《魔法の世界でプログラム》ザシャの思

ロルフに案された部屋には、大きな魔法陣が投影されている。魔法陣の中心に置かれているのは、ポケットコンピュータ=ポケコンだ。実際に、若い頃に使った事があるが、目の前にあると懐かしさがこみ上げてくる。

そして、ポケコンの周りの魔法陣は、”ライト”が投影しているようだ。説明を求めると、魔法陣は"雰囲気”だという事で、魔法的な意味は”増幅”でしか無いようだ。

ポケコンをよく見ると、カ○オのV○-4だ。高校の時に使った機種で使い心地も覚えている。RAMを増やして、増強して使っていた。プログラムもかなり作った。一行でどれだけ表現できるのかを皆で競い合ったりもした。そして、単純なことだったが、プログラム領域以外の場所にデータを書き込むプログラムを作って、ハードウェアリセットを無効化する仕組みをれたりもした。

確かに、V○-4なら、FT-232RLを用いれば、TTLレベルのRS-232C互換でしかない接続端子をUSB接続出來る。ここが、日本なら、迷わずパーツ屋に注文している。ダメ元で、USB接続をやってみるか?もしかしたら、魔法での変換が出來るかも知れない。あぁそもそもケーブルが無いだろう。電源に関しては、魔素を使っているのだろうけど、何が変わっているのか知りたい。いじっていなければ、メモリ8Kだったはず。それだけで、あの結界が維持できるのか?もしかして、時間をいじっているのではなく、単純に処理速度がなくて、時間が経過してしまっていたのか?

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ロルフを見ると、可哀想な人を見るような目で見られていた。

視線をじたので、わざとらしく咳払いをする。「ロルフ殿。これが、結界を維持しているアーティファクトで間違いないのですね」「あぁそうだ」「一臺だけですか?」「いや、あと50臺ある」「え?見せてもらっても良いですか?」「問題ない。こっちだ」

連れて行かれたのは、隣の小部屋だ。そこには、たしかに50臺のV○-4が置かれていた。約1クラス分が流れ著いたという事なのだろうか?もともと、V○-4は教育や學習用途だと思う。これだけ大量にあると言うことは、そういう事なのだろう。

「結界を張る時には、どういった手順で行うのですか?」「それは、だな」

「兄様!」

ザシャがドアの前で、ロルフを呼んだ。「ザシャ。どうした?」「"どうした?”では、ありません。アルには、私が説明します」「どういう事だ?」「おばばから、エルブンガルドに居る間、"私がアルの世話をしろ"と命令された」「・・・。そうか、わかった」

後ろには、ディアナも居た「ザシャ。”一人”ではなく、私も一緒。同級生の方が質問とかし易いだろうという事だった」

どうやら、ザシャとディアナが、ロルフと変わって説明してくれる事になったようだ。俺としては、ロルフの方が遠慮なく聞けるので良かったのだけどな。

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「そうか、アルノルト・フォン・ライムバッハ。おばば様や氏家が、解析や書の閲覧を許可された。持ち出しは許可されていない。ここから持ち出さないようにしろ」「わかった。ここで、解析や書の閲覧をしていいのか?」「そう言っている。ザシャ。閲覧室は、使えるようになっているのだろうな?」「私とディアナとアルとアン以外、らないようにすると言われた」「そうか・・・アルノルト・フォン・ライムバッハ。必要ながあったら、ザシャに言えばいい(いいか、妹と二人っきりになって、何かあったら許さないからな)」

肩に手を置かれて、耳元で脅迫された。要するに、ロルフの機嫌が、悪かったりしたのは、俺に対する嫉妬ではなく、妹に手を出しそうな奴だから牽制していたって事なのか?反論はしておきたいが、出來るような雰囲気ではない。頷く事だけはしておくことにした。

「アル?」

部屋から出ていくロルフを見送っていた。背中が何か寂しげだったのはなぜだろう。ザシャに呼ばれて、現実世界に戻された気分だ。

「あぁごめん。それで、結界の起の方法は、ザシャが解るの?」「うん。兄様も知っているけど、この役目は、本來”巫”の役目」

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「アル。見難いと思うから、覗き込むようにして、この部分にいろいろ表示される」

晶部分なのだろう。ザシャが示した部分を見た。「これが一番見やすい」

そう言って、一臺のポケコンを手に取った。もしかして、コントラストの事を言っているのか?

「ザシャ。し見やすく出來ると思うけど、他の奴で調整していいか?」「ん。やってみて」「了解」

ポケコンを一臺け取って、電源をれる。懐かしい畫面が表示される。メモリは8Kのままの様だ。魔改造されていない機種の様だ。キーボードも変わっていない。起が確認できたら、SHIFTキーを押下してから、MODEキーを押す。これで、矢印キーでコントラストの調整が出來るはずだ。

矢印の上でコントラストがアップされて、下矢印でダウンする。

「ほら。ザシャ。これで、調整出來るだろう?」「おぉぉぉぉぉぉ!!!」

それほどのことか?終了は、矢印キー以外なんでも良かったと思うが、様式的な話でMODEキーを押下する事にした。

「ザシャ。もしかして、結界のアーティファクトは、この部分が見えなくて、使っていないがあるの?」「うん。全部同じ事が出來るけど、"ここ”をこっちにして、この部分がらなかったら使えない。そう教えられた」

ザシャがいいたかったのは、電源スイッチをONにした時に、晶がらなかったら使えない。と、いう事らしい。

「でも、らないも、暫く置いておくと、復活する。巫の役目は、結界がなくなる前に、使えると取り替える事。でも、ここがるのは、だいたい決まっている。今結界を張っていると合わせて、9個くらいしか使えない。でも、アルのおかげで他のも使えるかも?」

要約すると、晶のコントラストが低くて、起が見えなかったが多かった。結界を張っている時に、電池レベルが下がってしまったを、待機させていた換する事で、再度使えるようになる。その切り替えをするのが、”巫”の役目であるという事の様だ。

ザシャにお願いされて、全部のポケコンのコントラスト調整を行った。全部使える事が確認できた。

結界は、”プログラム”されているようだ。ザシャに起を見せてもらう。

している狀態で、赤S(SHIFTキー)を押下して、"1"を押す。しばらくしていると、畫面に何か流れ出して、Yes/Noと表示された。「ここで、ここを押すと結界になる。こっちを押すと何もしない」

YとNのキーをそれぞれ指してそう説明してくれた。

中を解析したい。今の作から、P1にプログラムされているのだろう。BASICなのかC言語なのか、CASLなのか、解らないが、幸いな事に、俺なら全部読むことが出來る。中が見たい。魔改造したい。ダメだ、エルフの至寶なのだろう。

「アル?」「ん?」「そうだ。おばばが、食事を一緒にしたいと言っていた。どうする?」「斷る様な事でもないので、けるけど、気を使わなくてもいいのだけどな」「ううん。おばばは、アルの話を聞きたいと言っていた」「それなら、遠慮しないでけるよ」

辺りを見回した。ポケコンがあまりにも衝撃的すぎて、周りをきにしていなかった。「あれ?アンとディアナは?」「アンが書を読みたいと言ったから、そっちに案している」「そうか、結界の方も気になるけど、書も気になる。ザシャ。書の案も頼む」「了解」

ポケコンをこのままっていたら、プログラムをロードして、中を見たくなってしまう。解析するのなら、やっていいのかもしれないが、やり方を全部殘しておかないと、結界という大事なを見せてくれた、エルフ族に対して示しがつかない。機會があったら、おばばに相談してみるしかないのかな。

された部屋には、魔法書の類が大量においてある。中央の機で、アンとディアナが何か言いながら、本を読んでいた。「ディアナ。アン!」「あぁアル。どうした?」「ん?」

ディアナとアンは、魔道ではなく、魔法の付與が出來る、武や防の作り方の本を読んでいた。説明や解説を論評していたと話した。

今度、二人で作ってみる事にしたと話していた。実際に、今ドワーフがエルブンガルドに來ているのは、この魔法武の作をエルフと協力して行う為らしい。

俺が作ったのは、武に”魔核”を取り付けて、それで魔法を発するだ。今この街で研究されているとは違う様だ。

俺は、ザシャにお願いして、時間や空間に関する魔法の書を持ってきてもらった。ザシャも、アンとディアナに混じって、武や防にエンチャントする魔法を探すようだ。

どのくらい、読み込んでいたのだろう。辺りは薄暗くなってきている。晝過ぎから読み始めた印象がある。普通に考えて、2~3時間は読み込んでいたのだろう。周りを見ると、アンとディアナは、ソファで夢の中に旅立っていた。

「アル!」「ん?なに?」

ザシャが、戻ってきて聲をかけてきた。

「よかった。おばばが、食事でもどうだ?と、言っているけど、どうする?」「そうだな。きりがいいから、ご一緒するよ」「わかった。それじゃ付いて來て」「了解。それで、ディアナとアンはどうする?」「大丈夫。兄様に相手をお願いしてある」「そうか、わかった」

ザシャに連れられて、食事に向かった。ついた場所は、俺が知っている食堂というよりも、モンゴルのゲルの中というじだ。そこに、低いテーブルが置かれている。床に座って食べるようだ。末席に座ろうとする俺を、ザシャが笑いながら引っ張っていく、當然の様に、上座に座らせる。橫が空いている所を見ると、おばばが座るのだろう。憂鬱だ。こういう席では、必ず何かを言われるに決まっている。

テーブルの広さから、各氏家から2~3名とドワーフの関係者という所だろうか?俺が上座に座ってから、徐々に人が集まってくる。ザシャは、俺の隣の席に座っている。マナーがどうなっているのかわからないので、取り敢えずおとなしく座っている事にした。だが、氏家の者が來る度に、俺の所に挨拶に來るのは、どうにかしてしい。覚えきれない。それに、コップが空いていると、つかさず継ぎ足すのも辭めてしい。最初は、酒のあるワインの様な飲みだった。今は、ザシャが気を利かせて、酒が無いに変わっている。このままでは、食事の前に、飲みだけでお腹いっぱいになってしまう。

おばば以外が揃って座った所で、やっと登場となった様だ。

「アルノルト殿。待たせたようじゃな」「いえ、大丈夫です」「ザシャには、言っておいたのだけどな。こうなる事がわかっているから、我と一緒でかまわないとな」

おばばは、俺の近くに散している。飲みの容を見ながらそうつぶやいた。ザシャを見ると、”あっ”という表になる。わざとではなさそうだから、まぁいいか。

「ザシャも、皆にアルノルト殿を紹介したかったようだしの」「ん?」「おばば様。早く食事を始めないと」

「ハハハ。そうじゃな。皆、揃っているようだな。今日は、ここに居る、アルノルト・フォン・ライムバッハ殿を迎えての食事會だ。細かい事はなしにして、食事と會話を楽しんでくれ」

それから、順番に料理が運び込まれてくる。エルフの伝統的な料理かと思ったが、普通にや魚も使われている。薄味で好みの味だ。食事の最中も、何度も挨拶をける事になった以外は、楽しい食事だ。

「さて、アルノルト殿。ザシャから聞いた話しは、本當かえ?」「話し?」「結界のアーティファクトの全てを使えるようにしてくれたという話しじゃよ」「あっ!正確には、もともと全部使えていたものを、"明るさを調整した"と、いう事ですけどね」「それでもじゃ。ザシャ。"巫”の役割は終わったのか?」

皆の視線がザシャに集まる「うん。結界を張り直した」「そうか、ご苦労」「もしかして、ザシャが帰らなくてはならないのは、この"巫”の役目の為?」「うん」「ディアナは?」「え?アーティファクトが一つもらなかった時に、私に協力して、魔力を注いでもらう為と、ディアナの家族がここに來ている為」「ふぅ~ん。それで、俺は何だったの?」「私達の護衛?」「疑問形で言われても、俺が困るのだけど・・。まぁ面白いが見られたし、楽しかったからいいかな」「うん。そう言ってもらうと助かる。それで、おばば様・・・」

ザシャが、おばばを見る。「そうじゃな。お前たち、どう見る?」

今度は、おばばが氏家やドワーフに話しかける。皆、口々に賛と言い出している。

「ザシャよ。皆は問題なしという事じゃが、ロルフからは反対の聲が上がっている。約定では、満場一致だったからな。まだ保留とする。その代わり、お主の意に沿わぬ話しも卻下する」

『アル!』『ん?アンか?』『そうだよ。今、ディアナとロルフを締め上げた。何か有る!と、思っていて、何か怪しかったし、私をアルから自然と引き剝がしたから、優しく問いかけた』『それで?』『今回のアルの護衛だけど、ザシャとの婚約をすすめるためだった』『あぁ~あ。やっぱりね』『ん?何かあったの?』『うん。あとから、ザシャがし荒れると思うけど、今、そのフラグは、ロルフが叩き折ったよ』『あっそれで、なんとかなったとロルフが言っていたのだね』『多分、それだよ』『惜しかったね。アル』『何がだよ。上手くいけば、エルフの巫姫とドワーフの姫が手にったのだよ』『もうお腹いっぱいです』『はい。はい。そういう事にしておくね』

本當にわかっているのかな?まぁそんな事じゃないかと思った。ザシャを見ると、複雑な表をしている。

「アル」「ん?」「なんでもない」

「ザシャよ。アルノルト殿は、流される様で、流れをコントロールしておったぞ。お主では、まだ太刀打ちできんようだな」「・・・・」「おばば様。でも、勝負は私の勝ちですよね?」「あぁそうじゃな。まさか、これほどとは思わなんだ」「それじゃ・・・・」「約定どおり、好きにすればええ。その代わり、”巫”としての役割だけは果たすのじゃよ」「うん!」

おばばとザシャの中で何かが決定したようだ。さて、そろそろ、皆の視線が痛くなってきているのだけど、俺何かしたかな?

「アルノルト殿」「なんでしょう?」「ぬしがやり遂げた事が、どれほどの事なのか、ぬしが一番理解できていないようじゃな」

そう言って、おばばは、高らかに笑い聲をあげた

「そうじゃ。アルノルト殿。ぬしは、エルフの民に取って、恩人だ。恩人には、ふさわしい贈りをしたいと思うが、どうじゃろう?」「報酬は、すでに頂いております。これ以上はんでおりません」

きっぱりと斷っておく。そうしないと、ヒルダの時と同じ事になってしまう。

「そういうと思った。だから、お主に決めさせようかと思ったが、辭める事にした」「は?」「ロルフ。ディアナ。持って來い」

ロルフとディアナが、それぞれ箱を持ってきた。

「アルノルト殿。この二つの箱の中を、ぬしに”預ける”好きに使ってくれ」「はぁ」「それか、ザシャと氏家から娘を差し出させるが、どっちがええ?」

それで、今の席に各氏家に若い娘が同席していたのか・・・。遠慮したい。

「謹んで、箱の中をお預かり致します」

明らかに、ほっとする氏家の娘も居れば、殘念そうにする者。ロルフなぞ、嬉しいのを隠そうともしない。反対に、ザシャは舌打ちしそうな顔だ。

ロルフとディアナから渡された箱の中は、ロルフが持ってきたは、書籍が多いようだ。それも、表紙が日本語になっているがほとんどだ。ディアナが持ってきたは、V○-4が2臺と、ポータブルカーナビだと思われるが3臺と、攜帯電話ではなく無線機が3セットだ。

ロルフが持ってきたは、エルフが持っていても困るだろう。俺とアンとヒルダが読んで、使えそうな報を渡せばいいだろう。ディアナの方は本當にだいじょうぶなのか?

「アルノルト殿。心配しなくていい。結界は今までの経験では、3臺あれば大丈夫だ。ぬしのおかげで、氏家の各森にも結界を張る事ができそうなのじゃ。余りを、ぬしに預ける。壊されたら困るが、解析して何か判ったら教えてしい。結局誰が結界を作り上げたのか謎なのじゃ」「え?そうなのですか?」「他のも何に使うなのか、わからぬ。ぬしならわかるのじゃろ?判ったら教えてしいだけじゃ」「はぁ・・・・」

誰が作ったのかを聞きたかったのだが、疑問點はキレイに流された形になる。

「解りました、どのくらいお借り出來るのでしょうか?」「そうじゃな。まずは150年でどうだ?」「はぁ?150年?」「なんじゃ短いか?」「いやいや、俺死んでしまいますよ?」「そうじゃった。エルフにとっては、そのくらいなら短い期間じゃからな。気にするな。それに、そこのアンネリーゼ殿?」

「はい。なんでしょう?」「玄武たる。貴殿にお聞きしたい。アルノルト殿に壽命があるのかえ?」「さぁレオノーラ殿。何を言っているのかわかりませんわ。それに、玄武って何のことでしょうか?」

踏みれないことにしよう。今は、ポケコンの解析が出來る事を喜ぼう。ザシャの役目も終わったようだし、明日には帰られるのかな?

なにか、おばばと、アンとザシャとディアナで、"おほほ”笑いをしながら言い爭っている。ため息一つついて、ロルフを見ると、多分、同じような事を考えていたのだろう。ロルフもため息をついていた。

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