《すばらしき竜生!》第21話 検証
「よろしいですか? 【神話級ゴッズ】とは、その名の通り神の様な規格外の力を得ることができます。そして、その【神話級】は―――」「はい先生。質問だ」
今は村長の家で説教混じりの授業らしきものをけている。シエルが起きるまでやることも無く、ベッドでゴロゴロしていた所に村長が部屋を訪ねてきた。 用件を聞くと、ロードがにつけているアクセサリーについて軽い説明をするという事だったので、ちょうど階級について聞きたいと思っていたロードは承諾した。
教えてもらった事を復習すると、【神話級】というものは、魔法と呼ばれるだと言う。 魔法とは、魔法が使えない者でも魔力を流せば魔法と変わらない力を使える道だ。王國等では、魔法は生活に無くてはならないほど重寶されているそうだ。
そもそも魔法とは本人に魔力があるだけでは使えないらしい。魔法には式というものが存在し、その式を脳で展開してようやく発という流れだ。 それだけを聞くと簡単に思えるが、その式というものが複雑だ。殺傷能力が低い魔法でも習得には半日が掛かり、魔法師を目指している人の中には脳がオーバーヒートしてしまい、夢を斷念してしまう人が多いのだそうだ。 そして魔法というのは、魔力を込めさえすれば魔法本に込められている魔法を使える。それを聞くと、とても便利ななので人々の間では人気というのも頷けた。
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「なんでしょうロード殿」「とりあえず、このアクセサリーが凄いっていうのは良く分かった。だが、その階級ってやつすらも分からないから、そっちも教えてほしい」「魔法にはそれぞれに階級が定められており、使える魔法の威力や扱いやすさも階級によって違ってきます。
一番下なのが【下級】です。これは消費魔力はないですが、を燃やしたり、水を出すなどの原始的な事しか出來ません。それに一回で壊れてしまうデメリットがありますが、市場では安く売られているので市民には重寶しています。
次に【中級】です。これは殺傷能力が低いですが攻撃系の魔法が使えます。商人などの護用に使われやすいです。これも壊れやすいので扱いは注意です。
次は【上級】。ここら辺になると、込められている魔法も強力になります。その代わりに消費魔力が上がり、価も上昇します。
そして【超級】。ここの階級になると、ほとんど手が出來なくなります。【超級】は國が管理してしまうので市民は、ほとんど見れないです。
【伝説級】は、その通り伝説です。大迷宮の奧深くにあると言われており、全ての國家が眼になって大迷宮の攻略をしています。
そしてロード殿が持っている【神話級】。一つだけで國を簡単に滅ぼす事ができるほどの魔法が込められています。しかし、それは本當に存在するのかも怪しい魔法であり、持っているだけで國に目をつけられますが鑑定にも載らない為、見分けがつきません。
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………それが目の前に六つも………今だにあり得ないと思っております」「なんでそんながあると分かっているんだ?」「それは何千年も昔に、神の使いがにつけていたと記されています。その神の使いは魔法の様なを使い、世界の崩壊を止めた、と神話になっています」
村長はロードがにつけているアクセサリーを見ながら頭を抱えている。話を聞いてから【神話級】の凄さは分かった。 それよりも村長の説明の中に、ロードの興味を引く単語が混ざっていた。
「そんな事よりも大迷宮って何だ?」「………本當に何も知らないのですね。 大迷宮とは魔が作った巣窟の事を言います。一般的に迷宮と大迷宮に類分けされています。迷宮の最下層に居る魔の事を迷宮主ダンジョンマスターと呼んでおり、その魔はほとんどが変異種であり、とても強力な力を持っています。 迷宮主を倒し更に奧に行くと、地位と名譽、財寶と強力な力を得られると伝えられています。
迷宮は窟などの場所に多く建っており、野良の魔が変異して迷宮主ダンジョンマスターになります。 そして、大迷宮は八つあります。それぞれ王國、竜王國、帝國、教國、神山、ユグール大森林、オイル海峽、天宮に存在しています。 迷宮と違い、大迷宮は強さも広さも格が違います。なので誰も今だに迷宮主が居る最下層に辿り著いていません」
大迷宮が攻略困難なのはそれだけ強力な力が手にるって事だ。だから敵も強いのだろう。それを聞いたロードは興が止まらなかった。なにせロードは戦闘狂なのだから。 竜王國にも大迷宮があるとのことなので、行ってみようと決心したロードだった。
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「さて、他に質問などはありますかな?」「うーん………あ! 金だ金。この世界の金はどんなのだ?」「………は?」
ロードの純粋な質問に村長は呆けてしまう。
「ん、何かあるか?」「い、いえ! それでは説明を。 通貨には、銅貨、銀貨、金貨があります。一番価値が高いのが金貨ですな。 銅貨二十枚で銀貨一枚です。そして、銀貨五十枚で金貨一枚の価値があります。 ほとんどの市場では銀貨と銅貨しか扱いませんな、金貨など一般市民には高すぎて持てませぬ。王族や貴族しか扱っておりませんな。儂も一度しか見た事がありません」「って事は銅貨は一円くらいの価値って考えたほうがいいな」「は?」「あ、いや何でもない」
これでロードの聞きたい事は全て聞けたので、十分だった。ここに來て知らない事が沢山あることが分かり、丁寧に教えてくれる村長はありがたかった。
「それではロード殿。もうひとつ用事があるのですが……」「うん? なんだ?」「子供達の課題はいつ見るのですか?」「……あぁ、それならシエルが目覚めてからにしよう。子二人の魔法は俺の専門外だからな、シエルが合格か否か判斷したほうがいいだろう」「そういえば、課題をクリアすれば何かあげるんでしたな。一何を渡すつもりなのですかな?」「それはだ。そっちの方が面白いだろ?」「………そうですな。儂も楽しみにしておりますぞ」
実は、もう既に報酬は出來上がっている。なので子供達には是非とも合格してもらいたいとロードは思っていた。
「………さてと、用件は終わりか? これからし村の外に行ってくるから、後はよろしく」「わかりました。儂は子供達の稽古でもしていましょう」「おう、よろしく」
ロードは村長家を出て、村から一km離れたところに移した。 理由はアクセサリーの能を確かめるためだ。ロードも貰ったばかりなので、全てを把握出來ているわけではない。もしもの為にも使い方の検証はしておいた方がいい。
そう思いながら、アクセサリーに魔力を込め始める。
◆◇◆
結果としてロードの想は「【神話級】凄え」だった。
まずはアクセサリー全部に共通できる事だ。 魔力を込めると、拳くらいの大きさの球ができた。集中するとビー玉くらいまで収できた。各屬の耐が弱い敵には臨機応変に屬を変えて戦う事ができる。試しに火球を地面に撃ってみたら、発してクレーターが出來上がった。破壊力は抜群だ。流石【神話級】マジ神能だった。 更に集中すると形狀を自由に変えることができ、これで武いらずになった。更に、作った武に関してはロードの魔力が盡きるか、解除しない限り消えることは無いので他人に渡してあげる事も出來る。 ロード自も武を使う気は無かったので、寶の持ち腐れにならずに済んで良かったと思っている。
次に各屬のアクセサリーについて。
まずは炎竜のピアス。 これはの一部を発熱させる事が出來る。周囲も地味に暖かくなるので今の時期みたいな冬には嬉しい効果だった。 れたを燃やす事もでき、消費魔力はの大きさによって変わってくる。元々魔力だけは沢山あるロードなので、そんなの気にしていないが。
次に水竜のブレスレット。 これは手から自由に水を出せる。炎竜のピアスと合わせると熱湯が出せるので、簡易的なお風呂が出來る。 出せるのは水だけだと思っていたが、氷も出せた。後でシエルの後ろから氷をれて悪戯してやろうという目的ができた。
風竜のネックレス。 これはロードにとっては1番相が良かった。 "飛爪"の飛距離が三倍に上がり、切れ味も前より隨分と強化された。はたしてこの世界に切れぬがあるのだろうか? と思ってしまうほど使いやすくなった。 そして、ロードの蹴り技。元から衝撃波は出せるくらいになっていた蹴り技だが、風竜の力が加わり衝撃波ではなく衝撃刃になって飛距離と鋭さを増した。 更に風をって飛ぶ事も出來た。それと"天軀"を合わせてみたら、ロードでも驚くぐらい速度が上がった。 ダントツで一番の収穫は風竜のネックレスと言って良かった。
土竜のブレスレット。 これは地形を変えることが出來た。固まった地面を見ながら集中すると、その部分が瞬時に砂に変化したので咄嗟の罠造りに役に立つ。 地面を盛り上げて土壁を作ることも出來た。魔力を強めに込めると、鋼鉄以上のさになったので防壁として優秀だ。
雷竜の指。 に電気を流す事が出來る。った相手を電させることも出來るので防犯対策バッチリだった。水を地面にばら撒いて、足から電気を流せば別にれる事もせずに相手を電させられる。不意打ちには最適だった。
白竜の指。 風竜の次に使える魔法だ。 何より結界の防が強い。だが、強度は土壁より遙かに強いのだが、展開が遅い欠點があった。咄嗟の時には土壁、事前準備には結界という使い分けをしたほうが良かった。更に魔力を込めれば何重にも展開する事が出來るので能としては抜群だ。 次が地味に嬉しい。魔力を込めれば上級の回復魔法を使えるようになった。これは重癥程度ならすぐに治せるレベルで、自分以外にも使えた。
こんなじで検証は終わった。 屬武を作る、屬球による遠距離攻撃、"飛爪" "天軀"の強化、結界、回復魔法がロードの収穫だ。
夢中になってやっているうちに夕暮れになってしまっていたので、ロードは若干機嫌良く村に帰った。
―――アクセサリーの真の能力を知る事も無く。
◆◇◆
帝國王城の一部屋で一人の兵士はボーっとしていた。男は伝令の仕事をしており、各地の帝國兵から様々な報をけ取り、帝王陛下に伝える役目をしていた。
といっても、ほとんどの連絡は無いので男は毎日暇を持て余していた。今日も連絡がまわってこないので、暇潰しに剣の練習をしていた所に急連絡がってきた。 しの急事態でも普通の連絡でってくるのが當たり前だった。急連絡など、本當にありえない事が起こらないとってこない。
男ですら初めてってきた急連絡に、わずかに張しながら応じた。 ………その容は信じられない事だった。 これはいち早く陛下に連絡しなければならないと思い、男は必死に走る。
やがて陛下の執務室に著くと、深呼吸をして扉を叩く。
「……誰だ」
中から男の聲がする。この聲は陛下ではなく、陛下の側近の聲であった。
「張連絡がり、陛下にお伝えに參りました!」「――何!? 張連絡だと………れ」
扉が開く。中には左右に側近が六人ずつと、中央の席に陛下が腰掛けていた。 陛下が兵士を強い眼差しで見つめ、側近の計十二人の視線が兵士に向けられる。兵士は足がすくんでしまうが、勇気を出して中にる。
「張連絡がったと言ったな………一何事だ」
側近の一人が代表して聞いてくる。
「はっ! 張連絡の容は先日にハイド平原の帝國基地から逃げ出した男二名の件です」「あれは確か……第四軍隊を総員して調査させた筈だが?」「………その第四軍隊なのですが、全滅したとの事です」
側近達からどよめきが聞こえる。 そうなるのは無理もない。第四軍隊の団長は頭もキレて実力もそこそこの男だ。それに総勢三千人の兵士で構されている軍隊が全滅とは、流石に信じられない事態なのだ。
「靜まれ」
どよめきが走っている部屋で、威厳のある聲が靜かに響いた。その聲で側近達の聲はピタリと止んだ。
「詳しく話せ」「はっ! 魔法で第四軍隊を探知していた兵士が言うには、例の二人組は辺境の村に逃げ込んだと推測をしました。 グラット団長は村人を殺さない程度に威圧して、結果的にの方を見つけ出しました。男の方は外出中だったのか居なかったと………」「ふむ、それで?」「そこでと戦になり、第四軍隊の約二千人が死にました」「増援を呼ばれたのか? は召喚士であったとかなのか?」
今だに揺を隠せていない側近が、そんな事を聞いてくるが兵士は首を振る。
「いえ、単に殺されたと言っておりました。の反応は強大で圧倒的だったと。 ですがは満創痍になっており、グラット団長がを追い詰めたようです。そこから、事態は急変したようです。 突如、上空によりも遙かに強い反応が検知され、瞬時に殘りの第四軍隊は壊滅したようです」「その姿は?」「瞬時に"遠目"を発したらしいのですが、速すぎて視認出來なかったらしく、分からないと」「………そうか………報告ご苦労。下がってよい」「はっ!」
兵士は一禮して執務室を出る。 執務室には、重い空気が流れ始めていた。帝國が誇る十の軍隊のひとつ、第四軍隊がたった二人に全滅した事実は初めての事で側近も混しているのだ。
突然、ガタンッ! と音を立てて帝王陛下が立ち上がる。側近達は気持ちを改め陛下を見つめる。
「総員、ただちに殘りの全団長を集めよ。急會議を開く! わかったら行に移せ!」「「「「「はっ!」」」」」
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