《現実で無敵を誇った男は異世界でも無雙する》話し合い?
「ふぅ...。」
俺は勝負が終わったことを確認すると、小さく息を吐き、超集中とでも言うべき狀態を解除する。念のため、アルベドが大丈夫かどうかの確認もする。どうやら意識を失っているだけのようなので、俺は慎重にアルベドを仰向けに寢かせた。
「アルベドさんは大丈夫でしょうか...。」
ソフィアが俺にそう言いながらもこっち側に近づいてくる。
「ああ。ただ意識を失ってるだけだけど、念のために傷を治療する施設とかあったらそこに連れていきたいんだけど...。」
「あ、それについてはギルドの方でやりますので大丈夫ですよ。」
俺が彼を運ぶのは々まずいかもしれないし、任せた方がいいか。
「じゃあ、悪いけど頼むよ。」
「わかりました!あ、えっと、冒険者カードは発行に1時間ほどかかるかと思いますので、また後で取りに來てください。ルームに関しては使ってもらって大丈夫です。」
「了解。ありがとう。」
なら俺はお言葉に甘えるとしよう。
俺が闘技場から出ると、冒険者ギルドは部分的に騒然としていた。なぜこのような言い方をしたのかと言うと、ギルドのほぼ全員が真ん中になにゆえか集まっているのだ。
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(確かあそこってエリーゼたちが席をとっていた場所な気がするが...。)
そう思いながら俺もその人垣に近づいていく。するとその中心から
「翔様!!!」
と若干涙聲のエリーゼの聲が聞こえ、人垣を押しのけて抱きついてきた。
(クソッ!銀雪のメンバーが付いているから大丈夫だと思ったが、誰かエリーゼに悪意を向けたのか!?)
この場にはエリーゼに対して奴隷という先観を持った人間はいないはずだし、この世界のは皆容姿のレベルが高いから、外見的な嫉妬もあまりないはず。実際銀雪のメンバーはそうだった。エリーゼも安心している様子だったから大丈夫だと思ったが...
そこで俺は場が完全に靜まり帰っていることに気づく。そして、周りを見渡し、俺とエリーゼに向けられた視線を見てようやくエリーゼに向けられたの正を知った。
(ああ、これはやっぱり嫉妬だ。だけど、外見に対するものじゃなく、多分俺と一緒にいることに対するものだ。)
エリーゼには申し訳ないことをしてしまった。あまりにも現実との価値観が違いすぎるせいで、判斷をミスったらしい。今度から気をつけねば。
俺が反省をしていると、靜寂に包まれたギルドにがってきた。彼は、まるで北歐神話の天使がそのまま出てきたかのようなしさだ。髪の素は薄いが、白髪という訳ではなく、しい銀髪。そしてそれを腰までばしている。どうやら盲目のようで、目は閉じられ、足取りもしおぼつかないようだ。
俺が手を貸そうか、しかしエリーゼを引き剝がすわけにはいかないし、と逡巡していると、彼は目を薄く開き、あたりを見た。瞬間
(ッツ!)
背中が震える。それは、強敵と會ったときの戦慄と...喜び。
(この人...下手するとさっきの黒龍より強いかもしれない...。)
おそらく地力だけなら龍の方が強いだろうが...彼からはさっきの龍とは違う、経験に裏打ちされた油斷ならなさをじる。見た目は10代と言っても差し支えないレベルだが、おそらくただの人族じゃないのだろう。
彼は、しあたりを見渡し、俺で視線を止めると、微笑みながら歩み寄ってくる。そして、俺の前で立ち止まると、深くお辭儀をした後に、穏やかな笑みを浮かべながら話しかけてくる。
「お初にお目にかかります。あなたがハルトさんですね?私は本冒険者ギルドのギルドマスターを務めております。ロザリアと申します。々お話を伺いたく存じますが...これから銀雪の方々とお話をなさるのだとか。ですので、差し支えなければ、私もご一緒させていただいてもよろしいでしょうか。」
「俺はいいけど...銀雪のメンバーに聞かないと。」
俺がそう言うと、彼と、そして後ろにいる人達全員が驚いた気配がする。
(なぜ驚かれなければいけないんだ?)
俺が首を捻っていると、どうにか後ろの人垣をかきわけてきたのだろう。し疲れた様子のマリーベルが來て
「ハア...ハア...翔さん。私たちも大丈夫です。」
と言ったので、
「では、今からでよろしいですね!」
ということになった。
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ルームは冒険者ギルドの2階にあり、広さは多分30畳はある。円形の部屋に円形のテーブル、しかしそれ以外は特筆すべきことはない殺風景な部屋だった。
「では、お話を始めましょう。」
全員が席につくと、ロザリアがそう言った。ちなみに座席は、俺の橫から抱きつく形でエリーゼが俺と同じ席に座り、右がマリーベル、レイラ、サシャの順で、左がいつの間にか合流していたソフィア、リーシャの順。そして対面にロザリアとなっている。
「まずは翔様、あなたが黒龍【リントブルム】を討伐なさったというのは本當ですか。」
そう彼が言った時、エリーゼのが固くなったのがわかった。多分俺に怒られるのではないかと思い、怯えているのだろう。
俺は優しくエリーゼの頭をでながら、
「ええ、事実です。何かまずかったですかね?」
と答える。
ロザリアは俺の目を薄く開いた瞼から見つめるが、やがて何かをじたのか、深く頭を下げ、
「ありがとうございました。」
と言った。これには俺もさすがに面喰らう。
「い、いや、頭をあげてくれ。俺はただ、俺のしたいことをしただけだろ。」
「いいえ、そんな軽いものではありません。リントブルムは強力で、我々としても早急に討伐すべきだと考えながらも、手が出せなかったのです。」
(強過ぎて倒せない?)
俺は流石に怪訝な視線になる。俺から見れば、ロザリアも十分黒龍...リントブルムといったか。あいつに匹敵するだけの力があるように見えるが?
俺の視線をじ取ったのか。ロザリアは薄く目を開き、俺を見る。
「なるほど...。あなたは本のようですね。えぇ。あなたのお考えの通り、私ならリントブルム討伐は可能だったかもしれません。」
ロザリアの発言に、円卓に著く人間がエリーゼ以外全員ギョッとする。
(心を読まれた...?)
おそらく、カマをかけただけ。さっきから他人の位置を完全に把握しているところを見るに、彼は風系統の魔法を使って脳に直接の位置報をリークしているのだろう。だからあまり生活する上で困ってはいない。しかし、相手の位置を知るだけでは表や視線といった、相手のを知ることのできるものがない。それを補うためにしている何かで、俺の怪訝な視線をじとり、そこから俺の考えている事を推測したのだろう。それにしては斷定的にすぎるような気がするが...。
「え!?マスターあの龍に勝てるんですか!?」
俺が首を捻っていると、サシャが心底驚いた、というで聲をあげた。
「ええ。確実に勝てるとは申しませんが、おそらく可能だと思われます。」
「てことは、一時期あったギルドマスターは王の護衛隊長という噂が本當だったり...?」
サシャの言葉にロザリアが僅かに怒気を迸らせる。顔は相変わらず穏やかな笑みを浮かべたままだが。
「滅多な事を言うものではありませんよ。」
ロザリアが上品な言葉遣いだが、有無を言わせぬ圧力でそう言うと、サシャは完全にビビりながら大人しくなる。
「はぁ、まったく。お見苦しいところをお見せしました。確かに私は王リスタルテ様の護衛隊長を務めております。そして早速ですが、翔様、あなたを拘束させていただきます。」
ロザリアガ何か言っているが、正直それどころではない。酷く頭が痛いし、視界が歪む。それに思考がまとまらない。
(これは、酸欠か!?)
癥狀がそれに酷似している。さっきの推測通りロザリアが風系の魔法使いならこういうこともできるのかもしれない。意識が徐々に混濁しつつある俺は、俺と同じく苦しそうな顔をしているエリーゼを見て、
(済まない...!エリーゼ!)
心の中で謝り、
「んんっ!?」
強く、口付けをした。
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