《魔法の世界でプログラム》ブラント村
「お兄様。」「アルノルト様。」
「ユリアンネ。ヒルダ。これは、ぬいぐるみだけど、ぬいぐるみじゃないからな。」「えぇ解っていますわ。テディなのでしょう。でも、外見は可いぬいぐるみですわよ」「アルノルト様。ユリアンネに、沢山のぬいぐるみをプレゼントしていたのでしょう。このテディは私ので良いですわよね?」
「ふたりとも落ち著け。そもそも、テディは、ここからけないのではないか?」「え?主様。そんな事ありません。主様の近くに居れば、魔力の供給がありますから、大丈夫です。」「おまえ、念話じゃなくても話せるのか?」「あっはい。主様から魔力を充填していただいたので大丈夫です。あっそれから、この施設も順次生き返ります。確認してください。」
「ユリアンネ。ヒルダ。二人とも・・・。もう遅いか・・・。」
ヒルダがテディを抱えている。それを橫から、ユリアンネが奪い取ろうとしている様だ。それほど大きくないテディだが、ヒルダやユリアンネが抱えるにはし大きい様だ。
目の前のディスプレイには、火がっている事が確認出來る。そして、一部だけど、魔が湧いている事も見て取れる。
迷宮ダンジョンが生き返った事を意味する。
そして、ステータスシートから確認すると、『98』がバージョンアップしているようだ。新しくこの施設への接続が出來るようになっている。命名がまだされていないので、(no name)狀態になっている。わかりやすいように、”ブラント迷宮”としておく。
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激変というじではあるが・・・。「テディ。どうする?俺達と來るか?それとも、ここで、迷宮ダンジョンの管理をしているか?」「主様。ご一緒してよろしいのですか?」「いいけど、いろいろ大変だと思うぞ。俺達だけの時ならいいが、そうじゃない時には、ぬいぐるみのフリをする必要が・・・・。あっ別にいいのか?ゴーレムだって言い張ればいいか?」「アル。ゴーレムにしては可いし、それに役立たずだよ?テディは何が出來るの?」「皆さん。私が話しても驚かないのですね。もうし、びっくりされる事を期待していたのですが・・・。」
ユリアンネとアンとルト目配せをして、ラウラとカウラも頷いた。5人が聖獣の姿に戻る。
「え!な!」「うん。だから、別に喋るぬいぐるみ位じゃびっくりしないよ。それでテディはどうする?」「そういう事なら、ご一緒させて下さい。」「了解。それで、何が出來るの?」「え?あっ得意な事は、ぬいぐるみのフリ・・・ですが・・。」「ねぇアル。やっぱり、テディはここに放置でいいと思う。荷にしかならないし、ステータス袋にもりそうにないよ。」「お兄様。それなら私が・・・。」「アルノルト様。私が、背負います」「ねぇねぇにいちゃん。」
騒ぐ二人を無視しておく。「なんだ。ナーテ。」「テディに、迷宮の管理をさせたらいいと、思うけど?それに、もしかしたら、他の迷宮の事も知っているかもしれないよ?」「テディ。どうだ?迷宮の管理は出來るのか?」
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「あっはい。主様の近くに居れば、できます。ただ、監視と簡単な設定しかできません。他の迷宮の事は、すみません。でも、博士から聞いている魔法の事は知識としてあります。」「もう一つ確認。今、俺がここで魔力を充填したけど、ここから出ても大丈夫なのか?」「長い間は無理ですが、ある程度なら大丈夫です。」「長いとはどのくらいだ?」「主様はご確認出來ると思うのですが、各施設の殘魔力が表示されていると思います。この施設だけなら、壁の"でぃすぷれい"に表示されています。」
そこには、殘魔力99%と表示されている。停止予測3,784,319,872秒と表示されている。ちょっとまて、し計算する。約120年?あっている自信はあるが、なくても俺の耐用年數を越えている事だけは間違いない。ステータスシートからプログラムを起して確認して見るが、同じような數値だ。もうひとつはしない。魔が倒されたりして、新しく産まれる時に、魔力が使われているのだろう。
「テディ。魔力の問題はわかったけど、補充はどうしたらいい?」「基本的には、誰かが迷宮にってきたら、魔力が充填されていきます。殺されたりしたら、一気に回収できます。後は、主様は、博士よりも魔力が多いようですので、ステータスシートから充填が出來ると思います。博士がブツブツ言っていました『わたしにもっと魔力があれば、一々來なくて済むのに』っと。」「わかった。取り敢えずは、ここで・・・おい、ラウラ。ルト。」「はい。」「ご主人様。」
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「奧は、やっぱり居住スペースか?」「アル様。そうなっています。すぐにでも使える狀態になっています。」「そうか、みんな。悪いけど、し、ここも調べておきたい。」
皆が頷いてくれた。
取り敢えず、ユリウスに報告だけしておくか、地下からでも繋がるか心配ではあるが、それも検証だ。攜帯電話を取り出して、ユリウスに電話をかける
『おぉアルか?』「ユリウス。」
なぜか、テディがびっくりしている。電話が終わったら聞く事にしよう。
『どうした?何か問題か?』「いや、ナーテの村近くにあった迷宮を攻略して、今その施設に居る。」『なに?やっぱり、そこも、フランケンシュタイン伯爵の関係施設だったのか?』「あぁ話が早くて助かる。今、その場所から話しかけている。ここの施設の調査が終わったら、一度バックハルムに戻ってから、共和國の首都に向かう」『そうか、わかった。こちらは、問題はない。安心しろ。あぁそう言えば、ギルがおまえに相談があると言っていたぞ。』「わかった。落ち著いたら、連絡して見る」『わるいな。頼む。』
簡単に現狀報告だけをした。続いて、ギルにも連絡をしたが出なかった。まぁそのうちかかってくるだろう。
「主様。」「なんだ?」「その魔道の使い方がお解りなのですか?」「あぁわかるけど?」「すごいです!博士も試行錯誤をしていたのですが、結局解らなかったです。それと同型だと思いますが、數臺ここにもあります。使えるのか確認してもらっていいですか?」
「お兄様。テディが言っているのは、これですか?」
ユリアンネが片付けをしていた部屋からダンボールで持ってきた。そこには、數臺ではなく、數十臺という攜帯電話だ。
「テディこれでだけか?」「・・・」「言い換えよう。魔道は、これだけか?」「いえ、他にも、アーティファクトがいろいろあります。」「そうか、一つずつ整理していくか・・・。」
俺とユリアンネとヒルダで、アーティファクトの整理をする事に決めた。攜帯電話の幾つかはモック品の用だ。火がらない。そもそも、電源が押せないが多かった。半分以上がモック品で、殘った半分も壊れてしまっているようだ。修理が出來るのか分からないが分解して、調査するには丁度いいのかもしれない。見てみないとわからない事が多すぎる。博士もそう思って、何個か分解しているようだが、電子機の知識が無いと流石に難しいだろう。
「お兄様。いたのは、全部で23臺です」「意外と多いな。扱いは、ユリウスに一任でいいかな。」「そうですね。」
攜帯電話以外にも、調理やいろいろ流れ著いているようだ。俺的な想を言えば、汚れた海岸線を思い浮かべた。適當に流れ著いたを全部集めていたというじだ。し考えるが、時代が合わないような気がする。博士が生きていた時間に、攜帯電話は地球には存在していない。”時間”と”空間”を越えたという事か?この辺りの事は、博士の研究資料を読んでみるしか無いのかもしれない。俺は、研究者ではなく、開発者だ。研究は、専門家に任せればいい。俺は、アーティファクトや魔道が使えればいい。
一番気になった魔道アーティファクトは、ノートパソコンだ。起も問題なく出來る。キーボードは日本語キーボードだが問題ない。こちらの言語対応にはなっていないが俺なら読める。そして、この端末にも開発ツールがついている。最初のログイン時に、『98』と同じように、オーナ登録を行ったら、俺が使える屬の魔法が全部出てきた。このノーパソから『98』への接続も、ブラント迷宮への接続も出來るようだ。USBケーブルがつながっていて、ツール上には”配置”と言うメニューもある。Visua○Studi○の様なメニュー構になっている。これはわかりやすい。サンプルがないか探してみたが、サンプルはなかった。その代わり、博士が作ったのだろう、”ライト”なるソースコード(?)が見つかる。火の魔法を発しているだけだ。そして、この”ライト”の魔法のすごい所は、魔力を"人間が供給”するのではなく、魔素を使って継続利用できるようになっている。それでは、魔素はどうやって供給しているのか、説明がなかったが、目の前でいているテディが答えだ。魔力でいている。それでは、その魔力はどうやって得ている。最初は、自然と魔素を吸収しているのかと思ったが、それでは、魔素が無くなった時に困ってしまう。テディは、魔晶珠でいているわけではない。力源は、魔核というらしい、わかりやすく言えば、電池だ。それも、充電式のエネ○ープの様なだ。迷宮ダンジョン産の魔から得られるらしいが、俺等は見たことがない。その事を、テディに伝えると、魔の生する時に、魔核を生させるか選べるらしい。そうすると、魔の數は減るが強くなって、魔核を持つ事があるらしい。そう言われても、実際に、やってみないとわからない。
一旦、ブラント迷宮の魔に魔核が産まれるように設定した。テディの話では、半日から一日必要だと言っていた。
ついでに俺達の魔法技能の訓練にもなると思うので、暫くこの部屋を拠點にして、狩りをする事にした。期間は1週間程度だ。食料がそれだけしかないのが理由だが、期間的には、十分だろう。上層階ではなく、下層階の魔で試してみればわかる。
全員で行ってもしょうがないので、俺はここに殘って、監視をしている。どう見えるのかを調べておく必要がある。ラウラとカウラを中心に4名ずつのパーティで挑んでもらう。ナーテかヒルダを必ず連れて行くように言ってある。そうなると、必然的に、ルトかアンが一緒に行くことになる。
何回か狩りに出かけて、何個かの魔核が手できた。必ず手出來るだけではなく、確率的には1/10程度だ。大きさもも形もマチマチだ。
そして、解った。魔核の品質で、配置できる魔法が変わってくるという事だ。
ノーパソがあれば、魔道もどきが作れる事が解った。これは大きな進歩だ。魔核との兼ね合いや調査はする必要があるが、それでも飛躍的に魔道が作りやすくなった。問題は、今のままでは俺しか作る事ができないという事だが、前に、ザシャがエルフの村で魔道を作る方法があると言っていたような気がした。もしかしたら、魔核の事も知っているかも知れない。
自分たちが必要なものだけ作って、細かい検証は、ライムバッハ領に戻ってから行えばいいかな。
さて、一度バックハルムに戻って、領主と話し合いをしないとならないだろうな。
検証も終わったし、出來る事もだいたい把握した。ブラント迷宮では、鉱石を生み出す事はできないようだ。その代わりに、ダンジョンにしか生息しないキノコや水を採取出來るようにできた。ダンジョンの特なのだろう。様式として、10階層。20階層。30階層。40階層に、フロアボスを設置した。ボスに関しては、しアルゴリズムをいじってみた。もともとは、”一番近いを攻撃せよ”に、なっていた。それを、ボスに関しては、一番攻撃を當てた者を攻撃する。魔法での攻撃だった場合には、その後は他の者を無視して攻撃する。というじにしてみた。もうし複雑に作れそうだが、あまり複雑にすると魔力を使うらしいので、この程度にしておく。今は、アルゴリズムよりも、深くなると強い魔が産まれるように設定した。
アルゴリズムは、ステータスシートから設定出來る事も確認しているし、ノーパソから端末に接続したり、デバッグ出來る事も確認している。魔法のプログラムを作るより先に、ダンジョンを作っている覚になっているが、適度な難易度になるように設定する。
設定を終えて、地上に戻ってから、バックハルム街に戻った。領主との面談を明日に設定して、今日は宿でゆっくり休む事にした。
一つ思い出して、ギルに電話をかけた『アル?』「あぁギル。なにか用事か?ユリウスからそういう伝言を貰った。」『そうだ。アル。思い出した。』「だから、なんだ?」『オヤジからの報だけどな。王都に、妖の涙フェアリーティアの支部ができたって話だ。なんとかっていう辺境伯の屋敷の近くらしい。』「本當か?」『オヤジからの報だから確かだとは思う。俺ももうすぐ王都に著くから、そうしたら、もうし正しい報を伝えられると思う』「あぁ頼む。でも、無理はするなよ。」『大丈夫。解っている。それじゃな。アル。また連絡する。』「あぁ。」
電話を切った。「お兄様」「ユリアンネ。王都に、妖の涙フェアリーティアの支部ができたらしい。多分、どっかの辺境伯がそそのかされたのだろう。すぐにどうこうなるとは思えないが・・・。」「そうですね。でも、私達が今から戻るよりは、ギル様におまかせしたほうがよろしいのでしょう?」「そう思う・・・。そうだな。まずは、明日の領主との話し合いだな。」
朝起きると、今日は、ユリアンネとヒルダが橫に寢ていた。「起きろ。朝飯食べたら、領主の所に行くぞ」
領主の所には、昨日の段階で、冒険者ギルドや商人ギルドの人も同席をお願いしている。
晝間での約束で時間を貰っている。約束の時間のし前には、領主の屋敷に行くようにした。いつもの部屋に通された。
そこには、領主の他に3名がすでに來ていた。冒険者ギルドのギルド長のレナルジュ。商人ギルドのギルド長のオポルイ。そして、商人のバロワンさんだ。俺とヒルダとナーテとルトで來ている。ルトは従者という扱いで、ナーテの後ろに立っている。
俺から話す事は、二つだ領主に、ブラント迷宮が復活した事。産出した魔核は俺のとするが、魔から剝ぎ取った素材や、キノコ類や、ポーションの材料になる草は、採取した冒険者のとする。場料を取る。場料に関しては、運営を任す団への支払いに回される。俺としては、魔核さえ確保できれば十分な収になりえる。
領主としては、運営をバロワンさんに委託してほしいようだが、1商家が獨占的に扱うのは不味いだろうという事になった。所有権は、マナベ商會が持つ事は確定している。マナベ商會から冒険者ギルドと商人ギルドに委託する形になった。バロワンさんは、いち早くこの事を知ったので、明日にでも、ブラント村に向かう事にするようだ。
ここで問題になるのが、ブラント村の存在だ。バックハルムに屬する村だが、現在は領主どころか村民も居ない。村民の1人というか、村長の娘が、ナーテになるが、ナーテは村長を行うつもりはない。俺と旅を続ける事を選んだ。そうなると、村を作り直す必要がある。暫くは、バックハルムからブラント迷宮に通う事になるのだろう。土地や建の権利が問題なってくる。
だからというわけではないが、ナーテが相続する分は相続する。村に居た子供たちの親が所有していたもある。領主としては、そんな些細な事でめたくないようだ。それほど、迷宮ダンジョン利権は大きいようだ。
「ナーテリンデさんといいましたか?」「はい。そうです。」「アルノルト・マナベさん。こうしませんか?」
領主が提案してきたのは、ダンジョンの所有権はもう俺に移っている。それなら、周辺の村を含めるという事にしてしまって、ブラント迷宮一帯を、マナベ商會の持ちにしてしまって、そこに自由に建を立てていいことにしてほしい。バックハルムは、ブラント村の為に、守備隊を派遣する。その守備隊の駐屯料を払ってしいという事だ。その為には、ナーテが了承して、俺に委譲する必要があるとの話だ。稅金の話もあるので、一旦草案をまとめてから詳細を詰める事になった。しかし、大筋は、あの一帯をマナベ商會の持ちにして、維持管理を領主に委託する事になる。
「あっ建ですが、一等地とはいいませんが、わりかしいい場所に二つほど建を建てるスペースを開けておいてしい。」「なにに使うのですか?」「あぁ仲間に商人が一人いまして、そいつに絡ませないと後でうるさそうです。そして、もう一箇所はナーテや子供たちが帰ってくる場所を作っておきたいだけです。」「そういう事でしたら、解りました。バロワン。かまわないよな?」「勿論です。そうそう、アルノルト様。できましたら、教會も用意しますので、一度だけでも、聖様にお越しいただけないでしょうか?」「・・・聞いてみます。あまり期待しないでくださいね。」「わかりました。期待して待っています。」
こうして、ブラント迷宮を中心にした村の再建?新設が決まった。後の細かい事は、持ち帰って皆で検討すればいい。
意外と言っては失禮だが、テディがこういう事に詳しかった。時間は、ユリアンネかヒルダの背中にテディをくくりつけて連れてきて、念話で話をしながら打ち合わせをしてもいいかもしれない。そう思っていたが、領主や冒険者ギルド・商人ギルドが出してきた草案は、大きな問題はなかった。街の名前に、俺の名前をつけようとしていたので、やんわりと訂正して、舊來のブラント村とする様にした。
行ったり來たりで面倒だったが、1週間程度で調印まで持っていけたのは、俺の才能ではなく、テディの的確な指摘があったからだと思う。
そして、テストで出ていった冒険者が帰って來て、報告を聞いた。1~3階層には、魔が出ないようにしている。その代わり、特殊なキノコやポーションの材料になる草や苔は生えるようになっている。それだけでも十分な稼ぎにはなるという評価だ。その上で、4階層から、魔が出現してくるので、それらの素材が加わるので、場料を取っても十分に利益になるだろうという評価になった。
俺は、ユリウスに連絡をして、ライムバッハ領から迷宮ダンジョン周りの運営に詳しい人間を數名派遣してもらう様にした。その話も領主と積めて、ライムバッハからの人の派遣は3ヶ月間として、その後、延長を希する場合には、領主から延長を申し出る事に決まった。
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