《現実で無敵を誇った男は異世界でも無雙する》衝撃の事実
「翔様!あれは結界の破砕音です!隨分モンスターが群がってるとは思いましたが...!」
結界の破砕音?てことは魔法かそれに近しい何かがあるのか?いや、今はそれよりも...
「ってことは、あそこに誰かいるのか!?」
先ほど聞こえたの聲といい、まず間違いないだろう。
「はいっ!急がないと彼がもう生きていけなくなってしまいます...!」
生きていけなくなる・・・・・・?殺されるじゃなくて?エリーゼの言い回しにし違和を覚えたが、今は時間がない。
(疑問は後回しだ...!)
「エリーゼ!君は何か自衛の手段はあるか!?」
「大丈夫です!私も結界魔法が使えますので30分くらいなら仮に敵がこっちに來ても持ちます!行ってください!」
「わかった!」
それを聞いて安心した俺は一気にトップスピードで走り出す。そして一瞬でモンスターの群れに達すると、まずは攻撃せずに敵の頭上を飛び越えた。もし今攻撃してモンスターの破片が向こう側にいる人に當たったりしたら目も當てられないからな。
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(さっきの聲の主は...!?)
俺は空中からさっきの悲鳴を上げたであろう人を探すと
(いた!)
どうやら1人ではなく4人いるようだ。1人はゴブリンに馬乗りになられて絶的な表を浮かべている。戦闘職らしい3人は必死で戦い、さっき悲鳴を上げたであろうを助けようとしているが、數が多すぎるのか全く進めていない。
「ッラァ...!」
狀況を確認するや否や、俺は空気で作った小さな粒を毆り、には當たらないよう弾丸のようにうち出す。
「ギィッッ!」
空気の弾に頭を貫かれたゴブリンが耳障りな聲を上げて死ぬ。そしては自分の目の前で突然ゴブリンが死んだことに驚き、呆然としている。
「何ボーッとしてる!早く後ろへ!」
彼の橫に降り立った俺は彼に怒鳴る。々言い方がきつかったかもしれないが、そのおかげか彼は一瞬ビクッとしたもののすぐに退避した。
(あっちの3人は大丈夫そうだな。)
戦闘職っぽい3人は今向こうに行ってる魔程度なら拮抗した実力を持っているようだ。
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「なら俺は、殘りを全部片付けるか...!」
そう呟いた翔は、両手に空気で槍を形作る。そして
「シッ!」
全力で投擲した。空気の槍は最前線に居たゴブリンやオークをどんどん砕したが、オーガは流石上位種とでも言うべきか、刺さる直前に手に持っていた名狀し難い棒のようなもので防いでしまった。もっとも、その棒は微塵に砕け散ったが。
「グオオオオオオ!」
オーガが怒りの咆哮を上げ、突進してくる。まだ生き殘っていたゴブリンやオークは、それに潰されて全滅したようだ。
(オーガ5...!)
數を確認した翔は、逃げるのではなく、逆にオーガに向かって走り出す。そしてぶつかる直前、前方に作った足場を使って垂直に飛び上がると
「ッラア!」
オーガの顔面を全力で蹴り抜いた。翔としてはこれで倒せれば重畳。倒せないにしても脳を揺らして意識を混濁させられる可能が高い。程度に考えていたのだが
パン!
オーガの頭は風船が割れたかのような音を立てて破裂した。
(うわ!まじか!)
予想だにしていなかった結果に顔をしかめる翔だが、まだ他のオーガが突進してきているのを確認すると、周囲に飛び散りつつあるオーガのを固定化する。そして空気の壁を足につくり、蹴ることのできる範囲を広くすると固定化したをまとめて蹴り飛ばし、散弾銃のようにうち出す。當然蹴りは空中に足場を作ってそこを蹴って助走を付けたため、地上で打ち出す時と何ら変わらない威力だ。
果たして翔の放った弾丸は、走ってきたオーガのあちこちを撃ち抜き、絶命させた。相手側からもなかなかの勢いで接近してきていたため、相対的に相當なスピードの弾とぶつかることになり、それなりにいオーガの表皮と筋を、容易く貫通したらしい。
(よしあとは───)
死の3つ首デス・スリー・ネックだけだ。そう思い、窟のり口を見た時、既に目の前に奴が放ったであろう熱線が、さっき俺が撃ち抜いたオーガを貫通しながら迫ってきていた。しかし翔は焦らずに熱線を固形化させる。すると直前まで激しい熱運をしていた分子が急に止められたため、逃げ場をなくした運エネルギーによって、熱線の固は自壊した。
(何て熱量だ...!)
オーガを貫通した時、一切が出ていなかった。つまり、一瞬でを焼いて止してしまう程の威力だったということだ。死ぬことはないかもしれないが、進んで當たりに行く必要もない。
「今度はこっちから行かせてもらう...!」
翔は言葉を発すると同時に姿勢を低くして弾丸のように走り出す。そして死の3つ首デス・スリー・ネックに薄すると、口を開こうとしていた首の1つ、真ん中の首を蹴り抜いた。すると
バキッ
どうやら首の骨を折ったらしく、真ん中の首がかなくなる。しかしその時、1番右の首も口を開いていた。
(口から出そうなものは2択...!聲か、ブレスか...!)
そう判斷した俺は、その首の向いている向きから全力でを逸らしつつ、耳に振しないよう非常に結合を強くした空気の分子で蓋をする。
そして敵の攻撃は翔の予想のうち、前者だったようだ。翔には特になにも聞こえないが、目の前で思いっきり口を開けた首が咆哮している。
(まあでも、俺からすればただ無防備なだけだよな。)
実際翔からすると、首が突然間抜けな顔を曬しただけである。
(んじゃ)
そう呟いた翔は、殘っていた2つの首をあっさりと蹴り抜いて倒してしまった。
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「お疲れ様でした。」
戦闘が終わった事を確認したエリーゼが近寄ってくる。エリーゼの結界とやらは音すらも遮斷できるらしい。
「ありがとう。それで彼たちは...」
と呟きながらさっきのたちがいた方を見ると、ちょうど剣士風の人が最後のゴブリンを切り倒した所だった。そしてこちらに歩み寄ってこようとしたが、俺が笑顔で手を振ると、俺の顔を見て固まってしまった。剣士風の人だけじゃなくて、魔師風のも、盜賊風の人も同様である。唯一、最初俺が助けた聖風の人だけが近寄ってきた。
「あの....この度は本當にありがとうございました...!」
そう言って頭を下げる。それを見た他のメンバーも、俺の顔をチラ見しながら近寄って來て頭を下げる。ここで今更かもしれないが彼らの外見について説明すると
剣士・・・紅眼。燃えるような赤髪を肩あたりまでばしており、軽鎧の様なを裝備している。やや吊り目がちなため厳しそうな印象をけるが、文句なしの人である。Bカップ?
魔師・・・黒眼。黒髪を腰あたりまでばしており、紫のローブを纏っている。垂れ目なため非常におっとりしてマイペースそうな印象をけるが、これまた人。多分Eカップ。
盜賊・・・碧眼で、銀髪を短く刈り揃えている。恐らくきやすいようになのだろうが、上半はに薄い布を巻いているくらいしか裝備がない。人というより、活発で可いというじだろう。寒くないのだろうか?多分Bカップ。
聖・・・き通るような蒼い眼で、紺碧の髪を腰までばしており、清純そうな白い修道服のようなものを著ている。ガラス細工のように繊細な貌を持っており、見るものにれると壊れてしまいそうなほどの儚い印象を與える。人。測定不能。
というじだ。全員、超レベルの高いたちだが、なぜ、全員なんだ?まさか、男だけ逃げたりでもしたのだろうか。
「不躾なことを聞くようで済まないが、パーティーに男は居ないのか?」
と、俺からすると普通のことを聞いたのだが、どうもこの世界ではおかしな事だったらしい。パーティー全員が何を言ってるのかわからない、という表で一瞬呆けた後、代表で聖風のが
「男は、基本的に街からでたりしませんよ?」
と言ってきた。
「の冒険者はいるのに、男の冒険者はいないのか?」
怪訝そうに聞き返す俺に、は驚きを隠せない表で
「ええ!だってそんな事をして、ただでさえない男が減っては大変ではないですか!」
と答えた。
(え?男ってこの世界にはないのか?しかも前には出てこない?)
俺は想像と全く違うこの世界に対し、これから苦労しそうだと深く深く溜息をつくのだった。
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