ーーー全てのことには理由わけがある。

 誰が言ったかなんて知らないけど、きっと私がこの世界に転生したのにも理由があったんじゃないかって思うの。

 なんてことない。ふとした瞬間に全て思い出した。あぁ、そうだ。ココは夢にまで見たあの世界・・・・だ。

 アルバート、ヴィヴィアン、ニコラス、クラン…あぁ、知ってる。みんなみんな知ってるわ！何度だってプレイしたんだもの！

 ココは乙ゲーム『クリスタル・クラウン〜寶石達の真実〜』の世界。の子なら一度は憧れるシンデレラストーリー。私はリディア・クレイン。この世界の主人公ヒロインであり、されるべき存在。

 知溢れる魅的な王太子補佐、明るくて気さくな世界勢に詳しい未來の外長、娼婦の子と烙印を押されたを知らない公爵家の貴公子、2周目からしかプレイできない隠れ攻略キャラ。

 そして、私がしてやまない誰もが憧れる王子様ーーーアルバート・リリークラント。私の心を摑んで離さないしい存在。

 畫面の向こう側にいた彼らが、今ではこうして會ってれることも出來る。みんな私をしてくれる。

 嗚呼、なんて素晴らしいの！

ーーーなのに。一人だけ例外がいた。

 悪役令嬢ロザリー・ルビリアンだけがこの世界にいない。代わりに同じ名前、同じ顔の令息が私のアルバート様の隣にいる。

 どうしてあのがいないの？ 彼がいないと語が進まないじゃない。

 「ゲームでもあまり役に立たなかったけど、いないなんて信じらんない。ほーんと、役に立たないんだから」

 まぁいいわ。いないものはしょうがないもん。別以外は一緒のあの令息を私が幸せになるための踏み臺にさせてあげる。

 「ちょっとゲームとは違う部分もあるけど、それはココが現実だからよね。ゲーム開始は來年からだけど、今からアルバート様と流を持っておくのもアリかしら。ふふ、早く來年にならないかなぁ」

 は気づいていない。己の口で「現実」と言いながら、その目は決して現実を見てはいないことを。

 ココが、ゲームの世界だと信じて疑っていないことを。

 の瞳に映るのは、いづれ主人公自分をするであろう攻略キャラ達の姿だけ。はただ、『主人公ヒロインだから』という理由だけでこの世界でされ、思いのままに出來ると思い込んでいる。

 悪役令嬢が存在しないことも、自分の他に転生者がいることも、何も知らない。

 いづれゲームが始まれば、彼のするアルバートをはじめとした攻略キャラ達にされると信じてやまないは、瞳を輝かせて笑うだけだったーーー。

 本日とありがとうございました(´˘`＊)

 次回もお楽しみに。