《魔法の世界でプログラム》エルフの街

デブレールは、ルネリートの屋敷においてきた。持って帰ってもしょうがないし、臭いからな。それに、正式な書類になっているだ。今から撤回もできない。これが商人ギルドに登録されれば終わりだ。逆に言えば、俺が”商人ギルド”についてしまえば、終わりになってしまう。なんとしても阻止しなければならない。

あぁやっぱりだ。馬鹿は、どこまでも馬鹿なのだね。

屋敷を出て、”わざ”と人通りがない所を歩いていた。商人ギルドへの道が解らないふりをしていた。「ここは通行料が必要だ!」「へぇそうなのですか?いくらですか?」「・・・。」「いくらなのですか?」「お前の命だ」「それは、流石に払えませんね。金貨一枚とか言ってくれたら払ったのですけどね。殘念です。それでは、他の道から行く事にします」「まて、お前を逃がすわけには行かない」

前に3人。後ろに5人。合計8人か、短い間によくこれだけの人數を集めたですね。「へぇ誰かに命令されたのですか?例えば、ルネリートの馬鹿とか?」「なっそんな事、お前には関係ない。お前は、ここで死ねばいい」「死ねと言われて、”はい。そうですか”といえるほど人生を楽しんでいないので、全力で抵抗させていただきます。よろしいですよね?」「ハハハ。こいつ。俺達に勝てるつもりだぞ」

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なんか、思いっきり笑い始めた。やはり馬鹿なのだろう。全力を出す必要もない。火の魔法を発して、偉そうに話しかけてきた奴の足を狙う。「こいつ魔法を使う。囲んで、斬りかかれ!」

その指示は正しいけど、間違っている。俺に対する場合は悪手だろう。周りを取り囲まれた瞬間に、威力を抑えた炎龍を呼び出して、躙を開始する。

數秒で終わってしまった。偉そうにしている奴の首に、抜刀した刃を押し付けて、「このまま引けば、お前の首から赤いが流れるだろうな。どのくらいで死ぬか試してみるか?」「やっやめろ」「やだね」

周りからは焦げ臭い匂いが漂っている。死んでいるか解らないが、威力は弱くしたし、死ぬほどでは無いだろう。一気に、の周りの”酸素”を燃やされたから、一時的な低酸素癥にでもなったのだろう。まぁ死んでいても、別に困らない。

刀をし引くと、首からが出て來る。「許してくれ」「何を?通行料の支払いを拒否して、全力で抵抗すると言っただろう」「・・・俺は、命令されただけなのだ」「だから?」

またし刀を引く、痛みも伝わるだろう。「暴れるなよ。そんなに暴れると、間違って、首を落としてしまうかも知れないだろう」「ゆるして・・・ください」「やだね。それに、全力を出さないと失禮だろう?」「・・・ほんとうに、めいれい・・・だったのです」「へぇ。それで?だから、なに?俺の事を笑った事には、違いないよな?命令された。そうか、俺も全力出すと約束したからな」「や・・たすけて・・・ゆるして、なんでもします」「じゃ、ここで死んでよ。なんでもするのだろう?それなら出來るだろう」「・・・。ゆるしてください。ゆるしてください」

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心が折れるの、早すぎないか?「はぁわかった。お前の飼い主に伝えろ、”次はない。”とな」「はい。はい。必ず。必ず。伝えます。」「邪魔だ!失せろ!」「はっはい」

兎のごとく逃げていった。もうし骨のある奴と戦いたい。そうしないと、クラーラには追いつけない。やはり、迷宮ダンジョン攻略して、俺達専用の場所を作ったほうがいいか?

商人ギルドに寄って契約書を登録する。これで、一応安心出來る狀態になった。俺が持っている一部は、ステータス袋にれておく事にするが、どこかの迷宮ダンジョンの地下に、専用の執務室でも作って、そこに置いておこうかな。ステータス袋も無限ではないから、容量が心配になってしまう。

連々そんな事を考えながら、歩いてコンラートの屋敷に向かう。デブレールの屋敷の地下の奴らの処遇は、明日でいいかな。蠱毒狀態になっていなければいいのだけれどな。

コンラートの屋敷の前は、騒がしい狀態になってしまっていた。考えてみれば當然の事だな。子供たちだけではなく、降伏した兵まで居るのだから、混雑していない方がおかしい。

俺が一人で歩いているのを見て、ザシャとディアナが駆け寄ってきた。「アル!」「アル」「終わったよ。ロルフ殿は中に居る?」「兄様。居ると思うよ。」「そうか、渡したいがある」「わかった」

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「アルノルト・フォン。ライムバッハ。何か用か?」「よかった。これを渡しておく、拒否権はない。もう商人ギルドに登録してしまったし、この容でき出している。」「これは・・・。おい。なんだ、これは?」「なんだ、と、言われても・・・な。ヘーゲルヒからの謝罪と言えば納得するか?」「おい。ザシャ。これ読んでみろ」「アルノルト様。私にも確認させて下さい」

ロルフに、渡した契約書という名前の、書類を、ザシャとディアナとコンラートが順番に読んでいく。

「アルノルト様。これは、本當に、ルネリートが承諾したのでしょうか?」「あぁ承諾したぞ。だから、奴のサインもある」「・・・えぇ間違いないようです。この印も、ヘーゲルヒの公式文章で使う様式です」「爺が言うのなら間違いないな」

「アルノルト・フォン・ライムバッハ。本當なのだな。」「あぁ間違いなく、この契約書の通りに履行される。森への侵の許可も、今までと違って、エルフ側が行う事になる。今は、暫定的に、商人ギルドにまかせてあるが、人選が終われば、エルフの許可なく、森にる事はできなくなる。もし、森の中で許可証を持たない者を見つけた時には、エルフの法で裁いて構わない」「・・・・本當か?」「本當だ。面倒なら、契約書の容改定をしてもいいぞ」「ザシャ」「わかっている。アル。この契約は、エルフが・・・私達がしていた。そして、絶対に無理だと思っていた。アル。本當に・・・ありがとう」「お禮を言われる様な事じゃないよ。俺は、今回の事を利用しただけだからね。本當なら、子供たちをもっと早く救い出せたかも知れない。俺の力不足で、それはできなかった。だから、起きてしまった事を最大限利用しただけだ」

「それでもだ。なくても、俺には、ここまでの渉はできない」「兄様。これで、アルを街に招いても、誰も文句いいませんよね?」「あぁ間違いない。”おばば”もお前の主張を聞いてくれるだろう」「よかった・・・」

やっと本來の依頼容である、ザシャとディアナを屆けるという容が果たせそうだ。細かい予定は、明後日以降に相談して決める事になった。今、アンとルトが、ヨハナ達を迎えに行っている。明日には、ヘーゲルヒ街に戻ってくるだろう。捕えられていた子供たちの中で、9割以上が帰る所がない狀態だという事が解った。孤児院をヘーゲルヒに再建しても良かったが、それなら、ライムバッハ領に送った方が”楽”が出來る。エルフとドワーフの子供たちは、エルフの街に戻る事になるが、今日と明日は、ゆっくり休む事にしたいと、言っている。

俺も、今日はもう休む事にして、皆にそう告げて、宿屋に向かった。宿屋に著いてから、ユリウスとギルに狀況報告だけはしておいた。

明日は、デブレールの屋敷の地下に居る奴らの尋問をする。必要はないが、そのまま開放して、舐められるのも面白くない。二度と俺に、ライムバッハに逆らうような事が無いように、心に刻み込んでおこう。

尋問は、すんなり終わった。捕えていた奴らは、従順になっていて、俺の質問に滯りなく答えている。一人、ラウゴールだけは強固に喋らなかった。皆の目の前で、”答えたくない”と、言った後ノータイムで、腕を切り飛ばした。それから、皆が素直になってくれた。妖の涙フェアリーティアの名前を知るは居なかった。ただ、數名”帝國の商人”を、名乗る二人組の男の事を知っていた。最初は、辺境伯が會っていたが、その後、デブレールの屋敷に寄るようになっていたようだ。

ここ數年は來ていなかったらしいが、最近になってまた姿を見るようになったらしい。

やはり、何か暗躍しているのかも知れない。今回の件で、奴らの思を潰せたとは思えないが、何が目的か解らないから、余計に不気味だ。

夕方には、エヴァとイレーネが、ヨハナ達を連れてヘーゲルヒ街にやってきた。アンとルトも戻ってきた。明日から、俺はエルフの街に向けて、森の中を進む事になる。今だけだが、再開を喜びつつ、皆の紹介を兼ねて、食事をする事になった。

食事は、コンラートの屋敷に居た、料理人が行った。最初は、どこかの店に行こうかと思ったが、ご老人が、”當家で食事を用意致します”と、いう事だった。人數も多かったので、その言葉に甘える事にした。

食事を終えて、エルフの街に行くメンバーの選出を行う。ロルフが道案をする事になっている。馬車は基本的に使えないと思ったほうが良さそうだ。

俺とザシャとディアナは、當然として、アンとルトのどちらかは、殘る事にする。話し合いの結果、ルトが殘る事になった。エルフとドワーフの子供たちで數名、このまま街に殘る事になった。この子達は、そのまま”元”コンラートの屋敷で、急ピッチで作られている、エルフ特別區の初代係員になる事が決まった。せっかく得たチャンスは最大限に利用すると、ザシャが人選していたので、大丈夫なのだろう。

エードルフとシュトライトは、俺達に付いてエルフの街に行く事になった。子供たちの護衛の役目である。エルフ特別區とライムバッハアンテナショップの為に、街に殘ってくれる子や警備兵達の人選も終わった。ギルが今、大急ぎでこっちに向かっているので、ギルが來たら、エヴァとイレーネとアンテナショップを立ち上げてもらう。その後で、ライムバッハ領にコンラート達と移する事になった。ギルへの説明は、俺が後で行う事にしたが、詳細な指示はコンラートとエヴァが行う事になった。

森にる場所には、コンラートの私兵とご老人が居てくれる事になった。人選が終了したら、エルフが守備する事になるだろう。

食事會が終了して、明日に備えての準備を行う事になった。子供も多いので、行程はしゆったりしたものになる。通常なら、3日程度で著くことが出來るようだが、5日かけて行くことにした。森の中なので、休む所も限られているというは暗視だが、そのあたりは、ロルフに任せる事になる。信頼できるか解らないので、ステータス袋は使わないようにする。必要なは、荷臺で運ぶ事になる。ザシャとディアナとアンは、個人的なものに関しては、ステータス袋にれて居る。取り出す時に注意すれば済む話だと考えているようだ。

俺も人前でステータス袋を使う事が無いように、必要になりそうなは、につけておく事にした。武裝と小銭だけは持っておく、後は、攜帯電話をすぐに取り出せるようにしておく。どうやら、ザシャはロルフには、ステータス袋の事は離しているようだ。

準備も終わって、後は出発するだけの狀態になってから、宿屋で休む事にした。

宿屋では、ルトが明日からの事の最終確認をしたいと言って待っていた。最終確認も無いのだが、ミスが有ってはダメだと言っているので、納得するまで付き合う事にした。検証はしていないが、攜帯電話が繋がる距離が、念話の繋がる距離ではないかと想っている。ルトには、何かあれば、念話で話しかけてくるように言っておく。

朝日が登る前に起きた。そのまま、待ち合わせ場所に移すると、すでに半數以上が揃っていた。子供たちが來ていないので、それを待ってから出発する事になっているようだ。

「アルノルト様」「ん?あぁエードルフとシュトライトか。どうした?」

なにやら二人が興して駆け寄ってきた。「アルノルト様。マナベ商會は、アルノルト様の・・」「そうだよ。俺がやっている商會だぞ。なんだいきなり?」「おっしゃぁ!」「やったぁ!」「なんだ二人とも?」

二人が喜んだ理由が、リバーシとトランプがしいという話だ。持っているし、別に問題ないので、何個か出してやる。そうしたら、しだけ不思議な顔をしたが、詮索はしてこないで、一つ頂きたい。という事をいいだしたので、道中に暇潰すには丁度いいだろうから、OKをだした。エードルフには、ついでに娘さんに、"渡してこい"と、一組多く渡した。

出発前にしドタバタはあったが、大きな問題にはならなかった。これから、5日かけてエルフの街まで移する事になる。

道中は、ロルフが居るので道に迷う事は無いだろうが、魔や獣が居る。用心していくのは當然の事なのだろう。

暫くは、草原にし木が多いとじるくらいだったが、1時間も歩けば、そこはすでに森と表現するにふさわしいじがしている。山脈と大河までを、ヘーゲルヒ街は城壁で囲んで、エルフが自由に出り出來る街を絞っていた。共和國側に行くにも、森を歩いて、山脈を越えなくてはならないので、現実的ではない。今までは、森は、ヘーゲルヒ街の一部で、エルフに貸し與えているという裁を取っていた。その為に、自由に出りもできない狀況が続いていた。エルフは、森の恵みだけで生活に困らないが、塩などはヘーゲルヒを頼らなくてはならない。その為に、安くない稅金を支払う必要があったのだ、それが、今回の事で全て無くなった。それだけではなく、ヘーゲルヒから森を取り返したという意識も芽生えている。

「アル。」「なに?」「ううん。かなり歓迎されると思うからね」「そうか?でも、俺、ザシャとディアナを屆けたら、すぐに王都に向かいたいのだけどな」「どうだろう?おばばが數日は離さないと思うよ」

エルフのおばば・・・かぁイメージで悪いけど、エルフの年寄りってなんとなく怖いってイメージがついて回るのだよね。実際はどうなのかわからないのだけどな。

「それに、アルにもメリットがある話でもあると思うよ?」「なに?それは?」「著いてからのお楽しみ!」

道中には、そんな話をしたり、護衛で來ている兵隊と、模擬戦をしたり、エルフの子供と森のなかでの、鬼ごっこをやったり、楽しく過ごしていた。ロルフとも剣をえた。強いとは思っていたけど、純粋な剣技だけならまけていたかもしれない。魔法の組み合わせで対等以上には持っていけた。人族に、魔法でまけたのが悔しかったのか、それから後は、純粋な魔法勝負になったりした。

5日間の行程も無事に進んだ。ロルフが張した面持ちになって「結界を超えるぞ。いいか、手順を間違えるなよ」

エルフの街には結界がられている。アーティファクトで結界が作られていて、街をまるごと結界の中に留めているのだと説明された。この結界は、まっすぐに歩いているつもりでも、”いつの間にか戻されてしまう”と、いう結界だと説明された。それに贖うには、正しい道順で歩く必要があり、その順番を間違えると、戻されてしまう。厄介な事に、一人一人隔離されてしまうので、後ろからついていくが使えないという事だ。試しに、一度違った道を選んでみたら、元いた場所に戻されてしまった。

二度目は、しっかり教えられた手順に従った。

俺が最後の様だ。皆が待っていた、それ以上に、目の前に広がる景に目を奪われてしまった。

「アル。ようこそ、エルフの街。首都エルブンガルドへ」ザシャはそう言って、朗らかに笑った。

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