《魔法の世界でプログラム》話し合い
ラウラとカウラがルグリタに禮を述べに行く事になった。
馬車で待つのもおかしいので、部屋で待たせてもらった。なかなか帰ってこない二人を待っていると、陛下が父に渡した”リバーシ”セットを持ってきた。どうやら、一戦したいようだ。”あの”ユリウスの縁者だけあって負けず嫌いなんだろう、僅差で負けようと思っていたら、陛下から"本気での勝負”と先に言われてしまった。
陛下に圧倒的な大差で三連勝した後で、フォイルゲン辺境伯との対戦になって、こちらも大差を付けて勝ってしまった。火の著いた大人たちは、立場を忘れて、大人気なく、2対1での対戦を申し込んできた。二人で考えるのではなく、”リバーシ”を2セット使って同時に対戦するという奇策に出てきた。それも、難なく退けた。だてに、”思考ルーチンのプログラム作”を請け負ったわけじゃない。覚えたての人間に負けない位の実力は持っている。
「陛下。儂には、アルノルト君に勝てるイメージが湧きません。」「偶然だな。余も。ホルストと同じ意見じゃ流石は開発者だという所か」
「そうですね。単純な事ですが、いろんな手法が有りますからね。幾つかの定石を抑えれば勝てるようになっていきますよ」
ラウラとカウラが、父に連れられて戻ってきた。「アル様」「アル兄ィ」「おかえり。父上ありがとうございます。明日にでも學校に申請してまいります」「學校にはすでに屆け出をしてある。」「あ。解りました。何から何までありがとうございます」「なに、いい。それよりも、アル。そこの二人馬鹿達はどうした?」
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負け続けた二人がしへこんでいる景を父は面白そうに眺めていた。
どうやら、陛下と辺境伯は、父とまだ話が殘っているらしく、屋敷に殘る事になった。俺たちは載ってきた馬車で寮に帰る事にした。
「アル様。」「どうした?」「その、私達の事ですが・・・。」「うん。」「開放などして頂かなくても、私達は十分幸せです」「そうにゃ。アル兄ィも伯爵様もすごくすごく優しいにゃ」「そうか、でも、俺の我儘だけど”けじめ”みたいななのだよ。」「けじめ?」「そうだな。俺がやりたい事で、・・・・二人が嫌いだからとかじゃなくて、二人の事が好きだから、開放して、それでも二人が俺の従者をしてくれると言ってくれるような男になりたい・・・と思っているのだよ」
「アル様」「アル兄ィ」「まだもうし先だけどな」「いえ、それまでに、私とカウラも、アル様に捨てられないような従者になります。改めて、よろしくお願いいたします」「うん。よろしくにゃ」
そう言って、ラウラが頭を下げた。それを見ていた、カウラも慌てて頭を下げた。二人の頭を互にでながら
「うん。でも、慌てなくていいよな。俺達は、まだ中等部に上がったばかりだからな」「はい」「はいにゃ!」
殘念な事に、本當に殘念な事に、馬車は寮に著いてしまった。途中から本気で著かなければいいと考えていた。考えてみてしい。今日、父の屋敷であった陛下もかなり面倒な格だ。それにをかけて面倒な格なのが、ユリウスなのだ。絶対に、面倒な事になるに違いない。まだ怒り狂って、當たり散らしてくれたほうが、対処が出來る。
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「はぁ著いちゃったな」「アル様。ユリウス様の事ですか?」「説明はしないとならないけど、なんとかごまかせないかと思ったのだけどな」「・・・・」「無理にゃ」
「カウラ。そうだけど・・・なぁ」「でも、もしかしたらなんとかなるかもにゃ」「ん?どうして?何か摑んだのか?」「知らない臭いがあるにゃ。それに、り口で何か爭っているにゃ」「カウラ。それは本當か?誰かが喧嘩しているのか?」「一人は、エヴァにゃ。あと何人か知らない臭いにゃ」
「ラウラ。カウラ。馬車を置いて、急ぐぞ!」「はい。」「はいにゃ」
者に馬車を所定の位置に戻してもらって、俺達は玄関にった。
「帰ってください!」
玄関を開けていきなりそんな事を言われてし凹んでしまった。
「あっおかえりなさい」「エヴァ様。ただいま。どうしたの?」
ラウラが、手をあげて俺を制してから、ラウラが問いかけた。エヴァが俺の名前を告げなかった事で何かをじたのだろう。カウラも俺の前に出て臨戦態勢を整えている。
「ラウラさん。」
一人、エヴァに突っかかっていた人が、ラウラとエヴァの間に割ってった。従者だろうか、後ろに控えていた二人が腰に下げている剣に手をかける。
「貴様。何の権利が合って、ボニート・ルベルティとエヴァンジェリーナの話に割り込む。」「それは、ルベルティ様が、私達の寮の中で迷な行為に及んでいるからです。」
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エヴァの言葉に語気を強める。
「なっおまえ。俺が誰なのかわからないのか?」
ラウラが相手をするようなので、俺は一歩下がってカウラの後ろに控える事にした。「えぇ存じておりませんが?貴方は、私の事をご存知ですか?」
可く、首をかしげるラウラを見て、従者の一人が腰を折って俺に一禮した。俺が主人だって気がついたのだろう。
「ボニート様。ここは、一旦帰りましょう。エヴァンジェリーナ様の留學は、すでに決められている事です。それに、こんな時間に・・・。」
俺を見てから「ご迷をおかけしては、エヴァンジェリーナ様のお立場も悪くなってしまいます。」「・・・そうか、エヴァンジェリーナ。明日、また來る。」「來なくていい。私は、ここで過ごすと決めた。父様の許可も貰った!」「ダメだ!」
奧からクリスが出てきた「エヴァ様。後日場所を設けて、お話言い分くらいは聞いてあげましょう。そちらの、貴方達もいいわよね。いきなり怒鳴り込んで來た事は、その時にしっかり説明していただきますからね。壊したと合わせて、後日誠意ある釈明を頂けると考えています。」
クリスが威圧を込めた目で、ボニートと名乗った人を見つめた。ラウラとカウラも睨んでいる。エヴァも泣きそうな目でボニートを見ている。
「解った。ブノア。エタン。帰るぞ」「はっ」「はい。はい。」
ボニートは、”フンっ”とだけ鼻を鳴らして橫を通り過ぎていった従者二人のうち、ブノアと呼ばれた方は、クリスとエヴァに向けて一禮して、通りすがりに俺達にも會釈して通り過ぎた。エタンと呼ばれた従者は、エヴァに軽薄に手を振って、クリスには仰々しく禮をしてから、俺の肩に手を置いて、「あんさんが一番やばそうだな。わいだけじゃ勝てへんかもな」「エタン。帰るぞ。」「はい。はい。人使いが荒いご主人様だな。ほなな。あんさんの事は覚えておく。」
3人が出ていってから、一息つきたいと思っていた。それが葉わぬ夢である事も理解している。「さて、アルノルト様。」「え?あっはい。ユリウス殿下はお部屋でしょうか?フォイルゲン様」「えぇ貴方のお帰りを、首を長くしてお待ちです。私達では手がつけられない狀態でございます。お覚悟をお願いいたします。ライムバッハ辺境伯の後継ぎ様。」「わかった。クリス。ユリウスに10分後に尋ねると伝言頼む。荷を置いてから向かう。それに、ラウラとカウラの事で、ロミルダに禮を言っておきたい。」「あらどうしたの?」
「クリスティーネ様。私達は、アルノルト様の従者である前に、奴隷です。その私達を、ルグリタ様が養子に向かいれてくれる事になりました」「あらそうなの?」「はい。私達は、本日より、”マナベ”ではなく、”ゼークト”となります。よろしくお願いいたします。」「そうなのね。貴方たちも、ライムバッハ家に向かいれられたわけね。」「はい。」「そうにゃ!」
話をそらそうとした。不発に終わると解っているが、試してみないと結果は解らない。
「アルノルト様。解ったわ。ユリウス様には、荷を置いたら”すぐ”に行くと伝えておくわ」「・・・わかった。”すぐ”に向かう。」「そうしてくれると助かるわ」
クリスがにこやかに微笑みながら、上に上がっていく。エヴァからも話を聞きたいが、それはユリウスとの話が終わってからだろう。部屋に荷を置いて、ユリウスの部屋に向かう。見えるわけではないが、ユリウスの部屋から不機嫌オーラがれ出しているようにも思える。こういう展開あったよな。
▽▽▽▽▽(その頃。寮から逃げるように帰った、ボニート達は)「ぼっちゃん。ありゃぁ駄目です。」「エタン。殿下と呼べ。しかし、エタンの言う通りです。」「そんな事はない。あんな所に、エヴァンジェリーナを置いておくわけにはいかない。即刻、帰國させる」「無理ですって、陛下の許可は出ているのですよ。」「それでも・・・だ!それに、あんな所では、警護も出來ていないではないか!」「いやいや。ぼっちゃん。気が付かなかったのですか?」「”何”を、だ?」「殿下。エタンの言葉遣いはともかく、言っている事正しいです。あの屋敷全に防結界が施されていました。」「なっそんな事、わが帝國でも出來るはないぞ」「えぇアーティファクトだとは思われますが、チンピラ程度には侵は不可能でしょう。忍び込むにしても、最上位の”影”を使わないと無理だと思います。」「・・・でも、中にいる奴らでは、エヴァンジェリーナを守れない。やはり、俺が守る!」「それも無理がありまっせ。ぼっちゃん。」「なぜだ!俺ならば、奴らよりもエヴァンジェリーナを守れるはずだ。剣も魔法も俺のほうが上だ!」「ぼっちゃん。それが間違いですよ。あの、クリスと呼ばれていた子の魔法力はぼっちゃんよりも上ですよ。見ただけですから、屬まではわかりませんでしたが、うちの基準では、70程度はありましたよ。」「なっ。そんなはずはない。俺は天才だと言ってきたのは貴様だろう。エタン!」「えぇそうですよ。ぼっちゃんの年齢で、50は天才の部類ですが、上には上が居るってことですよ。そして、後から現れた3名は不味いですね。俺でも勝てるかどうか・・・。」「な!」「エタン。それは本當ですか?」「噓じゃないですよ。あの獣人の子は、屬はなさそうだけど、魔法力は80と90の間位で、もう一人の子は、90に近いですし屬も複數ありそうでしたよ。そして、あの後ろに居た男。ありゃぁまずいです。」「あぁ珍しく、貴方が”った”子ですね。」「えぇ好奇心に負けました」「それでどうだったのですか?」「わからなかった。」「え?」「解らないが答えですよ。正直、逃げ出したかったですよ。屬は、5つ。地・火・木・風・剣。ですね。でも、違和があります。もしかしたら、もっと・・・・何か隠していますね・・・。魔法力は、測れなかった。」「エタン。どういう事だ!それは、宮廷魔道士レベルではないか!」「えぇそうですね。ぼっちゃんが10人居ても勝てないかもしれないですよ。」「エタン。殿下と比べる事は置いておいて、”測れなかった”とはどういう事ですか?」「わいもびっくりしたのですが、”って”調べると、魔法力は必ず表示されてきたのですが、表示がされなかったのですよ」「エタン。それは、魔法力が”ない”という事ではないのか?」「それなら、怖いですよ。魔法力がなくて、屬持ちですよ。ありえないですね。」「・・・。そうか・・・。」
「あっ!思い出した!」「どうした。エタン。」「あいつ。あの男。ライムバッハの後継ぎですよ。」「あいつが?」「間違いありませんって、前に、聖様が式典に出た後で中達と話している時に、褒めていた男があいつで、今日、あいつが主席になっているのを見ましたからね。」「あいつが・・・あの男が、エヴァンジェリーナがこの國に殘った理由なのか?」△△△△△
俺は、ユリウスの不機嫌オーラを正面からけている。あぁよくこういう展開あったな。システム開発でも、よくある展開だ。客が上層部に回ししないで組み込みを決定した事を、プログラマが実裝してしまって、実裝が終了してから、上層部が怒鳴り込んでくる。面子を潰されたが一番の理由なのだけどな。今回は、”時間もなかった”それで押し切ろう。
「アル。それで、いきなり、辺境伯の後継ぎに戻った理由を聞かせてくれるか?」
沈黙に耐えきれなくなったのだろう、ユリウスが先に口を開いた。謝罪すべきは、俺の方にあるが、ユリウスが求めているのは謝罪ではない。
「解った。先に、確認しておきたい事はあるが、いいか?」「あぁなんだ。」「ユリウスは、今日、陛下が來られる事を知っていたのか?」「いや。知らなかった。アル。俺もおまえに聞きたい事があるがいいか?」「えぇ何でしょう。」
ユリウスは、まだしだけ躊躇しているのだろう、言いよどんでいる。
「アル。おまえが、”ライムバッハ”を名乗ったは、俺やクリスのためなのか?」
どう答えるかで今後の展開が変わってきそうだな。
「ユリウス殿下。それに、外で聞き耳を立てている人たちにも言っておきますが、俺が”ライムバッハ”家の名前を名乗るきっかけは、確かに、殿下やフォイルゲン殿の話を聞いたからですが、それだけでは無いのです。」
ユリウスがしだけ考えてから「アルノルト。話の続きは、下で話すか?どうも盜み聞きされているのは落ち著かない。」「そうですね。」
座っている、ユリウスに手を差し出すと、それを握ってから立ち上がってくれた。不機嫌オーラは消えていた。やっぱり、この人は自分の責任だと思って機嫌を悪くしていただけなのだ、まだ完全に機嫌がよくなったわけではないが、話を聞く制にはなってくれたようだ。応接室で話をする事になった。俺の前にユリウスが座ってクリスが當然の様に橫に座った。他の面子も応接室の適當な場所に腰を落ち著かせる。
「それでアル。どういう事だ。」「はい。まず、きっかけは確かに、ユリウスとクリスの話でした。それは認めます。その前に、俺が"マナベ”を名乗っていた訳を聞いてもらえますか?」「あぁ解った」「ありがとうございます。俺がマナベを名乗っていたのは、目立ちたくなかった事です。これは、無駄でしたが、俺の力だけで、年學校を過ごすという目的は達する事が出來ました。」「・・・。」「・・・。」「アル。おまえは、そんな事を考えていたのか?」「はい。家名を外したと言っても、”ライムバッハ”家の名前はなからず影響すると考えていました。いい意味でも悪い意味でも、ユリウスの様に飛び抜けていれば、その問題もないとは思いましたが・・・。」「あっそういう事だな。アル。確かに、な」「ユリウス様。しお考え違いをしているようですわよ。アルノルト様は、先生や學校側の事ではなく、生徒の事を言っているのですわよ」
さすがはクリスという所か「クリスが言うように、俺が気にしたのは、”ライムバッハ”という名前は、先生達は別にして、一部の貴族からは評判は良くない。」「・・・」「そうですわね。ライムバッハの後継ぎだって事で、文句を言われる事もあるわよね」「なっそんな事は・・。」「ユリウス様。この件では、わたくしはアルノルト様のお味方です。王家のやりようは間違っておりますわ」「クリス。今は、その話は置いておこう。ユリウスもいいよな」「はい。申し訳ありません。」「あぁそうだな」
「おれも、年學校にろうと思った時に、どうしようかと思ったが、自分の力を試したいという気持ちもあって、マナベを名乗った。」「・・・」「・・・。」「え?でも、主席じゃなかったよな?」
空気を読まない。ギルの言葉だ「だから、目立つのも嫌だったからな」「あっなるほどな。」「目立ってしまうと、俺の事に興味を持つ奴が、俺の事を調べようとするだろう?」
「あぁぁそういう事か、たしかにな。俺の家もすぐに調べさせていたからな」「ギル・・。まぁいいかぁ」
「話が橫道に逸れたが、俺は、自分の力で學して奨學金を得て、年學校に通いたかった。」「それはわかった。それで、なんで今日だったのだ!」
「あぁ。前々から考えていたのだけどな。いいタイミングがなかった。試後に皆に相談すればよかったのだけれど、いろいろ合ってできなかった。そのことについては、俺が皆に甘えてしまった。すまなかった」
皆の視線が集まっているのが解る。一息れて「それで、今朝の話があったので、俺が、ユリウスやクリスに甘えていた事を思い知って、名前を戻す事にした。これが全てだ。」「おまえは、俺やクリスに甘えている。そんな事無いだろう?」「アルノルト様。それはお互い様だと思います。でも、そう考えていただいてうれしいですわ」
「それに、もう一つ理由がある。」「なんだ」「俺は、ユリウスの事を友達だと、親友だと思っている。」「あぁ」
なんか照れくさそうにしている。そっけなかったが、耳が赤くなっている。照れているのだろう。
「うん。そんな親友に甘えて居ていいわけがない。俺は、ユリウスに守ってもらう為に、友達になろうと思ったわけじゃない。ユリウスと一緒に居る為に、友達になった。これは、クリスもエヴァもギルも、ギードやハンスも同じだ。」「アル。おまえ。」「アルノルト様。そんな・・・。」「・・・。」「アル。俺もだ!」
「うん。ギルありがとう。それで、ユリウスの隣に居て文句を言われない様にするには、”ライムバッハ”の名前を利用するのが一番近道だろう?ここで躊躇する必要は考えなかった。」「アル!解った。」
そう言って、ユリウスは立ち上がって部屋から出ていった。
「クスクス。」「クリス。」「あぁ大丈夫ですわよ。恥ずかしくなったのでしょう。後で、わたくしから話をしておきますわ」「頼む。それで、恥ずかしくなったってどういう事?」「アルノルト様達は居なかったので、知らなくても當然ですわね。寮に帰ってきてから、ユリウス様はそりゃぁもうひどかったですわよ。ね。みなさん。」
皆が一斉に肯定する。
「酷かった?」「えぇ落ち込んでしまってね。」
もう、クリスはこらえきれなくなって、笑いだしてしまった。暫く笑ってから、笑い涙を拭いてから「”俺は、アルノルトの親友のつもりで居たが、それは俺がそう思っているだけだったのか?なぜあいつは一人で勝手に決めて、俺に相談しなかった”と、わたくしに言ってきたほどですからね」「・・・そりゃぁ悪かった」「そうですわよ。許嫁のわたくしよりも、アルノルト様の事を気にかけるのですから、嫉妬してしまいますわ。」「クリス。おまえ、それをユリウスに言ったのか?」「えぇ勿論!」「なっ不機嫌の理由は、俺じゃなくて、クリスだったのではないか?」「そうですわね。よく考えれば、そう言われても致し方ないですわね」「はぁ?クリス。おまえ!」「なんですの?わたくしも怒っていたのですよ。せっかく、私とユリウス様が耐えた事を、翌日にひっくり返して、わたくし達の忍耐を返してしいものですわ」「・・・それに関しては、済まなかった。」「もういいですわ。面白いも見られたことで"ちゃら"にしてあげますわ」「それは、それは、大変ありがたいお言葉です。クリスティーネ・フォン・フォイルゲン様」
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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