《魔法の世界でプログラム》クリスとアルノルトの作戦
--- クリスティーネ Side ---アルノルト様から、次々と戦況が報告される。
勝利の報告ばかりが屆いている。実際に、勝利しているのだから、當然の事だろう。
勝利の報を街中に宣伝するのは良い事だろう。今、この街は戦時中と言ってもいいのだが、穏やかな時間が流れている。
「なぁクリス。この新聞という奴は、王都でもやるのか?」「どうでしょう。やっても良いと思っているのですけどね。なぜですか?駄目ですか?」「いや、逆だ。これは、王家や各地の報を、新聞という形にして、皆に知ってもらいたい。駄目か?」
「・・・ユリウス様。今、ヒルダから、詳細を聞いていますので、新聞を王都だけではなく、王國で配布出來るように致しましょう」「そうだな。その為にも、くだらない事を終わりにしないとな」「えぇそうですね」「そろそろ、か?」「えぇそう思います」「わかった。クリス。準備をしておいてくれ」
ユリウス様の希は、一つだけだ。偽王は、切らなければならない。その役目は、正當な王家の主である。ユリウス様にしか出來ない事だ。
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その上で、偽王をとことんまで追い詰めなければならない。王都に殘った人間には不幸だとは思うが、自ら殘ったのだから、そのくらいの事は甘してもらおう。
「それで、ギードやハンス達は、アルと合流できなのか?」「はい。もう城塞街の攻略に取り掛かっているようです」「そうか、それなら、タイミング的に良さそうだな」「はい。問題ないと思います。」
次の作戦にる為にも、北門の所に駐屯している兵士達は役に立ってもらう必要がある。
「北門はもう抑えたのだよな?」「いえ、テディの話では、元々、その機能を盛り込んでいるらしいので、後は、タイミングだけだと言っていました」「・・・そうなのか?」「えぇそれも・・・」「どうした?」
どう説明していいのか・・・アルノルト様が早く帰ってきてくれれば、全部任せられるのに・・・。
「いえ・・・アルノルト様が、機能を作られたようで、喋るのは、北門まで行かなくても、ノース迷宮のアルノルト様の部屋で行えばいいようです」「なに?」「はい。準備も何も必要ないようです」
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「・・・。それなら、なんで、手間がかかる、新聞なんて出していたのだ?」
やはりそう考えるのが自然な流れです。私も、その話を聞いた時に、テディを問い詰めてしまった。
「・・・順番だと言っていました」「順番?」「えぇ最初は、又聞きをして、報を集めないとならない狀況から、新聞や報屋と呼ばれる所に行けば、正しい報が得られる様になる。そして、質のいい報は、対価を払うと思い始める。その後に、”放送”という形で報を伝える事で、より深く知りたいと思う人は、報に対価を払う事になる」「・・・」「そこまでなって、初めて、”新聞”や”放送”が意味を持ってくる。そして、多くの人が聞いたり読んだりする事で、その”新聞”や”放送”に価値が産まれる」「価値?」「はい。例えば、安易に判斷は出來ないでしょうが、”新聞”で、”ノース街の朱雀門にある料理店は味しい”と書かれたら、どうですか?」「あぁそうか・・・本當なら、一部の人たちが口伝えでしていた事が、”新聞”を通して沢山の人に知れ渡るのだな」「えぇそうなります。その上で、”新聞の空いている場所”に、マナベ商會が新しいボードゲームを発売って記事が乗ったら、いい宣伝になりますよね」「なるだろうな」「えぇ、アルノルト様は、その枠を"広告枠”と呼んで、商人や職人ギルドに売ろうと考えているらしいです。後、放送も同じですね」「・・・あいつは・・・」
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「それだけじゃないですよ。ユリウス様」「なに?」「例えばですけど、ライムバッハ領の商品と同程度の商品が、バルリング領の商人から販売されたとして、"新聞”や”放送”で、製品名や商品を教えられたら、どっちを信頼して買いますか?」「え?あっそうだな。アル・・・ノース街に逆らった、大変な事になってしまう。っと、考えるかも知れないな」「えぇ本當に、怖いのはその部分ですよ。”新聞”と”放送”がある程度以上の認知度になってしまったら、あとは、ノース街に逆らえなくなってしまう」「・・・・そうだな。アルは何か言っているのか?」「本人と、”新聞”や”放送”に関しての話はしていませんが、テディが言うには、”面倒だから、ユリウスかクリスが引き取ってくれないか”と、言っているそうです」「なんだそりゃ・・・ここまで作っておいて・・・まぁあいつらしいと言えば、アルらしいけどな」「そうですね」
それで、話が終わってしまう。アルノルト様が落ちの様に扱われるようになってきている。
ドアがノックされる。簡易的に作られている、ユリウス様の執務室だ
侍が一人ってきて、私にメモを渡してきた。
「ユリウス様。連合ライムバッハ・ヘーゲルヒ・フォイルゲン軍が、城塞街の二つを落として、中央を取り囲んだようです」「それで?」「え・・・あっ」「どうした!」「失禮しました。中央は、実効支配した狀態で、王都に向かうとあります」「実効支配とはどういう事だ?」「・・・あぁなるほど・・・」「クリス。お前一人で納得していないで、説明しろ」「あっそうでしたね。連合軍に囲まれて、投降勧告をおこなっていたのですが、守備隊の隊長が、それに応じようとした時に、貴族の子弟が暴発して、隊長をリンチにしたようです。その後で、守備隊の一部が、その貴族を拘束して、アルノルト様に降った様です」「・・・それなら、なぜ実効支配なのだ?」「あ・・・ユリウス様。守備隊の隊長は・・・軍部から出されますよね?」「當然だな」「副長はどうなりますか?」「・・・そうか、貴族が副長をやっていて、その者を捕えているから、アルが渉出來ないのだな」「そういうことの様です」「副長は、最後の一人まで戦うとか、言っているようです」「馬鹿なのか?」「えぇそう思いますが、そう言っている者を無視して、別の者が降伏した場所が・・・という事です」「なるほどな」「まぁ王都に居る。偽王が、そんな所まで気にするとは思えないけどな」「えぇ多分、貴族の・・・それも、闘いが終わった後の事を考えていらっしゃるのでしょう」「また面倒な事だな」「そうですね。でも、そちらは、ユリウス様が、やらなければならない事なのですからね」「わかっている。その為にも、最後は、俺がやろうと決めている」「そうですね」
このまま行くと、貴族の數が減りすぎる。ヘーゲルヒ辺境伯がこちらに寢返ってくれたおかげで、最悪の自は避けられそうだが・・・それでも、最大で2/5の貴族が取り潰しになるだろう。もしかしたら、全の數から言ったら、もっと比率が大きいかもしれない。
そのことを考えると、頭が痛くなりそうだ。ノース街が健在で、かな森が有ることが唯一の救いなのかもしれない。
「ユリウス様。それでは・・・」「あぁ開始しよう」「解りました」「頼む」
ユリウス様が最終局面になった時に、王城にり込んで、偽王を捕らえるか、倒すかする。茶番かもしれないが、それをする事で、偽王討伐を印象づける事になる。
でも、まだ偽王は解りやすい失策をしていない。その為に、それを発する為の下準備をしなければならない。
ちょうど、ゲートを繋げたエルブンガルドの住民達がやってきて、ノースの森にっていった。その中から、數名に報酬を餌に仕事をしてもらう事になった。
王都の西門と東門も結界で覆ってしまう事だ。その上で、テディとアルノルト様が作した"スピーカー”を設置する仕事だ。
結界は、中から外に出る事は出來るが、外から中にられないにしている。要するに、結界を壊さなければ、王都にる事ができなくなるのだ。
例外は、南門だけだ。南門は、近々連合軍が陣地を作るので、必要ない。手薄になっている。二つの門を使えなくするためだ。
これは、商人や中の人間たちが、近くの森やし離れた所にある村から、食料を調達しているのを完全に防ぐためだ。
気比べにもならないのは目に見えている。アルノルト様達が南門に到著する前には、設営は終わらせておきたい。
今監視している者からの連絡では、一日置き位に、城塞街から、資が送られてくるらしい。それらは、さっきの報告で止まる事が予測される。あとは、バルリング領やシュヴァイガー領からの搬送になるだろうが、これも、それほど警戒する必要はないだろう。シュヴァイガー軍が壊滅している事や、王都に居る兵力から、それほどの兵力が殘されていない事は、予想の範疇だ。その上で、資の搬送までおこなっていれば、領地がおかしくなってしまうだろう。
それでも、資を送ってくる者は存在する。それらの資を、王都にる前で止めてしまおうという考えだ。
確実な勝利を得るために、王都に居る連中を死寸前まで追い込むつもりだ。水だけあれば、死ぬことは無いだろう。死んでも困らない位の気持ちで、この作戦を行う。
--- アルノルト Side ---「アル!」「ギル・・・それに、ハンスとギードもどうした?」「どうしたもあるか?これはどういう事だ?」
ギルは作戦案を書いた紙を持ってきている。俺が、先程皆に配った作戦案で、1時間後に、最終承諾を得て実行すると伝えただ。そして、作戦の反対意見は今回に関しては、け付けないと告げてある。
ギル達が怒るのはわかるが、今回は、作戦を飲んでもらう。
「アル。この作戦では、お前は”1,200・・・・・"を率いてとあるが、一桁間違っていないか?」「いや、間違っていない」「それじゃ、配置が違っているのだな?南門攻略となっているが、そこが違っているのだろう?」「そこも、間違っていない」「それじゃ、この率いる部隊が間違っているのだろう?」「・・・」「アル。なんで、城塞街の守備隊を率いる必要がある?ヘーゲルヒでも、ライムバッハでも、フォイルゲンでも、お前の命令に忠実に従うぞ!」「アルノルト。俺もそこを聞きたい。しっかりわかる説明をしてくれ」
ギルだけじゃなくて、ギードやハンスも同じ思いのようだ。後から、部屋にってきた。ロルフも同じ意見なのだろう。
「う~ん。犠牲をなくしたい。じゃ説明が足りない?」「あぁ足りないな」「・・・」「犠牲をなくするのなら、お前と俺と・・・そこの、ゴードやハンスを、ゴーレムで守って突っ込んでいくのが良くないか?」
「あぁロルフ。それも考えたけど、二つの事を考えて、辭める事にした」「それはなんだ?」「ひとつは、萬が一、王都に”市民”が殘っていたら、ゴーレムに守られた俺達を味方と考えてくれるか?」「・・・」「もうひとつは、もっと単純で、それでたとえ、門を突破出來たとして、相手の心を折れないだろう?」「え?」「な?」「・・・」「アル・・。お前。何を・・・」
「ギル。簡単な事だよ」
俺は、後で皆の前でも説明するが、簡単に説明する事にした。そうしないと、どうやら帰ってくれないらしい。
作戦自は、すでに出來上がっている。今から、數日に渡って王都を包囲する。包囲して、中にる/者を徹底的に排除する。
その上で、門の前で、俺達は指向をもたせたスピーカーから、王都に向かって、宣伝を行う。城塞街を落とした事。もう、資は王都に屆かない事。ノース街では、”武裝を解いて、降伏してきた者は、奴隷落ちだけで、殺しはしない”事などを、晝夜問わず宣伝する。それだけではなく、門から見える場所で、食事をおこなったりする。ただの食事ではなくパーティと言われるようなだ。
勿論、戦時中だから、相手が激怒して出て來るかも知れない。その備えはしっかりした上でだ。
南門だけは、そんな事をしない。毎日、門から見える場所で、選抜された1,200名が食事をして戻ってくる。それを繰り返すだけだ。
そして、俺が城塞街から連れてきた1,200名は、貴族に家族や人を殺された事が有ったりして、貴族に恨みをなからず持っている者を選んだ。それが、1,200名も集まったのだから、逆に驚きだ。城塞街に居たので、いいところ2~300程度も集まればいいと思っていたが、”貴族に思う所があって、自分の命と引き換えでも、貴族を一人でも多く殺したい思いがある者”と、いう無茶苦茶な応募に、これだけの人數が集まったのだ。それらを、俺が全員と面談して決めた。噓発見は流石にまだ作られなかったが、簡易的ななら簡単に作られる。別に魔法プログラムではなく、パソコンのプログラムと日曜工作レベルの仕組みで作る事が出來る。幸いな事に、それだけのパーツは揃っていた。制度という意味では、微妙だと思うが、まぁバレなければいいという程度のだ。
これらの事を、説明したら、やっと解ってくれたようだ。そして、ハンスは西門に、ギードは東門に、それぞれ、10,000の兵を率いて、駐屯してもらった。ギルには、殘りの兵を使って、城塞街までの安全確保と兵站を擔當してもらった。
こちらの準備が整った事を、ユリウスとクリスに伝えた。
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