《すばらしき竜生!》第19話 強襲

『ロード君、これを持って行きなさい』

そう言われて渡されたのは、高価そうな裝飾が施されている指だった。埋め込まれている寶石をよく見ると、寶石の中でスパークが起きていた。いかにも凄そうな代だった。

「これは?」『この指は、雷竜種に伝わる寶の一種だ。もし、君に命の危険が迫った時に力を貸してくれるだろう。護用だと思って、大事ににつけてくれるとありがたい』「そんな凄いを貰って良いのか?」『俺達より強いと分かってても君はまだ子供だ、大人は子供の安全を常に願っていなきゃね』

ありがたく貰う事にして指を嵌める。サイズが合わなかったのだが、指に通すとサイズが変わってピッタリ嵌ってくれた。

『それは、命の危険が迫った時だけではなく、魔力を通すと雷竜の加護を一時的に引き出す事ができる』「凄えな。"竜眼"でも【神話級ゴッズ】って鑑定で出てるぞ。………ん? 級って何だ?」

ロードのふとした一言で、その場にいた全ての竜が直する。

「――え? これってそんなにヤバいだった? やっぱり返した方が良いか?」『いや、それが【神話級ゴッズ】なのは知っていたが、ロード君……君は"竜眼"の持ち主だったのか!?』「あ、そっちかよ。確かに持ってるぜ」『ど、どうやってそれを!? それは竜神様が持っていた能力の一つだぞ!』

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ラゴウ父の反応を見て、ヤバい事を言ってしまったと気づいてもすでに遅い。そして隠し事は無理だと思い正直に話すことにした。

「んー、神様に貰った」『なんと………確かに、その指は大事持っていてくれ。必ず君の……いや、貴君のみを葉えるだろう。そして、これは伝達の竜が他の"七天竜"から預かったも渡そう』

"竜眼"の事はなんとか納得したようだ。 そして預かったを出してくれた。それは、雷竜の指と同じようなでどれも見事な裝飾だった。ちなみに全て【神話級ゴッズ】だった。

炎竜からは赤の寶石がったピアス。 風竜からは緑の寶石がったネックレス。 水竜からは青の寶石がったブレスレット。 土竜からは灰の寶石がったブレスレット。 雷竜からは黃の寶石がった指。 白竜からは白の寶石がった指

ロードは早速著けてみた。ブレスレットは左右に、指は人差し指と中指に付けた。どれも見事な裝飾だが、悪目立ちしない気品があった。そして、付けているだけでの底から力が湧き出る覚があった。 試しに竜型に戻ってみると、アクセサリーは消えたが付けている覚はあった。

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『効果は雷竜の指と同じだ。魔力を通せば加護を與えられ、命の危険には必ず本來の力を貸してくれるだろう』「そういえば黒竜のやつはどんなのなんだ?」『確か……バルトは髪飾りと言っていた気がするな。一度戻って探してみれば良い、君の家の隠し扉があると思うから、そこを探せば見つかるだろ』「分かった、ありがとう。それじゃあ俺は行くよ、もし父さんの目撃報があったら竜王國に居るから知らせてくれ」『ほう………竜王國に行くのか、あそこなら安全だろうが気をつけてな』『ロード! 途中でくたばるんじゃねぇぞ!』「おう! 分かってるよ! ………じゃあな」

別れの挨拶をしてロードは飛び立った、ここでのやりたい事はやったので、ロードは一度黒竜の集落に戻り、アクセサリーを見つける事にする。

『…………行ったか、それにしても"竜眼"の持ち主がロード君だとは。ラゴウ、今のうちに力をつけておけ、いつかロード君を助けられるくらいにな』『言われなくても分かってらぁ………よっしゃ! 早速特訓始めるか!』

『………汝に竜神の加護があらんことを』

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ラゴウ父は、ロードが消え去った空を見つめながらポツリと祈りを捧げて屋敷に戻った。

◆◇◆

それはいつも通り稽古をしている時に起こった。

「―――た、大変だ! 帝國の大軍が近くまで來てやがる!」

その言葉で、一瞬にして村は騒然となった。男達は各々の武を持って、達は子供を家に避難させて扉を固く閉めた。 帝國軍は過激な事で有名だ。そのくせ力があるので逆らえずに村を潰されるなど、珍しい話ではない。

「シエラさん! 貴も何処かの家に隠れてください!」「え、でも………」「貴は大切な客人です! 何がなんでも私達がお守りします、さぁ早く!」「シエラお姉ちゃん、こっち!」

の聲が聞こえる、その聲は必死だった。

「………わかったわ。貴方達も無事で」「ははっ! そんな事言われたら死ねないですね!」

―――數分後 帝國軍は馬に乗り、およそ三千人で來た。それは一つの軍隊レベルであり、男達は人數の多さに若干たじろいでいた。だが、それにじずに村長がいつも通りの態度で1歩前に出る。

「これはこれは帝國軍の皆様。この様な貧相な村に何かご用ですかな?」「貴様が村長か? 今日ここに來た理由は、し前に我らの拠點から逃げ出した犯人が、こちらの方面に飛んで行ったと報告があってな。黒髪の若者と白髪のだ。男は武を持っておらず、は拳銃を持っているそうだ。ここにも何か報が無いか聞きに來たのだ」「はて? 儂らは見てないですなぁ」

帝國軍の団長らしき人が、犯人の特徴を言っていく。その犯人とやらはロードとシエルだろう。そんな事は村長も村人達も分かっているが、知らないふりを貫き通す。

「ここから先の道には何も無い。それを考えたら、ここにたどり著くのが正しいと思ったのだが?」「それを言われましても、知らないもんは知らないですな」「そうか―――ふん!」「―――うっ!」

村の人達から悲鳴がとび出る。 団長が素早く剣を抜いて、村長に斬りかかった。村長は致命傷は避けたようだが、がボタボタと垂れている。

「………ほう? 淺かったか。まだ生きているなんてな老骨の癖にしぶとい。だが……これで死ねぃ!」

「村長にるなぁ!」

年が木刀を手に持ち、家から飛び出して帝國軍の団長に斬りかかる。

「子供風が、喚くな! ―――フンっ!」

木刀を綺麗に斬られて、年は団長に腹を思い切り毆られる。盛大に吹き飛び、地面を何度かバウンドしてようやく止まった。

「―――アル!」「………うぅ! ケホッケホッ! ―――グッ!」

年の父親が走って助けようとするが、別の帝國軍に摑まれてけなくなっていた。 何度か咳をしながらいている年を団長は蹴り飛ばす。もう、骨は何本も折れているだろう

「羽蟲は駆除しなくてはな!」

団長は剣を構えて、年に止めを刺そうとする。誰もが年の死を覚悟した。父親は絶の表を顔に浮かべている。

「ダメェエエエエエ!!」

―――パァン!

ガラスの割れる音と銃聲が聞こえた。 弾は団長が振りかぶっている剣に當たり、剣の軌道がズレて年は死なずに済んだ。

「………炙り出して正解だった。私の読みは當たっていたようだな」「よくも村長に傷を、よくもその子に酷い事を………」

シエルの眼は真紅に輝いており、からは紅のオーラがゆらゆらと湧き出ている。

「探したぞ白髪のよ。取引だ、こちらに囚われてくれれば村人の命は保証しよう」

団長が悠々と手を差しべるが、返事は銃弾で返された。団長の足元に弾丸は撃たれ、地面に窪みができる。

「村長、村の皆……ごめんなさい。私達がここに來てしまったのが悪いのよね。私を恨んでいいわ。………だけど今は信じて後ろで隠れててくれるかしら」

村人達は、辛そうな表で村長と年を抱えて後ろに避難していった。シエルは頷くと、二丁拳銃を取り出して構える。

渉決裂だな。―――部下共! 奴らを殺せ! 皆殺しだ!」「「「「「ウォオオオオオオ!!」」」」」「來なさいよ野蠻人。死んでも村人は守る!」

開始の合図だとでも言う様に、無數の弾幕が兵士に向かって放たれる。

一人 対 帝國兵三千人の戦いが始まった。

◆◇◆

村は半壊していた。帝國軍側にあった家は全て壊されており、村人達が避難している僅かな家しか殘っていなかった。 それが無事に殘っているのは、全てシエルのおかげだった。いくら人が居ようとも、ずっと一人も後ろに行かせていなかった。

帝國軍の人數は千人までなくなっていた。地面には兵士達二千人がだらけになって倒れており、シエルの圧倒的な強さが分かる。 だが、狀況は最悪だと言えるだろう。中盤まではシエルが圧倒していた。しかし、魔力が段々と枯渇していき、數人を殺せる魔弾は撃てなくなっていった。 それからは量の差だった。それでもシエルはロードの戦い方を真似して、襲い掛かる兵士を近接技で無力化していった。

「………はぁはぁ」「そろそろキツいのではないか? 今、降參してくれたら村人の命だけは許してやろう」「―――ペッ。量でしか威張れない小心者の集団なんかに………誰が降參するもんですか」

そうは言うものの、シエルのは傷だらけであり服も所々破けていた。魔力も殆ど無く、すでに意識も朦朧もしていた。それでも戦う事を諦めてはいなかった。

(あいつなら絶対に負けを認める事は無い! だから仲間である私も諦めずに戦わなきゃダメなんだ!)

兵士が一人、剣を構えてこちらに來る。シエルは剣が振られる前に懐に潛り込んで下から顎を毆る。 槍を持った兵士が二人突撃してくる。一人を拳銃で狙撃しながら、もう一人の槍を掠って避けながら拳銃で毆る。

こうしてしずつ來るのはシエルを遊んでいるのだ。次は何人で行こうかという相談を兵士達はしている。

次は五人で來る。先制で撃ちながら、剣を避けるが一人の攻撃を避けきれずに足を斬られる。バランスを崩したシエルに追撃が襲い掛かるが、橫に転がって避ける。そこで団長に腹を思い切り蹴られて、シエルは村人達の場所まで転がる。 村人達が苦悶の表を浮かべてこちらに來ようとするが、シエルは視線で靜止させる。子供達は泣いており、は耐えられないというふうに見を閉じて祈っている。

「喜べ。俺は機嫌が良くなった。お前を殺したら村人達は先程の村長と子供以外は奴隷として扱ってやる。もちろん二人は俺の手で殺すがな!」

すでに立つことも出來ずにギロリと睨むだけのシエルを嘲笑い、兵士から取った大剣を上に構える。

「心置きなく死ね!」

(…………ロードぉ。ごめん……ね。村の人達……守れなかった………)

突然、晴れていた空が暗闇に包まれた。 村人、兵士、団長までも何事だと上を見上げると、等しく全員が中を激しく震わせて腰を抜かした。

空には、禍々しいオーラを漂わせた漆黒の竜がこちらを見ていた。それは全ての怨念の集まりのように見た者全てを恐怖の渦に巻き込んだ。 その竜は、兵士、大剣を振り上げている男、シエルを順番に見て更に黒を濃くしていった。兵士に立っていられる者は1人として居なかった。団長ですら大剣を手から話して恐怖に怯えている。今にも発狂しそうな勢いだった。

だが、そんな闇の権化の様なものを見て、シエルは逆にホッとしていた。

(全く………遅……い……わよ……)

急な安堵に包まれて、シエルは意識を失う。それと同時に、闇の権化はシエルの元へ勢いよく降りたった。 その衝撃で、村人達が避難している家の屋が吹き飛び、壁にヒビがった。近くにいた団長は吹っ飛んで兵士の中に突っ込んでいった。

竜はシエルを庇うように佇んでおり、次第に黒い渦が竜とシエルの周りに渦巻き始めた。村人はシエルを助けなければと思い、立ち上がろうとするが足腰が思い通りにいてくれない。 その竜は次第に姿を変えていき、段々と人型になり始めた。黒い渦が晴れた頃には、竜は完全な人に変化しており。シエルを大事そうに抱えている。

「…………ロードさん………なのですか?」「………………あぁ」

闇の権化である竜―――ロードはも凍える様な聲で返事をした。

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