《魔法の世界でプログラム》旅立ち
「ユリウス。どうして?」「アル。明日、旅立つのだろう?」
それだけを聞きたかったのだろうか?ユリウスは、俺をまっすぐ見ている。
「あぁそのつもりだ。ライムバッハ領とカールの事を頼む」「大丈夫だ。お前は何も気にするな。」
ユリウスから差し出された手を握った。
「アルノルト。無理だけはするなよ。」「あぁユリウスもな。」
ユリウスはニヤリと笑って「俺は、大丈夫だ。街の狀態や産業を見てきたが、ライムバッハ領はすごくまとまっている。よく統治されているのがわかる。エルマール殿はすごいな」「あぁ俺も改めて話を聞くと頭が下がる思いだ」
「ギルが売り始めて絵本がいい。アレのおかげで説明が簡単になった」
そう、ギルは俺やユリアンネ。ラウラ。カウラから話を聞いて、ライムバッハ辺境伯襲撃事件を絵本にした。俺は抵抗があったが、ユリアンネやラウラが反対の意思を示さなかったので、そのまま作る事になった。それに、クリスとエヴァが手を加えた。伝記ってこうやって話が盛られていくのだな。その過程がわかった気がする。
Advertisement
その後は、もちろん、ナーテ達の救出作戦も絵本になっている。
おかげで、ギルはホクホク顔だ。王都に連絡して、シュロート商會の本店でも取り扱いを開始したそうだ。それを聞いた、エヴァが顔を真赤にして怒ったのは別の話だ。
そして、何やら、ヒルダとアンネリーゼがクリスに相談していた。嫌な予しかしなかったので、話し合いをしている場所に乗り込んだ。
『アルノルト×ギルベルト。斷の』『ギード×ハンス。主君を巡る。憎劇』『ユリウス×アルノルト×ギルベルト。友の辿り著く場所』
そんなタイトルの企畫が進んでいた。勿論、全部破り捨てた。しかし、その2ヶ月後に本になって、現が出回っている事を知った。名前は変えられていたが・・・。
「アル。頼みがある。」「なんだ?」「俺と戦ってくれ。」「どうした?」「多分、今がお前に勝てる最後のチャンスだと思う。だから、アル。俺と戦ってくれ。」
「・・・。ユリウス。」「解っている。俺が前線に出て戦う事があってはならない事だと理解している。でも、今までお前に負けっぱなしで終われるわけがない。」
Advertisement
「アルノルト様」「クリス!」「アルノルト様。ユリウス様の挑戦をけて下さい。そうしないと、一生言い続けると思います。手加減は必要ないでしょう。魔法を使える者も多いですし、”聖様”もいるのですから・・・ね。エヴァンジェリーナ。隠れていないで出てきたらどう?」
扉から、エヴァだけではなく皆が顔を出した。「はひ。アルノルト様。私達を安心させて下さい。」「そうですね。アル。あなたが強い事は解っている。ラウラやカウラも居る。ユリアンネやアンもルトも居る。でも、やはり、あなたが大丈夫だって証明してみせてよ」
ザシャは真剣な表で俺を見つめて居る。そういう事なのだな。
「わかったよ。ユリウス。その代わり、負けたからって、文句言うなよ。」「おまえこそな!」
それから、場所を屋敷の裏にある空き地に移した。魔法を試す為に、整地した場所だ。
「ユリウス。魔法は使わないで戦ってやる。」「アル。ハンデのつもりか?俺は、魔法ありでもかまわないぞ」「それじゃ勝負にならないからな」「ほざくな。アル。負けた時の言い訳のつもりか?」
俺は、刀を構えた。ユリウスは、小盾にメイスだ。皇太孫がメイスを使うのかと思ったが、加護を得られた中で一番相が良かったようだ。
ユリウスが、メイスと盾に魔法をかけているのを待っている。
「またせたな。」「あぁ」「いくぞ!」
ユリウスは、盾で防を固めながら突っ込んできた。ひと當たりしてメイスで攻撃してくるつもりだろう。刀を構えつつ、ユリウスが盾を構えている方にを躱す。それが解っていたのか、盾を俺のに押し當てながら、押し込もうとする。
甘い。
刀の柄で、ユリウスの盾を持つ腕の肩を毆打する。俺を抑える事に集中するあまり、を守るという本來の意味から外れてしまっている。
盾こそ落とさなかったものの腕がしびれているのだろう。ガードも下がっている。かろうじて肘で支えるような格好だが、盾の意味はもう無くなっている。
ユリウスは、盾を腕から外した。防なしで、メイスでの攻撃に切り替えたようだ。さすがに、強化されたメイスを刀でけるつもりはない。振り下ろされるメイスを躱しながら、ユリウスの狙いを確認する。
盾を捨てた腕が、の後ろに回された。メイスを大きく振りかぶって、俺の脳天を狙ってくる。躱した所を、短剣が襲う。もう一本腰に下げていた脇差しで、短剣をらせて、そのまま脇差しを逆手に持ったまま、ユリウスの首筋を狙う。
「アル!」ギルの聲が聞こえる。
「ユリウス。」「あぁやっぱり屆かなかったか・・・。」
脇差しを鞘に納めた。刀も鞘におさめて、ユリウスの方を見る。
「もうし、苦しめられると思ったのだがな。」「そうでもなかったぞ、結構ギリギリだったからな。」「そう言ってくれた事を誇りに思う。アル。これを持っていってくれないか?」
そう言って、短剣を俺に差し出す。
「いいのか?」「あぁ。でも、誰も”やる”とは言っていない。貸すだけだからな。絶対に、返せよ。」「わかった。」
「アルノルト様。お兄様!」ヒルダが駆け寄ってきた。そして、俺の方に飛びついた。
「ヒルダ。ここは、俺に抱きつく所じゃないのか?」「お兄様なんかに抱きつきませんわ。お兄様には、クリス姉様がいらっしゃるのですからね。”第一夫人”として、アルノルト様のご無事を”一番”に確認しないとなりませんからね。」
ヒルダをけ止めたが、そのまま地面に降ろした。それも、ユリアンネとカウラが、聖獣の姿で飛び込んできたからだ。
ユリウスは張や疲れから座り込んでしまった。地面に降ろされていたヒルダは、立ち上がって、ユリウスを見上げるようにポーズを取って何かを言っている。ヒルダとユリウスが何か言い爭っているが、聞こえない事にした。どうせ、口を挾んでもいいことなんてあるはずがない。
いつの間にか、クリスが側にやってきていた
「アルノルト様。ありがとうございます。」「なんだよ。クリスに禮を言われる様な事はしていないぞ」「そうですわね。どちらかと言うと、私の婚約者を”よくも”と怒った方がよろしいのでしょうね。」「そりゃやっかいだな。逃げるという選択肢しかなくなってしまうな。」
ひとしきり、クリスは笑ってから
「本當に、ありがとうございます。本気で相手をしていただいて、これで、ユリウス様の迷いも晴れると思います。」「そうか、俺もスッキリした気持ちで旅立てるよ。」「そう言ってもらえると、煽ったかいがありましたわ。」
座り込んでいるユリウスを立たせて、皆が見ている場所まで一緒に歩いた。
屋敷に戻ると、ルステオが馬車の準備をしていた。以前、買った馬車を修理しただ。
共和國方面に行くことになるので、ライムバッハの印はれていない。その代わり、”マノベ家”の家紋をれることにした。
ルステオに禮を言っておく。ラウラとルトとナーテに、食料と旅程に必要なを揃えておくようにお願いする。
屋敷の中に戻って、ユリウスとクリスと、今後の大まかな予定を話す。俺は、取り敢えずは3年程度共和國や近隣諸國を、見て歩くつもりである事を告げた。
俺達が18歳になるまでは冒険者として経験を積むつもりでいる。”あの方”の素が解ればいいが、分からないまでも何かしらの痕跡がつかめればよいと思っている。
ちょくちょくは無理でも、何度かは帰ってくるつもりである事も説明した。カールの事も気になるし、子供たちの事も気になる。
目先の目標は、ライムバッハ領にある”迷宮の街ウーレンフート"だ。ここで、迷宮ダンジョンの攻略を目指す。今まで、10階層までの報があるが、その先の報がない。ここを簡単に・・・と、いかないまでも、クリアできないようでは、”あの方”との戦いを優位に進められないだろう。
ライムバッハの街から、ウーレンフートは、馬車で5日程度の場所にある。その先に、共和國との國境も存在している。共和國に進むにも丁度よい場所なのだ。
出発を明朝にした。できれば、日の出前にはき始めたい。今日は、屋敷ではなく、城壁近くの宿屋に泊まる事にしている。ラウラとルトとナーテには、屋敷ではなく宿屋で集合する様に言ってある。
ユリウスとクリスとの話を終えて、部屋を出る。皆が揃っている。1人1人と握手をしながら言葉をわしていく。
屋敷の者も揃っている。ヒルダとユリアンネとアンネリーゼとカウラは、馬車に乗り込んでいる。アンネリーゼが者の真似事をする事になっているが、実際には、カウラが馬達の作を行っている。
皆に見送られながら、屋敷を後にした。
宿屋には、すでに、ラウラとルトとナーテが待っていた。馬車を宿屋にあずけて、お願いしてあった部屋にった。二部屋を借りるつもりだったが、もったいないという”まとも”な意見から、3人部屋を借りる事にした。ユリアンネ。ラウラ。カウラ。アンネリーゼ。ルトラウト。は、聖獣の狀態になれば部屋のサイズ的にも十分だ。
俺とヒルダとナーテでベッドを使えば、十分寢られるという事になった。
部屋にってから、皆に最初の目的地を説明した。異存は無く、そのまま確定となった。
明日は、朝日が登る前には出発する事にしたので、早々に寢る事にした。勿論、別々に寢た。
夜中に目が覚めた。何時くらいだろう。
星明かりだろか、明りが差し込んでくる。
「・・・・。起こしちゃった?」「アンネリーゼ。」「なんか、懐かしい夢を・・・見て、それで起きただけだ。」「お前も寢ないと・・・ダメだぞ」「そのいい方懐かしいね。」「そうだな・・・・。」
「ねぇ真一。」「ん?なんだ?」「ううん。何でもない。」「そうか・・・。」
「なぁタカコは、生まれ変わってよかったのか?」「どうだろうね。一つだけ言えるのは、今度は、真一だけを殘すなんて事はしないよ」「あぁそうだな。おれも、お前を・・・チアキを・・・。」「うん。大丈夫。私達は、解っているよ。」「・・・。」「真一。よく我慢したよね。」「俺か?我慢なんてしていないぞ。」「うん。でも、ありがとう。」「なんだよ。急に」「ううん。これは、私だけじゃなくて、チーも同じだと思うからね。」「・・・そうか。」
「ねぇ。アル。そろそろ寢ないと、明日起きられないよ。」「お前は平気なのか?」「ん?私は、玄武だよ。寢なくても平気。でも、眠かったら、馬車で寢るから大丈夫!」「なんだそりゃ。まぁそうだな。俺は、もうし寢る。お前も、寢られそうなら、寢ろよ。」「うん。ありがとう。もうし、夜空を見ているよ。」「あぁそうか、おやすみ。」「うん。おやすみ。」
いつ寢たのかわからないが、いつの間にか寢てしまっていた。が出る前に、目覚める事はできた。
起きる事はできたが、案の定の狀態だ。隣のベッドで寢ていたはずの、ヒルダとナーテが俺のベッドにり込んでいる。ユリアンネもヒト型になって俺のベッドで寢ている。
空いたベッドは、アンネリーゼとカウラが一つを使って、ルトとラウラがもうひとつを使っている。どういう順番でそうなったのかわからないが、取り敢えず、ヒルダとユリアンネを起こして、事を聞くことにした。ルトが起きてきたので、ナーテを任せた。何か、ヒルダとユリアンネが言っていたが、無視した。結局、何の事もわからないまま出立の時間になった。
宿屋で朝食になりそうなを分けてもらって、馬車を走らせた。
城壁の守衛にはすでに話を通してあるので、簡単な確認事項だけで通る事ができた。
門を通過して、振り向いて一禮した。すぐに返ってくるかもしれないが、今日が俺の”旅立ちの日”である事には間違いはない。
カウラが馬車を止めて、屋敷の方に向かって一禮した。皆がそれにならって、一禮した。
馬車は、まだ薄暗い中を、ライムバッハの街から旅立った。
マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで
お遊びバンドがあっという間にメジャーデビュー、あれよあれよでトップアーティストの仲間入りを果たしてしまう。 主人公の入月勇志(イリヅキ ユウシ)は、そんな彗星の如く現れたバンド、Godly Place(ガッドリープレイス)のボーカル兼、ギターだが、もっぱら趣味はゲームやアニメで、平穏な生活を失いたくないがために顔出しはNGで突き通していく。 ボーカルの桐島歩美(キリシマアユミ)を始め、たくさんの女の子たちとドキドキワクワクなラブコメディになる予定。
8 140神様を拾った俺はイケメンになれるそうです
「あなたの特徴は何ですか?」 こう問われたことはないだろうか。 一般的には「背が高い」や「運動が好き」などと答えるのが妥當だろう だがそこには恥ずかし気もなくにこう答える奴がいた。 「イケメンです」 この話は、ひょんなことから神様を拾った主人公の工藤春樹がリアル顔面チートでのんびり?高校生活を送る物語です
8 154俺と彼女と小宇宙とが織り成す宇宙人とのラブコメ
俺、菅原月兎(すがはらつきと)は転校した日にラブレター貰って、宇宙に拉致られる。 この物語の一人一人が他とはちょっと違う歪な愛を持っている。 月兎の自己愛。 マリスの全愛。 エマの純愛。 麗兎、玲浮兎の偏愛。 カリーナの敬愛・・・等々。 そんな彼、彼女達は人とは違う愛を抱えながらも自分の信じる物を必死に守り通す。 本作はそんなハイテンションSFファンタジーです。 *この作品は小説家になろうでも投稿しています
8 135シュプレヒコール
理不盡な世界に勇敢に立ち向かい、勇気と覚悟と愛を持って闘っていった若者たちを描いた 現代アクション小説です。
8 149召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた女神さまを召喚することにしました
MMORPGのつもりで設定したステータスを持って、相馬(そうま) 徹(とおる)は召喚士として異世界に転移した。女神さまから與えられたのは、ただひたすら召喚――つまりガチャを回すことに特化したチートだった。ソーマは召喚チートを駆使し、この世界で成り上がっていく。これは一人の少年が、魔王を倒し勇者に至るまでを描いた物語。※こちらの作品はまったり進行でお送りいたします。 この作品は『小説家になろう』様でも掲載しています。
8 61たった一つの願いを葉えるために
大切な人を失ったテルは神様にある真実を聞かされた。その御禮と謝罪として「マース」に転生させてもらった。 処女作です。かなり下手で文章も稚拙だとは思いますが、微笑ましく見守ってください。 ※時々訂正入りますが、ご了承ください。
8 106