《異世界落ちたら古龍と邪龍の戦いに巻き込まれまして・・・》第36話 のどかな旅路

のどかな旅路

さて、急ぎ 宿の前を離れたミキたちご一行。

「ダンナ、さっきのって…」

「若、ありゃぁ、何をされたんです?それに ほんとに何も言わずに…」

「いやぁ、ちょっと力み過ぎたみたいで。途中で 止める訳にもいきませんでしたし。あれって、かなりってたって思うんです。」

「で、何をやったかっていうと、『エターナル・クリーン』の魔法で 宿と宿の周辺の清浄化、たぶん半永久的に、『リ・クリエイト』の魔法で、宿の傷んだところとかを一気になおして、最後の『プロテクション』の魔法で、強化しておいたんです。これで、象が踏んでも壊れない」

「いや、象がなんだかわかんねぇけど」

「そうですね、たぶんワイバーンクラスが ぶつかっても大丈夫なんじゃないかなと」

「「いやいやいや」」

「なんて魔法使ってるんですか、というか 魔法であんな事が出來るなんて聞いてないですぜ」

「でも、クリーンの魔法ってあるじゃなですか。ちょっと部屋を綺麗にしたり を清潔にしたり」

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「あの規模の宿全に効果を及ぼしたり、その周辺までなんて聞いたことないですよ」

「ダンナは、もっと常識を知るべきですぜ」

「えっ、だって皇宮では 誰もそんなこと言わなかったけど?」

「「あっ!」」

「そうだった、あの皇宮には、もっと非常識な存在がいたんだ」

「うん?なんのことかな、かな?」

「やばっ」

「ねぇ、ねぇ、お二人さん その非常識な存在って?誰のことかな…」

二人は、うっかり忘れていたのだ。ミキが 母親のこと…つまりエリステル陛下のこととなると見境なくなるということを。その後、しっかりと正座させられ 三十分近くにわたって お説教されたのである。まぁ、三十分程度で済んだのは、早くヴェスドラッヘの町を出なくちゃいけないという差し迫った狀況があったからであるが。

ところ変わって、ヴェスドラッヘの町・ベルニーニの宿

「こんな、紙切れ一枚殘して、酷いです。宿もこんなに綺麗に…なんにもお禮言えてないじゃないですか。せめて、せめてありがとうの一言ぐらい言わせてくれれば…」

「ほんとにねぇ、さよならの挨拶もなしで。…あのヘタレめ」

「ミキさんは、ヘタレなんかじゃありません!」

「はぁ、あんたも まったく。」

「それにしても 朝のあの時間で、この宿が こんなにも変わってしまうとは。まるで いま出來上がったって言われても信じてしまうよ。」

「いったい、なんだったんだろうね?あのミキって子は…」

「皇都にある『エチゴヤ商會』、そこの創立者にして 數々の魔道を開発し、ライト・エールをはじめとする飲料関係に新風を吹き込んだ若き天才。その上、あの傭兵だった『雷鳴の響鬼』を、自らの護衛とした手腕。そして その護衛である二人は、皇都の子爵さま」と町長(まちおさ)マーフィ。

「わしも 一通りは 知っておったがの。まさかあのように別嬪な(ぞわ~)、もとい年だとはのぉ」

「既に人は しておるようだがの」と元・町長のコンフィネル

「で、他には なんて書いてあったんだい?」とイーサン。

「はい、他には…」

「『…町長を始めとする皆さま方、滯在中はほんとうに引っかき回してごめんなさい。それとベルニーニさんの宿の為に、また他の町の人々のために共に 代と闘ってくださってありがとうございました。また、いつかお會いできる日を楽しみにしております。ちょっとお節介なだけの旅人より』って書いてありました」

「うん?」とその紙をみたマーフィが 何かに気がついたようだが それは 口にせず心にしまっておいた。

「まぁ、とにかくだよ。これからこのヴェスドラッヘの町も 前以上に良い町にしていこうじゃないか?それこそ いつ陛下がお見えになってもいいようにね」とロビーナが言う。

「「「「「新生ヴェスドラッヘ、ばんざーい!」」」」」

まぁ その數ヶ月後ほんとに陛下がやってきてロビーナがびっくりして固まるのは ご敬。

「このあたりの村は、作は よく育っているようですね、農民の皆さんもなんだか活き活きとされてますし…」

ヴェスドラッヘの町を出て既に、二十キュロスほど進んだところ。ミキたちの扱う馬車のスピードからすれば、実にのんびりとした進行合だが。まぁ 馬に無茶をさせてもいけないということで十キュロスほど進んだところで 馬をやすませている為、こんなものであろう。

ちなみに、一キュロスは、一キロメートル。つまり十キュロスは、十キロメートル。

馬車の速度は、一時間に八キュロスほど。おおよそ時速八キロメートルといったところであろうか。人の歩く速さが およそ一時間で四~五キロメートルと言う話であるから まぁ それなりには 進んでいると言うことである。

「さて、いまのままだと次の町に到著するのは、夜になりそうですぜ」

「あぁ、次の町は、えっと確か 小さな町で まぁどちらかって言うと 村って言った方が早いんですけどね。そうそう、クライン・スタットって 町でさぁ」

「そこに宿は、あるの?」

「えぇ、一軒ですが ありますぜ。一応 馬車を預けることも出來ますぜ」

「空いてるといいのですが?」

「大丈夫かと。多くの場合 商會の者たちは この町には 行商に立ち寄るだけで すぐに旅立っちまいやすから。まぁ あとは 傭兵や個人で行商している者ぐらいです」

「そっか、なら大丈夫なのかな?まぁ いざとなれば 野営っていうのもいいかもしれませんね。お天気も良さそうですし…それに この馬車の仕掛けも試してみたいですしね」

最後の方は、ヒサに聞き取れなかったようで

「うん?なんですかい」と聞き返していた。

「まぁ、野営するにしても もうし進まなくちゃいけやせん。もうし行った先に きれいな水の流れている沢があるんですよ」

「沢ですか、そこでなら 馬を休ませて 水をやることも出來ますね」

「ええ、もちろんでさ」

「でも まぁ あとし馬さんたちにも 頑張ってもらいますかね」

「もうちょっとだけ、頑張ってくれる?」

「ぶるっ、ぶっは」

ミキの言葉が 解るのか、任せておけというじに答える馬たちである。

「では、クライン・スタットの町まで ごー」

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