣マジよ」

何を言われるんだと構えていたロードは、どうでもいい事にジト目になりながら呆れてシエルを見る。

「殘念だったな、俺に稱はないんだ。ロードで我慢しやがれ」「うぅ………分かったわよ……」

シエルは渋々納得してくれた。 ロードはシエルの事を、一時期は誰だコイツと思っていたがいつも通り馬鹿でし安心をしていた。

「じゃあ今後の予定を話すぞ。 數日はこの村に留まる。村長が地図を描くのを待つためだ。雑で良いって言ったんだが、誇りにかけてでも丁寧に描くって、言われからどうせ暇だし待つ事にする」「分かったわ、明日の歓迎會は行くの?」「正直面倒だが、ここに居るのに行かないのもどうかと思うから行くぞ。……面倒だが」「そんなに嫌なの?」「あぁ、絶対につまらない事になる。俺の勘がそう言っている」「………ふ〜ん」

シエルが胡散臭そうに見つめるが、それ以上は何も言うまいと決めたらしくベッドに橫になる。 ロードも多は疲れているので別のベッドに橫になり、シエルがってこない事に安堵する。

「おやすみ、ロード」「あぁ、おやすみ」

◆◇◆

翌日、歓迎會の會場はロード達が泊まってる宿だったので部屋で時間まで休み、昨日來た村人が呼びに來てくれた。 料理等は、金は本當に大丈夫なのかと思うほど豪華で沢山あった。シエルが心配して聞いてみたら、子供の親達が多めに金を出してとても豪華になったようだ。

「これより、村を救ってくれたロード様とシエラ様の歓迎會を行う。皆も々と聞きたいことがあるだろうが、失禮の無いように。それでは乾杯!」

村長が司會を務めて、歓迎會は始まった。そして、昨夜に話したロードの勘は見事に的中する事になる。

最初は子供の親達が挨拶に來たので、二人は簡単に挨拶した。その後は食ったり話したりと自由時間になっている。

「シエラちゃん。そんなに若いのに凄い強いのねぇ」「いえいえ、そんな事無いですよ。私なんてロードに比べると弱い部類にりますよ」「そんな謙遜しちゃって、それに凄く可いし………羨ましいわぁ」「そんな、おば様方も十分お綺麗ですよ?」「あらやだ、褒めても料理しか出ないわよ」

この様に、シエルと村のおばさん達は他無い話で盛り上がっている。その傍らで男達がシエルを見ながら、何やら話し合ってじゃんけんをしている。

この様にシエルの周りには村人が集まって、おばさん達みたいな話をしたり、旅の話を聞いたりしている。 その逆でロードの周りには人っ子一人としていない。何度かチラチラと視線をじるのだが、村人はロードの異質な雰囲気のせいで話しかけづらそうだった。

「ロード様……」

聲がしたので振り返ると、村長がビール片手に歩いてくるのが分かる。

「様は付けなくていいよ。かたっ苦しいのは嫌いなんだ」「分かりました。………すいませんロードさん。村の皆もロードさんには謝してるのですが―――」「そんな事気にしないでくれ、俺もこうなる予想はしてたから」「そうですか。では、せめてこの村の歓迎會をお楽しみください」「あぁ、ありが――」

「「「「シエラさん!!」」」」

「ん、なんだ?」

男達の聲だったので、先程じゃんけんしていた奴等だろうと思い、シエルの方を向くと案の定男達がシエルを囲んでいた。 囲まれている本人は驚いて目を見開いている。ロードに視線で助けを求めるが、ロードは大どうなるか予想が付いているので、傍観の構えを取っている。シエルは恨めしい視線をロードに向けながら、男達が何をするのか分かっていないので軽く構えた。

「シ、シエラさんのタタ、タイプの男ってどんなじですか!?」「ふぇっ? え、えーと、強い人で私を守ってくれる人かなぁ」

シエルがチラチラとこちらを見てくるが、ロードは助けての合図だと思って無視をする。シエルの視線が更に兇悪になったが、ロードにとっては貓の威嚇にしかじない。 男達は、そんな二人のやり取りに気づかないで若干興した様子で話し合っている。

「この中で一番強いのは……アラン頑張れ!」「おう!」

アランと呼ばれた男は一歩前に出てシエルの目の前に立つ。

「シエラさん! 俺と付き合ってください!」「無理です」

綺麗な九十度のお辭儀をしたアランは見事に玉砕した。 ロードはそうなると予想していたので、皿に料理を盛り付けて待機していた。そして予想通り玉砕したので飯うま狀態であった。

「どうしたらオーケー貰えますか!?」

アランはまだ食い下がるようで、更に一歩踏み込んでシエルは一歩下がる。他の男達が暴走しそうなアランを數人掛かりで止めている。

「あ、じゃあ、あそこに居るロードに勝ったら考えてあげる」「「「「「え?」」」」」「あぁん!? ――ってめ、シエル。なんで俺が―――」「うぉおおおお! やってやるぞぉ! 見ててくれお前ら!」「「「「……お、おう」」」」

ロードが反論しようにもアランのび聲にかき消される。アランは気合でいけると思っているのかやる気まんまんだった。他の男達は無理だろと思っているようだが、まったくその通りだ。

(あんの野郎。俺が無視するからって強引に巻き込みやがったな! うっわあの顔、やってやったぜ! って絶対に思っているだろ!)

「ロードさん、申し訳ない。村の馬鹿が騒いでしまって」「いや……いいんだ。村長は何も悪くない。悪いのはシエルだ」「は、はあ」

村長が謝ってくるが、本當に村長は悪くないのだ。その間にアランがロードの目の前まで迫ってきてた。

「ロードさん! 俺と決闘してください!」「やだよ」「なんでですか!」「俺が勝った時のメリットが無い」「う……シ、シエラさんの好度が上がります」「いらね」

―――ドパァン!

即答したロードの眉間を狙って、人混みの間を撃が飛んでくる。ロードは瞬時に額に"化"をして防ぐ。 シエルの早撃ちは近くに居る男達でさえ視認できずに、シエルとロードを見比べている。

「いきなり何する」「いきなり何する……じゃないわよ! なんで即答なのよ、ありがたく挑戦をけなさいよアホ!」「え? だって本當にいらな―――」

――ドパァン!

再びシエルの撃が放たれるが、防ぐのも面倒になったロードは魔弾を手で摑み取る。これをさも當然にやってのけたロードに周囲の村人は唖然としている。

「………ったく。で、まだやろうってか?」「……あ、あぁ! 男に二言は無い!」「………へぇ? これを見てもまだやる気あるのか。………おもしれぇ」

「――遊んでやるよ」

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