《捻くれ者の俺は異世界を生き抜く》プロローグ
早朝、ホームルーム前の教室は雑音が多い。その殆どがクラスメイト達の話し聲なのだが、やれ昨日のテレビがどうの人がどうだのと、くだらない話で唾を飛ばしている。
高校二年に上がって一ヶ月が過ぎた。その間に形された新たなコミュニティ、クラスグループはほぼ完されている。リア充はリア充と、気なオタク達は気なオタク達と、殘ったごく普通の奴らはごく普通の奴らとつるみ稀にリア充グループにも顔を出す者がいると言ったじ。まあ、普通に生活していれば大概どこかのグループに屬することが出來るはずだ。まして友達が一人もいない奴なんて、そうそう居るもんじゃない。ただ、このクラスで唯一俺は違った。
機に頬杖をつきながら、周囲の雑音を煩わしく思って溜息を吐いた。
雨宮優あまみやゆう、それが俺の名前だ。背丈は平均、一般的な黒髪にそこそこの容姿、運もそれなり、績もまずまず。友人と呼べる人間が居ないことを除けば、どこにでもいるごく普通の高校生だ。
Advertisement
ただそんな俺が、ある種呪いの如く常々心に思うことがある。
――俺は、人間が嫌いだ。
つくづく思う、人間とは信用出來ないものだと。奴らは平気で人を騙し、人を裏切り、人を傷つける。これらは人間として最も醜く、かつ常習的に行われている行為である。それをこれまでの人生幾度となく見てきたし験してきた。いい加減うんざりする。奴らの噓に塗れた建前も、醜いをめた偽善にも。
出來ることなら誰とも関わらず生きていきたい。しかし現代社會で生きる上で、それは不可能に近い。ならばどうすればいいのだろうか。どうすればなるべく人と関わらず、かつ自分にとって生きやすい世界になるのだろうか。
考え悩んだ結果、ひとつ分かったことがある。それは――
「雨宮くん、昨日先生に貰ったプリントまだ提出してないよね?早く全員分集めて持ってかないと、私が怒られちゃうんだけど」
突然傍らから話しかけてきたのはクラス委員長の子だった。彼はクラスの間でも口うるさくて評判だ。
ちっ、うるせえだな。
心の中で舌打ちしたあと、俺は即座に萬遍の笑みを浮かべた。
「ごめんね委員長、すぐに提出するよ」
「え、う、うん……」
俺の笑顔にし驚いた様子の委員長。
「それと、いつもありがとね。クラスのために々と」
「え?」
「ほら、委員長ってだけで普段からクラスのこと気にして々やってくれてるでしょ。放課後教室の掃除とか、騒いでる人注意したり、このプリント集めだってそうだ。俺、前から委員長のことちょっと尊敬してたんだ」
「そ、そんな……私は別に……」
「だからありがとう。迷かけちゃったお詫びって言うとあれだけど、何かあったらいつでも言って。俺でよければ委員長の力になるから」
俺が笑顔でそう言うと、委員長は顔を赤くして視線を逸らしてしまった。
「あ、ありがとう……。そ、その私全然怒ってる訳じゃないからっ。あと、プリントも晝休みまでに提出してくれれば大丈夫だからっ。先生には私から言っておくし……、それじゃっ」
顔を赤くしたまま委員長は自分の席へと走り去った。その背中を見送ったあと、心の中で口元を釣りあげた。
――ほら簡単だ。これで俺が生きやすくなる。
よくもまあ心にも無いことをこれだけ並べられるものだといっそ自分でも心する。しかしこれが俺の生き方だ。人との関わりは最小限に抑え、必要な時にだけ偽りの笑顔を作り自分が生き易くなる為に噓をつく。皆やっていることだ。だから俺もやるのだ。俺も人を騙し、裏切り、傷つける。
當然だ。
人はいざ自分の為とあらば他人を蹴落すことだって厭わない。そんな卑劣な奴らの溜まり場で、俺は一生を生きていなくてはならないのだ。當然、俺にだってそれと同じことをする権利があるはずだ。そうじゃなきゃ狡い、不公平じゃないか。
そうして俺が選んだ生き方は、大嫌いなアイツらの真似事だった。だからきっと俺は、そんな自分さえも――。
優等生だった子爵令嬢は、戀を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~(書籍化&コミカライズ)
子爵令嬢のセレスティーヌは、勉強が大好きだった。クラスの令嬢達と戀やお灑落についておしゃべりするよりも、數學の難しい問題を解いている方が好きだった。クラスでは本ばかり読んでいて成績が良く、真面目で優等生。そんなセレスティーヌに、突然人生の転機が訪れる。家庭の事情で、社交界きってのプレイボーイであるブランシェット公爵家の嫡男と結婚する事になってしまったのだ。嫁いですぐに子育てが始まり、最初の十年は大変だった事しか覚えていない。十六歳で公爵家に嫁いで二十年、五人の子供達を育てブランシェット家の後継ぎも無事に決まる。これで育児に一區切りつき、これからは自分の時間を持てると思っていた矢先に事件が起こる――――。六人目の子供が出來たのだ……。セレスティーヌが育てた子供達は、夫の愛人が産んだ子供。これ以上の子育てなんて無理だと思い、セレスティーヌは離縁を決意する。離縁してから始まる、セレスティーヌの新しい人生。戀を知らない令嬢が、知らないうちに戀に落ち戸惑いながらも前に進んでいく····そんなお話。 ◆書籍化&コミカライズが決定しました。 ◆マッグガーデンノベルズ様にて書籍化 ◆イラストは、いちかわはる先生です。 ◆9人のキャラデザを、活動報告にて公開
8 130【書籍化コミカライズ】死に戻り令嬢の仮初め結婚~二度目の人生は生真面目將軍と星獣もふもふ~
★書籍化&コミカライズ★ 侯爵家の養女セレストは星獣使いという特別な存在。 けれど周囲から疎まれ、大切な星獣を奪われたあげく、偽物だったと斷罪され殺されてしまう。 目覚めるとなぜか十歳に戻っていた。もう搾取されるだけの人生はごめんだと、家を出る方法を模索する。未成年の貴族の令嬢が家の支配から逃れる方法――それは結婚だった――。 死に戻り前の記憶から、まもなく國の英雄であるフィル・ヘーゼルダインとの縁談が持ち上がることがわかっていた。十歳のセレストと立派な軍人であるフィル。一度目の世界で、不釣り合いな二人の縁談は成立しなかった。 二度目の世界。セレストは絶望的な未來を変えるために、フィルとの結婚を望み困惑する彼を説得することに……。 死に戻り令嬢×ツッコミ屬性の將軍。仮初め結婚からはじまるやり直しもふもふファンタジーです。 ※カクヨムにも掲載。 ※サブタイトルが少しだけ変わりました。
8 111ドーナツ穴から蟲食い穴を通って魔人はやってくる
チェンジ・ザ・ワールド。 世界を変えたい! 若者達の強い想いが國を変えていく。虐げられていた亜人種が國を取り戻すために立ち上がる物語。 物語の舞臺は世界の最果てに浮かぶ大陸アニュラス。人間と亜人種が暮らす大陸である。 闇の集合體──突如、現れた時間の壁により大陸は分斷される。黒い壁は人々の運命まで変えてしまった。 ディアナ王女もその一人。他國王子と婚約儀の後、帰國できなくなる。 宿営中、盜賊に襲われ、従者のユゼフは王女だけ連れて逃げることに。同時に壁の向こうで勃発するクーデター。王女は魔物にさらわれて…… 成り行きで同行することになった元貴族だが、今は浮浪者のおじさんと共にユゼフは王女を助けに行く。
8 92旋風のルスト 〜逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜
【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞】《新・旋風のルスト:公開中です!》 <あらすじ>────────────────── 『私は家畜にはならない。たとえ飢えて痩せ衰えても、自らの意思で荒野を歩む狼の生き方を摑み取る!』 ■17歳の銀髪・碧眼の美少女ルストは重い病の母の治療費のために傭兵として懸命に働いていた。屈強な男たちと肩を並べて戦うが、女性としても小柄であり、実績も無く、名前も売れていないルストは傭兵として仕事を得るのも困難を極めていた。 だが、諦めない前向きな心を持つルストは、ついに未來へとつながる大きなチャンスを摑む。 『小隊長を任されたエルスト・ターナーです。よろしくお願い致します!』 ■そんなルストは、女の子故に腕っぷしや武力では屈強な男たちには敵わない。だが優れた洞察力と包容力と指導力、そして精霊科學『精術』を武器に困難な事態を次々に打ち破り、人々のために確かな明日へと繋がる未來を切り開いていく。 『みなさん! これは困難ではありません! 千載一遇のチャンスです!』 ■気高さに溢れた美少女傭兵が、精霊科學の殘る悠久の大地フェンデリオル國で砂漠の大帝國と戦い、人々を幸せへと導く! 孤獨な道を歩んでいた一人の少女が、傭兵となり救國の英雄となり、幸せの絆を取り戻すロマン溢れるサクセスストーリー! <⇩お知らせ>────────────────── 【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞いたしました、ありがとうございます! これに伴い書籍化されます!】 【新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの國際諜報戦記―】 2月26日開始しました! ──────────────── ただいま、ノベプラ・カクヨム・ノベリズムでも掲載中です
8 112ガチャで爆死したら異世界転移しました
7月21日、更新しました。 特技ゲーム、趣味ゲームという、ごくごく普通の高校2年生 佐藤 慎也が、ゲームのガチャで爆死したら……。ん?女の子?僕が!? ゲームのキャラになって異世界転移!? ※初投稿、小説初書きなので遅く下手ですが、楽しんでくれれば幸いです。明らかな誤字、脫字などがありましたら、ご指摘よろしくお願いします。
8 177史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する ~剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚~
一度目の転生では《魔帝》、二度目の転生では《剣聖》と呼ばれ、世界を救った勇者ユーリ。しかし、いつしか《化物》と人々に疎まれる存在になっていた。 ついに嫌気が差したユーリは、次こそ100%自分のために生きると決意する。 最強の力を秘めたユーリは前世で培った《魔帝》と《剣聖》の記憶を活かして、Fランクの駆け出し冒険者として生活を始めることにするのだった――。
8 170